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栄養学的アプローチから「目」を守る。最新研究から考えるドライアイ対策

ドライアイとは、涙の質や量のバランスが崩れることで起こる眼の不調です。症状としては、目の乾燥感、異物感、疲れ目、かすみ目などが挙げられます。従来は加齢による涙の分泌低下が主な原因と考えられてきましたが、現代社会では若年層にも広がっているのです。

その背景には、デジタルデバイスの長時間使用があります。スマートフォンやパソコンを見続けると、無意識のうちに瞬きの回数が減り、涙の蒸発が促進されてしまいます。また、室内の乾燥した環境や、睡眠不足、ストレスなども影響しています。

このような状況の中、最新の研究では栄養学的アプローチがドライアイの改善に効果的であることが明らかになってきました。今回は、若い世代の皆さんに向けて、ドライアイと栄養の関係について、最新の科学的知見をもとに解説します。

ドライアイが起こる原因は「涙の質と量のバランス崩壊」

涙は単なる水分ではなく、複雑な成分で構成されています。主な層は、最外層の脂質層、中間の水層、そして眼球に接する粘液層の3層構造です。

この涙の質と量のバランスが崩れることで、ドライアイという問題が生じます。特に注目すべきは「涙液の高浸透圧」という状態です。これは、涙の水分が減少することで、涙に含まれる塩分などの濃度が高くなる現象を指します。

この高浸透圧状態が引き金となって、眼の表面で炎症反応が起こります。炎症が起こると、さらに涙の質が悪化するという悪循環に陥ります。また、この過程で発生する活性酸素種(ROS)が、眼の表面の細胞にダメージを与え、症状を悪化させるのです。

若年層の場合、デジタルデバイスの使用による涙の蒸発促進や、不規則な生活習慣によるストレスが、この悪循環を加速させる要因となっています。

栄養素とドライアイの関係

では、栄養面からどのようにドライアイにアプローチできるのでしょうか?最新の研究から、いくつかの重要な栄養素が明らかになっています。

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