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脊椎を理解する①頚椎の特徴と起こりやすいアライメント不良+頭部へのアプローチのウソ・ホント

このnoteでは、たびたび脊椎(頚椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨)にまつわる話をしています。今回から、そういった脊椎の全体像を把握できるような記事を発信したいと思います。第1回のこの記事は、脊椎の全体像をかるくおさらいしつつ、頚椎の話をしたいと思います。

脊椎の基本をおさらい

脊椎は主に、頚椎(C)が7個、胸椎(Th)が12個、そして腰椎(L)が5個、そして仙骨・尾骨で構成されています。仙骨も誕生時は3~5個の椎骨に分かれていますが、発育発達を経て癒合していき、仙骨というひとつの骨になります。実際、仙骨をよくみると、正中仙骨稜に複数の椎体の名残のような棘突起が見られます。この癒合ですが、もっとも遅い事例だと26歳で起こるというケースもあるので、このnoteをお読みの皆さんの中には、仙骨の癒合が終わっていない人がいるかもしれませんね。

さて、これらの椎骨には、それぞれ得意な動き・苦手な動きがあります。例えば頸椎は、C1〜7のすべてが屈曲・伸展動作で動くものの、回旋運動はほとんどC1とC2、つまり上部頚椎で発揮されているんです。頭部の回旋動作は、後頭下の関節でも多少行われていますが、中心となるのはC1・C2とおぼえておきましょう。

胸椎の場合、屈曲・伸展動作を発揮しているのはTh11とTh12、つまり下部胸椎です。脊柱のなかで、屈曲・伸展が一番得意なのは腰椎というイメージがあると思います。その腰椎に限りなく近い、下位2つの胸椎が屈曲・伸展が得意というのは、結構イメージしやすいですよね。ちなみに、回旋可動域が広いのは上部胸椎です。

腰椎に関しては、屈曲・伸展が非常に得意です。一方で回旋は非常に苦手で、5つの椎骨の回旋可動域の最低値は、合計5°という研究があるんです。もう少し可動域が広いという言説でも、15°程度だとされます。研究によって差はあるものの、腰椎1つあたりの回旋可動域は1〜3°ということになるわけですね。

どの数字を取っても、「腰椎は回旋が不得意」というのがわかりますよね。この事実を知っているだけで、よくスポーツ指導の現場で耳にする「腰をひねる」という表現が、いかに間違っているかが理解できると思います。

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