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#37 熱き男、我らの兄貴

オレンジと青色のライトで埋まった札幌ドーム

2018年シーズンでユニフォームを脱いだ代打の切り札「矢野謙次」の引退セレモニー。この日来場者にはオレンジと青色のカラーフィルムが配られた。オレンジは矢野選手が最初に入団した読売巨人軍のカラー、青色は2015年から在籍したファイターズカラー。両球団のカラーに包まれながら、そしてファイターズの選手達は、「GIANTS」と「FIGHTERS」と書かれたある意味Wネームの記念Tシャツを着て矢野選手を送り出した。

みんなの頼れる兄貴

巨人の選手からも、もちろん日ハムの選手からも慕われる存在。代打の切り札として、いつ打順が回ってくるかという状況なのにも関わらず、毎日球場には一番最初に入って練習をしている選手だった。というのは、栗山監督の著書にも書かれていた。その選手の背中を見ていれば、自ずと周りの選手が慕うのもわかる気がする。

頼れる兄貴は、選手からだけではなくファンからも同じように思われていたんじゃないかと思っている。そのうちの一人が私でもある。「代打、矢野。背番号37」というアナウンスが球場に響き渡るとそれだけでほかの代打よりもより一層「頼むっ!」という気持ちになる。個人的なことを言えば、若手が多い日ハムの中で年齢が近い選手の1人であることが一番だとは思う。でもそれ以外にも理由がある。札幌ドームに行くとわかる事があって、7回あたりからベンチ横の小窓のような所から必ずグラウンドの状況を確認してる矢野選手を何度か見た。ベンチ裏でテレビで見ることだってできるはず。なのに、必ず矢野選手は小窓から覗いていた。

去年、文春野球学校の課題コラムにこんなことを書きました。

矢野の全力疾走で1塁セーフ。ガッツポーズをする矢野の姿と一緒に聞こえてきた「泥臭い1本ですが何か一つきっかけになりそうですね」という実況に大きく頷きながら缶ビールを飲んだ。

2018年シーズンの初ヒットは11打席目。全て代打での出場。そんな彼のヒットを目にした時に「何か一つきっかけになりそう」そう言わせる雰囲気、勢いを常に持ってる選手だった。

オレンジと青色のライトに囲まれて、スタンドからは巨人時代と日ハムでの応援歌。引退セレモニーでは、いつもクールなイメージの大田泰示や西川遥輝が花束贈呈で抱き合いながら号泣していた。それだけ、やはり頼れる兄貴だったのだと思う。

頼れる兄貴はいま日ハムの「特命コーチ」として海外にコーチ留学中。引退後に巨人のコーチとかやるのでは?なんて日ハムファンの中から心配する声もあったけど、日ハムの頼れる兄貴、頼れるコーチとしてこれからもチームに貢献してくれそうです。


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