BtoB SaaSが「1年越しに売れる」ということ

※ こちらは「LayerX Advent Calendar」18日目の記事です。
昨日は、LayerXの執行役員兼、バクラク事業部 部長の牧迫による  "LayerX SaaS事業の「事業ビジョン」を策定した話" をお届けしました。

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はじめまして!バクラクで市場開発を担当しております、宮崎(miyachan)と申します。

つい先日、「バクラク請求書(※ 旧LayerX インボイス)」がまだGoogle スライドの1ページのコンセプトでしかなかった頃に、ヒアリングにご協力してくださったお客様から「うちでバクラクをご導入することにしたよ!」とのご連絡をいただきました。

誠にありがたい限りで、大変うれしく思っています。

また、他にも、

・既に他社様のご利用を決められたお客様から、半年ぶりにご提案の機会をいただき、弊社サービスにご決定いただいた

・お会いしたての頃はすぐに使えないとの判断だったが、改善を重ね、4ヶ月越しに弊社サービスにご決定いただいた

等、初回のお打ち合わせから時間を経て、ご導入を決定いただくケースを多数みてきました。

もちろん運の要素もありますが、これらのエピソードは弊社に限らず、どんな会社であっても、サービスリリースから成長に至るまでの段階で経験する事象なのではないかと考えています。

サービス立ち上げ期の様子については、カジュアル面談でもよく聞かれるため、以下では「MVPが時間を経て、売れるようになるまでの間に、何が起きるのか」をテーマに、書いていきたいと思います。
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プロダクト開発前夜

冒頭のお客様に対してヒアリングが行われたのは、昨年10月頃でした。当時は「バクラク請求書(旧 LayerX インボイス)」という名前もなく、まだまだGoogle スライドベースでのPoC(Proof of Concept、概念実証)の段階にありました。

当時、セールス/BizDevと呼べるメンバーは執行役員の牧迫(@35_mki)と私の2名のみ。

リファラルでご紹介いただいた会社様に対し、サービスご紹介のお時間をいただき、普段の業務の進め方に関するヒアリングをさせていただき、プロダクトのコンセプトに対していただいたフィードバックをひたすら社内へ持ち帰る日々でした。

また、個人としても、SaaS・BtoB・セールス完全未経験の状態から、セールス職へと配置転換していただいた直後の時期で、とにかく不確実性(よくいうと可能性...w)にあふれていました。当時、大胆な意思決定を支えてくださったチームの皆様に、とにかく感謝しています...!

このように、バクラクにもプロダクト開発前夜があった訳ですが、セールスの観点で、これまでの1年間を振り返ると、大きく下記3つのフェーズにわけられると思っています。

① プロダクト開発前(構想段階)
② プロダクトができた頃(リリース直前~直後)
③ プロダクトが徐々に売れるようになった頃(正式リリース & 改善Nサイクル後)

面白いことに、それぞれのフェーズでお客様からいただくリアクションは、明確に異なります。

逆説的に、いただくフィードバックの質で、今はどのフェーズにいるのか、再確認できると言えるかもしれません。以下、それぞれの特徴を記載していきます。

① プロダクト開発前(構想段階)

Google スライドで「この概念どうですか」と営業をしていた頃、いただくフィードバックは概ね、下記のいずれかでした。

「見た感じ、とても良いコンセプトだと思う」
「御社がこれを実現したらぜひ使いたい」
「正直な所、現状あまり困っていない。一方、こっちの課題は解決できないか?」

一見好感触なフィードバックのように見えます。

が、まだモノがない段階では、お客様としても課題感に対してリアリティを持ちづらく、フィードバックしようにも難しい状況に陥っている可能性もあります。

そのため、「1. 総じてなんとなく良さそう」か「2. 全然ダメ」か「3. 今の提案とは関係ないが、こういう課題には興味がある」のリアクションのいずれかが返ってくる可能性が高いでしょう。

早い話、正しい知見を得るために、我々はモノを作るというリスクを取り、勇気を振り絞って「実際にぶつけてみる」必要がありました。

(大変申し訳ないのですが)
この段階では、極めて本質的で重要なフィードバックをいただいていたとしても、我々自身の解像度が低すぎて見逃してしまっていた可能性があります。現在になって、改めて議事録を振り返ると、時間差で多くの学びを得られるとともに、反省することが多くありました。

② プロダクトができた頃(リリース直前~直後)

