乳製品と腸内環境〜牛乳と乳糖〜
腸内環境を整える腸内細菌のうち、善玉菌としてよく知られる乳酸菌は、乳製品などによく含まれている。しかしその乳製品が、腸内環境に悪影響を及ぼすことも少なくない。特に日本人に馴染み深い乳製品である「牛乳」の腸内環境への影響は、よく取り上げられている。
牛乳でお腹を下す原因
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロ鳴り、場合によっては下痢をする人が日本人には多い。その原因は、牛乳に含まれる「乳糖」ではないかと考えられている。
母乳を飲んで育つ乳児は、乳糖を分解する酵素を持つ。しかし年齢を重ね母乳が不要となるにつれ、乳糖分解酵素は不活性となっていくのである。その結果、成人後に牛乳を飲むと、腸内環境が悪化し下痢になると考えられている。
また日本人の場合、欧米諸国に比べて乳糖分解酵素を持っていない割合が高いとされるが、実態は異なる。そもそも日本人は「乳糖不耐症」とあり、乳糖分解酵素の活性が低いという特質を持つ。そのため、乳糖分解酵素であるラクターゼの活性がほぼないのだ。
アジアは乳糖不耐症が多い
2016年、日本人が乳製品を主食とする遊牧民の生活を体験するという実験をした。家族は8人構成で、朝6時に起床しミルクを絞る。モンゴルでは生活の半分を都市で過ごし、残りは草原に囲まれ、牛、馬、羊、ヤギ等からの乳製品を主食として生活する。
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