瞳の奥にある、きらめきを求めて。
人の間にいること
かんたんなようで、一番むずかしい。
はじめに言葉ありき、とあるように、言葉は人間をつくったと言っても過言ではなく、人類史上の発明だとおもう。世界のすべてを言い表せる訳ではないけれど、相手に想いを伝えたい一心で紡ぎあげられた熱を、言葉には感じることがある。
自然からはみ出てしまった、ヒトはさびしい生き物だろうか。群れで生きようとする一方で、他人といるほどに孤独を感じる、わたしは変わっているのだろうか。
肉体のつくりや成分は、ほぼ変わらないと言う。では、なんでも分かち合えるのだと勘違いすれば、わたしは時に、とても息苦しくなる。はりねずみのハリのように、突き刺さる。相手に合わせようとするほど、合わなくなるのだ。
かと言って、わがままになれば、群れからは次第に遠ざかる。または、遠ざけられる。これは、よくあることなのだろうか。
矛盾しているようで、成立している。世界の真ん中がchaos (混沌、無秩序) だとしたら、本当によくできているとおもう。
すべてを共有することはできない。さびしさは、完全に埋められない。満たすことばかり考えた挙げ句の果てに、絶望した、一瞬。が、誰しもあるのではないかと、わたしは勝手におもうのだけれど、宇宙からみれば、わたしたちは地球そのもので、この惑星はひとつだ。切り離すことなど、もともと出来なかったのだ。
巨人からしてみれば
そうだったよな、と思い出させてくれたのは、もうすぐ読み終わりそうな、『空をゆく巨人』。川内有緒さんの著書のひとつ。
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福島県いわき市の実業家・志賀忠重と、中国福建省出身の世界的現代美術家、蔡國強。
二人は、1980年代にいわきで出会い、数々の驚くべき「作品」を生み出してきた。 砂浜に埋もれた木造船を掘り出した作品、海に導火線を置いて走らせた炎……蔡が描いたスケッチを、日頃アートに縁のない志賀らが頭と体を使って形にしていく――いわきは蔡が世界に羽ばたくきっかけとなった。
そんな二人の最大の作品が、東日本大震災後に制作した「いわき回廊美術館」だ。美術館周辺の山々では、志賀が、99,000本の桜を250年かけて植樹する「いわき万本桜プロジェクト」を進めている。
原発という「負の遺産」を残したことを激しく悔いて、未来のいわきを世界に誇れる場所にするために。
二人の「巨人」の足跡を辿りながら、美術、ひいては「文化」というものの底力を問う。こんな時代だからこそ伝えたい、アートと人間の物語。
読み終えたあと、一歩を踏み出す勇気が湧いてくる!
◎内容紹介 amazonより
いわきで芽生えた、国境を越えた友情。蔡さんと志賀さんの話を通して、なんとも言えない気持ちになる。わたしがいま求めているものは、うまく言えないけれど、すべて、このふたりの間にある。そんな気がする。
そしてなにより、嬉しかったのは、蔡さんのアートが世界で評価されたと言うことだ。物理的、精神的な壁が無くなるように願う、多くの心が証明されたのだ。それを知って、本当に嬉しくなった。こうなったらいいな、とわたしがおもう平和な世界と、重なってみえた。
年内、桜の植樹をするひとりとして、いわきを訪れたいとおもう。それは、単純に9万9000本の桜がみてみたいという想いもあれば、一日本人として生まれた誇りでもあり、そして、夢をもってふたたび歩み出すための、誓いでもある。
意味などなくても
なんのために生まれてきたのか、わたしなりに答えを出したい。それには、人と関わることが鍵になる、と内なる自分が呟くのを、あらためて聴く。
人間の言葉や表情、動作の端々にちりばめられた、本音のところ。わたしたちが誰しも感じとることができる、違和感。本音を、すくい上げられるようになりたい。
たとえるなら、海に潜ることだ。水面にただよう漂流物や、旅客船、飛び跳ねた魚。わたしは、まだ浅瀬にいる。巣を飛び出したのは、冷たくて、危険の潜む深海に、たしかに心惹かれているからだ。海底でうごめくさまざまな、未知そのものに。
幸運なことに周りには、それができる先人がいる。彼らは自然を敬い、人間の奥深くまで見透すことができる。なんて、そんなことをまた勝手に信じている訳だけれど、とにかく、愛のあるひとたちだ。学ぶことが多いと、あらためておもう。
瞳のきらめきを求めて
ところで、わたしは眼が好きだ。輝いていたり、くすんでいたりして、相手のことが一番よくわかるパーツだとおもう。まっくらやみからきたわたしたちの、瞳のきらめきには、言いあらわせない魅力がある。
人間が生きるには、夢や希望が必要だというのは、本当だ。瞳のきらめきが、この世界にもっと増えたらいいとおもう。そのために、今はnoteに書いたり、人と話す機会を増やして、言葉を磨いてゆきたい。
春は、何も言わずに近づいてくる。
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