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深見じゅん (悪女)

あまり、こういう漫画は読まないんだけど、昔、姉に借りた雑誌に載っているのを読んで、続きが読みたくなって、とうとう単行本を買ってしまったという作品。
続きがどうなるかが気になるという事は、ストーリーが上手いって事なんでしょうね。あまりかわいくもない普通の女の子が素敵な男性に一目ぼれをして、その男性にふさわしい女性になろうと努力するという話。と言ってしまうと、何の変哲もない話のようだけど読み出したら止まらなくなる漫画です。
読者対象が若い女性ということで、主人公を若い女性に設定したのだろう。(当たり前?)そして、読者に夢を与える・・・という事はやっぱり好きな男性と結ばれるって言う事?・・・で、主人公は何をしているか?少女漫画だと学園物にすればいいが、もう少し年齢を上げるとOLか・・・?単に恋愛だけじゃ話がつまらない。少女なら、トップダンサーを目指すとか、歌手とか、スポーツ選手とか・・・OLなら何だ?「出世!?」・・・・・・とかいう風に、この漫画を描く前に色々考えたのだろうと思う。
そして、この「会社で出世する」という案がこの漫画の成功の重要なポイントだと思う。今まで、「出世」を目指しながら一目惚れした男性を見つけるOLの話はなかったのではなかろうか?こう言っちゃうと失礼にあたるかもしれないが、それ以外ではこの漫画は今までの漫画で使い古されたものばかり恥ずかしげもなく使っているのだ。例えば、主人公が男性と出会うシーンは、コンパクトを落として、拾ってもらい、一目惚れになる。というのだ。読んでて恥ずかしくなるぐらい、使い古されたパターンだ。その後、色々とイジメに会うが、必ず助け導いてくれる人がいるし、本人は持ち前の明るさとタフさで頑張るのだ。若い女性版の「OL根性漫画」(スポ根ならぬOL根漫画?)とも言える。
会社とか東京とか、私に想像もつかない世界なのだが、そこがまた、私にとって、興味を引く原因のひとつかもしれない。
ただ、主人公が一目惚れするT・Oさんが、残念ながら、あまり魅力的に見えない。悪くはないけど、一目惚れされるほどか?・・・ちょっと説得力に欠けると思うのだが・・・??そう思うのは私だけ?
この作品の中で一番魅力的な男性は、「小野忠」ではなかろうか?最初は主人公の事を毛嫌いしていたが、何だかんだと手助けをしてやる羽目になり・・・次第に性格の良さが見えてくる。という、まあ、非常によくあるパターンなのだが、だんだん良い人になる所がなかなか良い。「山瀬クン」もいい味出している。自分もああいう年下の男の子に慕われてみたいと思った読者は多いに違いない。
次から次へ一難去ったらまた一難。という調子で話は進み、主人公は片っ端から困難を解決していく。初め、意地悪だった登場人物も主人公に関わると少し良い人になっていく。こういうパターンも非常によくあるパターンなのだが、面白い。次にどういう困難が起こるか予想出来ない所がいいのだろう。何だかんだと文句ばかり言っているが、次はどうなるんだろう?と思わせるテクニックは素晴らしい!それが一番、重要な事だもんね。
初めてこれを読んだ時は麻里鈴と小野さんが結ばれたらいいのに。と思ったが、今回読み直してやっぱり一目惚れの田村さんと結ばれないとストーリー的にはダメだよね・・・と思った。

ものすごい蛇足だが、今回読んでて初めて気が付いた事がある。T・Oさん・・・実は私のダンナのイニシャルもT・Oなのだ。(姓の方がOですけど)・・・それがどーした?と聞かれると困るが、まあ、そういう事なのです。

それにしても、この作品には女性差別をする男性が数多く出てくる。ここまで露骨に差別発言をする男性は少ないかもしれないが、現実にも女性差別をしている男性は結構多いだろうと思う。しかも、そういう人は自分の考えが差別だとも気が付いていない事が多いのだ。女性でさえ自分が差別されている事に気付いてない場合が多いかもしれない。
女性と男性の決定的な違いは「出産」である。仕事をしていても「出産」の為、中断せざるをえない。その後、今の仕事を変わりなく続けるには長期間の休暇は取れないだろう。出産後には「育児」が待っている。夫が手伝ってくれれば少しはマシだが男性の育児休暇はまだまだ世間では極少数派だ。これから、少しずつ夫婦が力を合わせて育児をするという方向に向かうと思うが、まだまだ難しいというのが現実だろう。
ただ、夫婦が力を合わせて育児をしたとしても、子供は両親共に仕事をしているので、学校から帰っても「おかえり」と言ってくれる人がいないかもしれない。休みの日に思い切り子供の相手をすればいいのかもしれないが、それでも子供は少し寂しい思いをするのではなかろうか?・・・しかし、そんな事言ってると仕事は出来ない。・・・そうなのだ。仕事か子供か?両方共に充分出来る方法はないものか?


(心に残る手紙)
麻里鈴からT・Oさんに・・・
「わたしの名前は田中麻里鈴といいます。
この名前をおぼえていてください。」


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