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コラーゲン(成分、構造、作用、消化・吸収、食品)

コラーゲン(Collagen)は、多細胞動物の細胞外基質(細胞外マトリクス)の主成分です。繊維状あるいは膜状の構造体をした、不溶性動物性たんぱく質の1種として知られます。コラーゲンは体内で最も多いたんぱく質であり、人体のたんぱく質総量の25%以上を占めているのです。

たんぱく質の大部分は生体中で球状を示し、水に溶けた状態で存在しています。しかしコラーゲンは水に溶けない状態で存在し、臓器や人体の作りを形成し、支えて頑丈にしたり、臓器と臓器を結合させ境界を作ったりします。

コラーゲンは皮膚や腱、軟骨、骨、血管壁、歯、歯茎(60%コラーゲン)などに多く存在し、特に皮膚や腱では含有する有機物の70~85%(湿重量比)を、コラーゲンが占めています。

強さと柔軟さを兼ね備える皮膚。骨と筋肉を引っ張る力を伝える腱。硬さとしなやかさを持つ骨。このように、コラーゲンは線維化することで多様な働きを担います。

ゼラチン
コラーゲンは高温(哺乳類から抽出されたものは約40度、魚類から抽出されたものはそれ以下の温度)で変性させると、ゼラチンとなります。コラーゲンと異なり、水に溶けるといった物理的・化学的性質を持つのが特徴です。

ゼラチンはコラーゲン配合と表記された化粧品および補助食品、ゼリーの原料として用いられます。主な原料は牛・豚など大動物の皮膚・骨や魚類です。

成分

コラーゲンは主に、間葉性細胞に属する線維芽細胞、骨芽細胞、軟骨芽細胞、象牙芽細胞、線維随伴細胞などにより合成されます。また上皮細胞や平滑筋細胞にもコラーゲン合成能があると言われています。

線維芽細胞やその他の細胞で合成されるコラーゲンは、プロコラーゲンの状態で細胞外に分泌された後、重合化して線維を形成。プロコラーゲンは、細胞外で酵素分解によりN末端ペプチドの一部が切断され、プロトコラーゲンに変わります。プロトコラーゲンからコラーゲン線維の形成には、酸素・鉄イオン(Fe2+)・アスコルビン酸・α-ケトグルタル酸が関わります。

コラーゲンは化学的に安定したたんぱく質であり、皮膚や骨、関節などに存在する場合、長期間分解されません。これはコラーゲンが持つ特有のアミノ酸配列構造、架橋結合、3重らせん構造が酵素分解を受けにくいためです。

健康なヒト組織中のコラーゲンは、皮膚で15年、軟骨で117年の半減期を有するとされています。しかし発育期や創傷治癒時の結合組織では、コラーゲンの生成・分解が盛んに行われ、組織が再生されます。

種類

2004年までに、ヒトのコラーゲンたんぱく質は30種類以上あると判明しています。そして各コラーゲンは、ローマ数字を使って28の型に分類されています。

真皮、靱帯、腱、骨などではI型コラーゲンが、関節軟骨ではII型コラーゲンが主成分です。全ての上皮組織の裏打ち構造である、基底膜にはIV型コラーゲンが多く含まれています。体内で最も豊富に存在しているのは、I型コラーゲンです。

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