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デザイナー相談箱に寄せられたヤングデザイナーの声。

こんにちは、MIXIデザイン本部本部長の横山です。
今日はSlackのデザイナー相談箱に寄せられたヤングデザイナーの声から、汎用性ありそうな40件をシェアします。相談箱は2021年1月に主にヤングデザイナーを対象にスタート。2022年10月まで70件超の相談が寄せられていて、匿名で投稿できるのが特徴。

相談箱は、僕が何か答えを知っている、あるいは諭す類のものではなく、物事には色々な側面があるよ、自分とは異なる考え方や感じ方が世の中にはあるよに触れることで、特にヤングデザイナーが周りの先輩に話を聞いたり、相談したくなるきっかけになればいいなあと運用しています。


相談
デザインの最後のツメが苦手です。どうしたらいいでしょうか?

最後のツメまでひと通り出来てこそ一人前のデザイナーなので出来るようになりましょ!
僕なりの捉え方なので参考になるかわかりませんが、僕自身ひとりで最後までやりきれるようになるまでには、以下工程をたどったと記憶してます。
各工程が最初から見えてたわけではもちろんなく、克服するたびに次の課題、次の課題…、で気づけば、あれ?最近先輩にデザイン修正されないなあとか、逆にアドバイスを求められるようになってました。

①どうすると仕上がったと言えるのかそもそもわからない。わからないので細かいバリエーションをたくさん作ってどれか引っかかればいいと思ってる
②たくさんの失敗から、それまで実際作ってみないとわからなかったNGな方向性が、なんとなくちょっとやったらわかるケースが出てくる。その時間をツメるべき方向性に使えるようになり始める
③なんとなく仕上がりのイメージは持てるようになったけど、今のままではツメが甘いことは認識出来るが、どうツメたらいいかはまだわからない
④どうツメるべきか見えるようになってきたが、表現や技術が追いつかない
⑤表現力や技術力を勉強や経験や時間や量とともに獲得し、それとともに結果ツメるスキルを獲得してく
⑥⑤まできたけどものすごく時間がかかる、普通にやってたら全然間に合わない、たどりつかない
⑦⑤に持ってくまでのスピードアップをあれやこれや試し続ける
⑧結果や成果から⑥以降がデザインの本当の力量の差(品質)になることを知る

現代には現代のやり方、獲得の仕方があるはずなので、あなた自身が出来てない要因を分解し、ひとつひとつクリアして、あなたなりのデザインアプローチを確立してください。出来上がったらこっそり教えてね。

相談
良いマネージャーと良くないマネージャーの違いはなんだと思いますか?私たちはマネージャーを選べないので気になります。

僕が見てきた優秀なマネジメントの人達が持っていたものをまとめると、
・事業目標と組織目標をどっちも同時に進行できる(落とし所をみつけられる)。それがきちんと説明できる、分解できる
・目標に対してマイルストーンを設定できる。それを可視化でき進捗を追える
・マネジメントの打ち手が豊富。効果測定できるウォッチ指標の知見も豊富。良くない結果に対し改善プランのアイデアも豊富
・チームや個人との組み合わせ毎のマネジメント手法(チームビルド)をチームと一緒に作っていける(経験したあるいは試したことのあるマネジメント手法をあてはめるのではなく)
・メンバーの動機づけができる。それがメンバー個人にとってもどう良いのか説明できる
・マネジメントの期限をセルフスケジューリングできる
・マネジメントが評価されるのは成果によってだと理解している
・事業や組織がスケールしていくことを頭の片隅にいつもおいておける(自分の後任育成もふまえて)
ってな感じでしょうか?

良いor良くないだとマネージャーの入れ替えにつながりますが、入れ替えはチーム立ち上げをより難しくしていくので、できればその手法は取りたくないかなあと思います。メンバーとマネージャーはほとんど偶然に出会うが、その偶然の組合せならではなチームビルドが出来ると、それは結果一番効率いいのかなあとも思いますし、そのやり方をみつける(デザインしていく!)のが働くことの醍醐味のひとつじゃないかと思いたいですけどねえ。

(追記)
ちょうどGoogleのソフトウェアエンジニアリング読んでるんですが、マネジメントのアンチパターンがかいてありました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4873119650
ざっくり異訳すると、
・言いなりにできる人でチームをつくる
・ネガティブな人への向き合いを後回しにし続ける
・デザイン上がりなゆえデザインの問題には真剣に向き合うが、人の問題には同じだけ真剣に向き合わない
・メンバー時代の友人関係だけでチームビルドをし続ける
・採用で妥協する
・メンバーを子供扱いする
だそう。

相談
誰かのデザインにどうアドバイスすればいいのかわかりません。全部よく見えてしまいます。

まずは
① 解決したい課題や、網羅/考慮すべき要件を満たせているか?
② ①を満たした上で、表現として伝わりやすいか?楽しいか?美しいか?簡単か?などもっと良く出来る可能性のディスカッションから始めると良さそう。①はチームの品質、②はデザイナー同士より高め合うためって感じ。

