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遠い記憶 第三話

3歳の声を聞いての事だったと、後に知る。

私には、そこの所の記憶が無い。

祖父母の家から離れ、南国の地へ引っ越し。

そこは、お宮の敷地内にある長屋。

確か、二列ほどあった。

その南側の、一番奥の角、

六畳二間ほどの、小さな長屋の一角。

北玄関で、入って直ぐ左手が台所、

南側に、縁側があり、その左手に五右衛門風呂。

その手前、蒔きが積まれていた。

それまで、自然に居た祖父母の姿は無い。

父がいて、母がいて、兄もいた。

まだ、小さくお乳を吸ってる弟の姿もあった。

私にとっては、初めての家族生活であった。

お宮の敷地内なので、

家に入るには、お宮の入り口を通らなければ入れず。

その、入り口の両脇に大きな狛犬があったのを覚えている。

中庭には、池があり、架け橋もあり、

良く遊んだのを覚えている。

入り口の狛犬は、結構な大きさで、かなりビクビク

しながら、登ったのを覚えている。

しかし、大分後に行って見たが、

その時は、草は生い茂り、お宮も廃墟同然、狛犬など見る影も無く、

おかしいなぁと、何度も行ったり来たりして、

ふと、足元を、見たら小さな石の狛犬。

あれ!

もしかして、これ?

私の記憶に残る、狛犬は、大きな、大きな狛犬だったが、

ちじんだのか?と、

一瞬思ったが、それだけ、

私が、小さかったと言う事だった。

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