酵素は、生体で起こる化学反応に対して、触媒として機能する分子である。生物の消化・吸収・代謝・排泄といったあらゆる生理現象に関与する。多くの酵素は、生体内で生成される蛋白質を主原料に構成される。
1)主な性質と働き
(1)触媒の働き
体内で発生する化学反応は、高いエネルギーの遷移状態の経由が必要とする。酵素はこの状態を起こすための障壁を下げ、化学反応が進みやすい状態を促す触媒としての機能を持つ。なお、生体内では多数の化学反応が、1気圧、37℃、pH7.4で効率よく進むとされている。
(2)恒常性の維持
酵素は、体内の化学反応の速度を調整する因子の一つでもある。ここでの化学反応とは、物質の合成や分解、エネルギー産生、解毒などがあり、酵素反応の以上は、疾患の原因ともなりやすい。
2)主な種類
体内には、約3,000種類もの潜在酵素(体内酵素)があるとされており、それらは大きく消化酵素と代謝酵素に分けられる。消化酵素は、摂取した栄養分を分解し、吸収しやすくする。代謝酵素は吸収した栄養素を、エネルギーにするよう働く。
(1)主な消化酵素
一般によく知られる消化酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼの3種類である。
(1)−1 アミラーゼ
デンプン分解酵素で、ジアスターゼとも呼ばれる。唾液中に多く含まれ、熱に強い種類も多い。アミラーゼには異性体が多く、次のような種類がある
・α-アミラーゼ:デンプンをランダムに分解
・β-アミラーゼ:デンプンをマルトース単位で分解
・グルコアミラーゼ:デンプンをグルコース単位で分解
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