下腿外旋が起こす身体のイレギュラーと痛み①〜アライメント異常を見抜くための評価方法〜
今回から合計2回に分けて、「下腿外旋」について解説していきたいと思います。下腿外旋というのは、大腿骨に対して下腿が過剰に外旋してる現象を意味します。そのため下腿の過外旋と言い換えることもできるでしょう。
下腿外旋は股関節周辺や膝関節周辺、足関節周辺など脚部全体の不定愁訴に関係があるとされるアライメントです。特に膝痛を訴える方のアライメントを見ていると、下腿過「内旋」というケースはほとんどありません。
股関節が内側に傾いている「ニーイン」の状態でも、下腿に内旋ではなく外旋している現象が起きています。O脚のケースでも、下腿は外旋しているケースは珍しくありません。
今回のnoteでは、脚部の不定愁訴に関わる下腿外旋にはどのような問題点があるのか。そして下腿外旋をどのように評価すればいいのかを、解剖学的に解説していきます。
下腿外旋によってどんなリスクが起こるのか?
本来、膝関節が完全伸展位の時、大腿よりもつま先が外を向いています。つまり、下腿外旋位であることそのものが悪い現象というわけではありません。ここで紹介している「下腿外旋」とは、下腿が過剰に外旋しているという点を理解しておきましょう。
では、下腿外旋(正確には下腿の「過外旋」)によってどのような問題が起こるのでしょうか。
最初に挙げられるのは、「前十字靭帯損傷のリスクが増大する」です。また、下腿の外旋は膝が外反が起きやすくなり、内側側副靭帯の損傷リスクも増体しやすいです。さらにさらに、下腿外旋では外側の半月板の損傷リスクも高くなります。さらにさらにさらに、下腿外旋は膝蓋骨(パテラ)が外側に偏位しやすくなります。
こうして列挙すると、下腿外旋ではいくつもの問題が発生することが分かります。ちなみに、パテラは骨格的な構造上、基本的には外部側にしかずれていかない傾向にあります。そして、ニーイン・トゥーアウトのような状態で下腿が外旋すると、パテラがより外側に引っ張られやすくなるのです。この状態では、膝関節の脱臼リスクが増し、膝関節そのものが不安定になってしまいます。
また、大腿のに対して下腿が外旋が顕著に起きていると、偏平足の原因にもつながると言われています。筋肉に視点を移すと、下腿外旋に関係する筋群といえば、外側広筋や大腿筋膜張筋、腸脛靭帯が挙げられます。筋膜連結も踏まえると、大腿二頭筋の長頭、中殿筋、大殿筋といった筋群も関係しますね。これらの筋群が、下腿外旋によってすべて緊張してしまうわけです。
また、下腿の外旋が強調されることによって、下腿につられて「大腿も」外旋してる可能性があります。つまり結果そして「股関節外旋+下腿過外旋」というアライメントが生じているわけです。
基本的に、下腿の外旋に対して大腿は内旋しているというアライメントが多く見られるのですが、上記のケースを見落とすと、クライアントに正しいアプローチができなくなる点に注意しましょう。
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