また、もし本当に全部が良いデザインであると考えるなら「全部が良いよ」
と伝えて上げて良いと思いますが、多くの場合「私だったらこうするかなあ」とか「どこかうまく出来ていないと感じている部分はある?それはなぜ?」と聞くことで、ディスカッションが生まれやすいかなと思います(Feedback is Giftって言葉もありますしね)。

レビューのやり方もメンバーの組合せ(デザイン対象やスキルセット等)で変わると思うので、所属部署ならではのレビュー方法がみつかるといいですね。
ちなみによく言われることですが、相互レビューの欠点は、お互いがレビュー対象になるために少しずつ自己防衛が働き、ちょっとずつ意見し合わなくなってしまいがちであること。
またレビューの内容ではなく、発言者に重きがおかれがちなこともよく言われています。解消のためにレビューワーを匿名にしたりするやり方もありますね。

相談
最近AIの画像生成サービスの進化が凄くて注目されてますが、どう思いますか?あと数年でクリエイティブ職がどうなっていくのか気になります。

かけた手間と得たものの差が大きいほど「これはすごっ!」って感じるのが人だと思うので、キーワード入力で、画像や動画やパノラマが生成(出力)されるサービスを使ってると、人はすごく万能感を感じるもんなんだろうなあと見てて思います。
そして、万能感を感じる人はこの先の技術のさらなる発展/拡張を見て話すけど、僕らのような職能の人はわりと現時点の技術の精度(課題)を見て話すので、お互い違うところで話しているなあとも感じます。
僕はこの一連の流れの中で、どんな人がこの技術を面白がってるのか?がわりと気になってて、なんとなく僕の観測範囲ではインフルエンサー(アイデアの掛け算や発想や最先端にいることに価値を発揮してる人)が多いような印象を受けます。どうしてだろう?と考えるに、アウトプットできるものが増えるからなのかなあとも思うし、デザイナーやエンジニアに相談する手間がはぶけるからなのかなあ笑と思ったりします(ここにもきっと需要がある!)。これは想像です、実際どうなのかを聞いたわけではない。

この技術×クリエイティブで考えると、
・AIの出力のクオリティを早く上げられるようなアルゴリズムのコントロールが上手いデザイナー
・教師データにもなる画像や動画や音などを食べさせる(タグ付けさせる)が上手いデザイナー
・どんなキーワードを入力したらいいかわからない、まだふわふわしたときにも、輪郭を形作る補助入力が上手いデザイナー
などは、この技術を使って、自身のアウトプットにadd onしていけるのだろうなと思うと、どんな技術もツールもそうですが、使う側でいたいよなあと思いながら注目しています。

相談
今の部署でデザイン力を上げられるのか悩んでいます。

デザイン力ってなんだろと考えると例えば設計力、構成力、思考力、実装力、表現力、演出力、装飾力など色々あると思います。今の部署でどの力がついて、どの力がつかないと思っているのか?を整理してみるといいかもしれませんね。
そして、今の部署のまま挑戦できそうなものがあればマネージャーに相談し、身に付けられるような環境を作る支援をしてもらう。それが今の部署で難しそうであれば、異動の時期かもしれないので、いつでも相談してください。

相談
有志で勉強会などしようとしてもなかなか人が集まりません。
会社で直接話した時や1on1では「参加したいんですけど~」と個別で言ってくるので、じゃあそれならばと企画すると、やっぱり人が集まりません。どうすればいいでしょうか?

人が集まらないが、
・1人も集まらない
・たくさん集まらない(複数人は集まる)
で状況が異なると思いますが、なんとなく…、時間同期的勉強会ってスタイルそのものが、働き方にそぐわなくなっているような気もしますね。

Googleのg2gはシェアする人と教わる人の2名から行われているようだし(規模よりもモチベーションや品質や開催コスト軽減)、
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/learning-development-employee-to-employee/steps/introduction/
takramはたしか、講師側が講義を録画し、学びのDBを作っていたような(メンバーは好きな時にいつでもアクセスできる、倍速で学べる)、
https://cast.takram.com/podcast/t2t

勉強会の目的が個人のスキルアップによる組織のボトムアップなのであれば、勉強会に集まる人数を増やすことだけでなく、ひとりでも多くの人がアクセスできる状況を作るのもひとつの手かもしれませんね。学びたい時が学び時なんでしょうから。

人が動くってむずいんですよね、ほんと。昔の名著ですが参考になるかもしれません。
https://www.amazon.co.jp/dp/442210098X/

相談
ギリッギリまで自分でボールを持ってしまいます。

これは、僕もそうだったので気持ちよくわかります。
みんな多分そうだろうと思いますが、デザイナーになりたての頃は、実際に手を動かしてみないと、うまくいくかどうかわからないことが多いですよね?それが少しずつ経験とともに、デザインのボツ経験も増えるので、そうするとだんだん…、このデザインアプローチはやってもあんまり良くならないな…という予想の確率があがってくるのではないかと思います。

