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3つの感覚を呼び覚ましてパフォーマンスを高めるエクササイズ~視覚・前庭覚・体性感覚を蘇らせる~

日常生活や運動をしている時、肩や腰、首といった局部が痛いなど、身体のどこかに異常を抱えているわけではないのに、パフォーマンスが悪いと感じる場合があります。何もない場所に足をぶつけたり、ちょっと走っているとつまずいて転びそうになったり、ボールを思った場所に投げられなかったり。久しぶりに運動をするという時は、特にこうしたパフォーマンス低下を感じやすいです。

この問題に陥っている人は、もしかすると視覚・前庭覚・体性感覚といった情報に基づいた、脳のマッピングに問題を抱えているかもしれません。

脳のマッピングのエラー

視覚、前庭覚、体性感覚は、それぞれ脳や脊髄を介して情報が伝達され、ボディマップを形成しています。多彩な情報が入力されるほど、脳を介したより正確なボディマップが形成されるわけです。しかし、学生から大人になるにつれ、こうした3つの感覚による情報が少なくなってしまう場合があります。

例えば、私たちの多くは、学生時代に放課後の部活で必ず運動していました。それが社会人になった途端、8時間以上拘束されてずっとデスクワークをするようになります。長時間座った姿勢を取ることで、視覚による情報はかなり限定的になるし、イスに座っているのでバランスが崩れるということはなく、前庭覚の情報入力も少なくなります。膝や股関節は屈曲した状態がずっと維持されるので、体性感覚からの情報も限定されてしまうでしょう。

このように、複合的に入力される情報が減ることで、ボディマップに不明瞭な場所が生まれてしまいます。ボディマップが不明瞭になるということは、自分の身体の状態を正確に把握できなくなるということです。そして、ボディマップが不明瞭な状態で運動をしようとすると、運動の瞬間、身体に何が起こるかを予測する能力も低くなってしまいます。これが、何もない地面でつまずく、思うようにボールを投げられないという状態につながるわけです。

ボディマップが不明瞭だと、筋トレでもトラブルが生じやすくなります。例えばフルスクワットをする場合、股関節・膝関節・足関節が最大屈曲できる可動域を有することが重要です。しかし、ボディマップがうまく形成されていないと、そもそもフルボトムでしゃがむことができなかったり、ボトムポジションで姿勢を維持できず、後ろに倒れそうになったりします。あるいは、なんとかボトムポジションを維持しようとするがあまり、背中が丸くなったり頭部が前突したりといった代償動作が見られるかもしれません。

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