少し経ち、ミニマム版のプロダクトが誕生すると、今度はフィードバックが下記のように変質します。

「いらない」
「今ではない」
「XXの機能が足りないので、うちでは使えない」
「確かにペインではあるが、これなら手作業で頑張った方が良い」
「あなた方は、我々の日々の業務に対する理解が足りていない」
「おお、ちょっといいかも?」

リリースしたてほやほやの時期ですが、現実には上記のように、厳しいご意見が相次ぎます。

この段階で重要なことは「コンセプト上、最も重要なポイントについて、一定の価値が認められていること」だと思います。

価値がある故、一部のお客様から「おお、ええやん...」というリアクションをいただきます。これらのフィードバックが、今後一生忘れないであろう、はじめてのお客様との出会いに変わっていきます。

その一方で、「それ以外の部分が未熟すぎて、実業務での使用に耐えない」という状態も併存するため、厳しいフィードバックをいただくのは至極当たり前とも言えます。

一見つらいフェーズにも思えますが、これらは不確実性が急激に下がっている証拠でもあります。

「実際に運用が始まって、本当に必要に必要なものが明確になった」「XXができると、業務上のこういう課題が解決できることがわかるようになった」「YYな体験を実現せねばならない」等、チームとしても様々なゴールが急激に明確になる瞬間でもあります。

厳しいフィードバックは、将来の喜びにつながる発見を得られているのであり、何よりもありがたいことと思います。

③ プロダクトが徐々に売れるようになってきた頃(正式リリース & 改善Nサイクル後)

上記の数々のフィードバックへの対応に夢中となっているうちに、プロダクトもブラッシュアップされ、気づけばフィードバックは下記のようになりました。

「最高」
「他社はこのプロダクトを使って、どうやって業務を構築しているのか」
「あとは、この機能があったら導入します」
「うちでは◯◯というツールを使っているが、どうするとより一層うまく使えるだろうか」
「当社の業務フローでは、この機能については、デフォルトで✗✗になっていると嬉しい」
「子会社でも入れてみたいが、どうすればよいか」
「LayerX社内では、他にもどういうツールを使っているのか」

以前にも増して、サービスの価値がお客様に伝わっており、様々な角度からの質問が相次ぐようになります。
このタイミングでは、プロダクトに関する質問だけでなく、「他のお客様ではどうしているのか?」「他社製品との良い組み合わせやベストプラクティスを教えてくれないか」等、運用面に関する深い知識が求められるようになります。

カタログセールスだけでなく、ソリューションセールスをしきれているか、お客様の課題を解き切れているか、の側面がより一層、重要になってきます。

あるお客様から一度このようなフィードバックをいただくと、以降同じ条件下のお客様からは、高確率で同様のポジティブなフィードバックをいただくこととなります。これがいわゆる、特定の市場における「PMF」と呼ばれる状況だと思いました。

MVPが売れるようになるまでの間に、何が起きているのか

肝は、②と③の間にある「無数の改善」にあると思います。

モノを出すことによって得られる深いユーザー理解、そして愚直にユーザー体験を磨き込んでいくことで、あるタイミングを境に③のようなフィードバックに変わっていく実感がありました。

既に言い尽くされている話と思いますが、とにかくお客様の声に真摯に向き合い続けること、この1点を突き詰めることで、我々は少しずつ前に進むことができます。

日々のユーザー体験の改善の積み重ねが「1年越しに売れる」「半年越しに売れる」「Nヶ月越しに売れる」現象を呼び寄せているのだと思います。

一度PMFしたら、どこにでも売れるのか

これは「No」だと思っています。
一定ポジティブなフィードバックを得られるようになったとしても、すべてのお客様から③のフィードバックをいただける訳ではありません。

> 特定の市場における「PMF」と呼ばれる状況だと思いました。

お客様のセグメントを少しずらしたり、規模を変えると、引き続き ②のようなフィードバックをいただきます。今後ともプロダクトの磨き込みを続けていかなければ、次のマーケットに繰り出すことはできません。

今のLayerXはまさにこの状態にあると思っています。引き続き、色んなお客様に喜んでいただけるよう、プロダクトリリース直後のように烈火のごとく改善を続けています。

さいごに....... LayerX、楽しいよ!というお話

LayerXのバクラク事業として、やりたいことはまだまだ無限にあり、今後も難易度の高い挑戦が続きます。

すなわち、今が一番楽しい時期であるということです!
一緒にチャレンジできる仲間を大大大募集しています。

「スキル面でなんとなく不安があり、応募するのを躊躇している...」という声をよく聞きます。しかし完全未経験でも、学習する勇気さえあればどこにでも活躍できるチャンスがあります!

まずはぜひお気軽に、カジュアル面談からどうぞ!
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