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睡眠と栄養の関係性について

睡眠障害や睡眠の質の低下がみられると、成長ホルモンの分泌が少なくなるなど多くの健康問題に発展する。反対に、睡眠の質が高ければむくみの解消や体重減少、日中の集中力の向上など多くの効果を見込める。ここでは、睡眠の質を向上するためにしっておきたい栄養学的観点で話をしていきたい。

(1)睡眠不足の栄養学的原因

睡眠不足による最大の問題点は、ホルモンが生成できないことにある。睡眠中に分泌されるホルモンとして、よく知られているのが成長ホルモンは、身体のターンオーバーに欠かせない。身体の各機能と密接に関わるホルモンが、睡眠不足で分泌されなくなるのだ。

そんな睡眠不足の原因となるリスクとして、栄養学的観点では次のものが考えられる。

1)カフェイン

カフェインは交感神経優位を誘発し、睡眠を阻害することで知られる。コンビニ等で販売されている『眠眠打破』にも、カフェインが大量に含まれる。常飲することによる「慣れ」により、睡眠不足につながらない人もいる。しかし飲みなれていない人や、間隔をあけてカフェインを摂取した人の場合、午前中~昼に飲んだコーヒーやカフェインを含む飲料により、睡眠の質が低下するリスクをはらむ。

『眠眠打破』などの飲料の場合、眠気が完全に取れるわけではなく、「眠いけれど目や脳が冴えている」という状態を無理やり作ることとなる。仮にこの状態睡眠時間を確保したとしても、熟睡できていないので眠気が取れない感覚に襲われる。

疲労回復のニーズがある、自律神経の乱れに悩むクライアントに対しては、1週間程度カフェイン摂取を控えるようにアドバイスするのも有効だ。

2)砂糖・甘味料

血糖値の増減を激しく誘発する。高血糖の状態での睡眠は、成長ホルモン分泌が抑制されると言われている。血糖値の急上昇はドーパミン、アドレナリンが分泌=交感神経優位となり睡眠障害に陥る危険性が高くなる。

3)グルタミン酸

味の素の製品が該当する。神経の興奮を促し、また依存性も高い。

4)アルコール

寝る前にアルコールを飲むと眠りやすいという話は多い。ここで注意したいのは、アルコールは「入眠」をスムーズにしてはくれるものの、ノンレム睡眠を阻害する=深い眠りにつけていない状態であるということだ。

ヒトの睡眠は、入眠30分後に訪れる最初のノンレム睡眠が、もっとも深い睡眠だとされている。このタイミングでは体内に多量のアルコールが残留しているため、交感神経優位で海馬、前頭前野もうまく働かない。つまり脳機能がうまく休めない状態でもっとも深い眠りに達してしまうこととなる。

アルコールを夜常飲する人は、その習慣が長期化している場合、気持ちよく眠れたという感覚があるものの日中眠くなるという症状に悩まされやすい。

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