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前庭覚、脳による血圧への介入。血圧のコントロール機能を改善する方法

皆さんは、普段血圧を測ったりしますか?20、30代など若い方はまだ、日常的に血圧を測ることはないかもしれません。血圧は基本的にどちらの腕で図っても差はないですが、解剖学的観点では右上腕で測る方がいいと言われています。それは、大動脈から上腕へ流れる鎖骨下動脈という血管が、右側寄りの位置で早く分岐するため、右腕の血圧の方が高くなりやすいからです。

つまり、血圧には基本的に左右差があるのが一般的です。ちなみに、血圧はテレビを見ていたりラジオを聞いていたりなど、五感の情報でもわずかに変化します。そのため、左右で血圧を比べても、その時々で数値は結構変化します。しかし、左右の血圧を何度か測定してみて、10以上の差がみられるという場合は、医師に相談してみた方がいいかもしれません。

今回は、普段あまり気にしないこの「血圧の左右差」が、身体にどんな影響をもたらすのかについて考えていきたいと思います。

人はバランスを保つ時に血圧が変動している

私達が普段行う運動で、おそらくもっとも難易度が低いのが「歩行」だと思います。歩行中、私達は常にバランスの維持に迫られているわけですが、駅で歩いている時急に、隣の人とぶつかってしまったとしましょう。仮に自分の右となりにいた人がぶつかってきたとき、当然身体は左に傾きます。そのまま倒れ込んでしまわないように、あなたは左脚で身体を支えたり、上半身をうまくコントロールして重心を安定させようとするはずです。

この身体の傾きを近くしているのが前庭覚であり、脳神経の第8神経:内耳神経が前提覚を司る器官(三半規管など)をコントロールしています。内耳神経が左に傾いたことを知覚し、それらが前提覚を経て脳(脳幹や皮質)で情報処理され、バランスを保つための動作につながっていきます。

今回のケースであれば、左脚で身体を支えるために筋力を発揮しないといけません。この「筋力を発揮させる」を実現するには、力を入れたい部位(左足)に十分な栄養と酸素が必要です。それらを運ぶために、瞬間的に左脚の血流が増える→血圧が上がることが求められます。ちなみに血圧を調整しているのは延髄です。こうした複数の器官が連動して、人は転ばずにバランスを保つことができるのです。

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