なので、4割の出来で相談してくれたときには、この先の6割をどう仕上げようとしているのかを一緒に伝えてくれれば、先を見据えたレビューが先輩デザイナーなら返せるはずです。(4割の出来で力量を測るような人はそもそもレビュワーに相応しくないし…)
僕自身は、早く10割(OKライン)にもっていって、なおかつそこに、内緒でちょいとひと工夫いれちゃう位の方がデザイナーは良いと思っているので、私のデザインをより良くするアドバイスをくれる先輩を、うまーく利用すると良いと思います。

相談
いいデザインチームって、なんだと思いますか。

いい質問ですね(むずかしくてわからないときに考える時間をつくるフレーズ)。多用的であることはそうなんだろうなあと思いつつ、どんな多用軸があるかで考えてみました。
・X軸 リレーション(相互連携) デザイン職同士や周りの職能とも相互行き来で高めあえる
・Y軸 クリエイティビティ(クオリティ) デザイン職同士や周りの職能とも高めあえる
・Z軸 時間や場所 世代/経験年数/バックグラウンドで刺激しあえる
きっともっとありそう。そしていいデザインチームかの判断基準は、デザインチームの外にもあるよってことでもあるのかなあと思いました。
この玉が多用的に多面的により大きくなってくといいし、勝手に転がって雪だるま式になるシステムになるともっといいのかもですね。

むかーしの名著ですが、これに何か書いてあるかもしれません(内容忘れたけど良い本だった記憶)。
https://www.amazon.co.jp/dp/4153200115/

相談
最近、これ好きだな素敵だなと思ったデザインって何ですか?

先週、丸の内にシャネル展を見に行きました。
時代背景ももちろんあると思うけど、社会の様々な圧力から女性を自由にしていくんだという強い意志で、彼女が帽子や洋服やアクセサリーや香水とデザインするものを広げていく生き様がかっこいいなあと思いました。全てのデザインが彼女そのものに見えてくるし、説得力が増すし、必然に思えてくる。デザインを見て、デザイナーを見て、もう一回デザインを見ると違うように見える体験が僕は好きなんだろうなあと最近思います。

相談
代表作ができるといいなと思っています。これは私が作ったと言えるようになりたいです。

いいですね。
MIXIに限らずですが、世の中の多くの仕事がライン作業になっていくのは、効率を考えれば必然なんだと思うので、流れに身をまかせているだけでは相対的に仕事の幅はどんどん狭くなってしまいます。
と同時に組織は、より高い視座や、より全体を俯瞰するスキルも求めます。どちらにも応えるには結局、色々な場所で様々な経験をして、たくさん試行錯誤しながら、仕事を通してひとつひとつ実績を積む以外に「私が作った」への近道はないのかなと思います。

そう考えると僕は、デザイナーは常に自分自身に、私が関わっている一連の仕事のどれくらいを今、自分ひとりで出来るのか?と問い続ける必要があるように思います(そして危機感を感じたら手を伸ばすべき、理解に努めるべき)。これらをやりながら、あなたが思う「私が作った」を達成していくといいのかなと思います。

・新規事業立ち上げ時から1人目のデザイナーとしてリリースまで漕ぎ着けた
・ユーザーの行動を元にプロダクト改善をデザインし、プロダクトの数字が改善した
・webデザインからコーディング、そして本番リリースまでやりきった
・企画からデザインディレクションを経て、グッズが店頭に並んだ
・デザインから版下/色校を経てOOHがイベントで掲出され、ユーザーに大好評だった
・キャラクターのラフから仕上げまで、基本私が任され描ききった
あなたの「私が作った」とはどんな状態ですか?その解像度を上げ、ぜひ実現してください!楽しみにしてます。

相談
マネジメントの仕事の面白いところ、大変なところは何ですか?マネジメントしていて、デザイナー組織特有の傾向はあったりしますか?

相談もらってはじめて考えてみましたが、僕はマネジメント業務そのものを特別面白いと思ってやってないことに気づきました。じゃあなんでやってるの?っていうと、マネジメントをする先で行き着くところに興味があるって感じ。

マネジメントの先ってなんなの?っていうと、僕はデザインが本当にもっと広く世の中を良くすることに役立つの?ってことに関心があって、その一翼を担えたら面白そうだなあと考えています。なので面白いところをあえて探すなら、この壮大な実験に参加していることですかねえ(つまりまだ手にしてません)。

あんまり相談に応えられてない自覚がありごめんなさいですが、
最後に、デザイナー組織特有の傾向があるとすれば、あくまで僕がこれまで見てきた観測範囲でですが、良くも悪くもデザイナーの多くは、人の態度や言葉やテキストからより多くの文脈や背景をキャッチアップする感度が他職種に比べ高いように感じるので、その感覚を邪魔しすぎずに自由にだけど適度に刺激する、みたいなことをやりたいなあとはいつも思っています。

相談
私のデザインが通りません。ずっとここいる私の案ではなく、来たばかりの方の案が採用されてしまいます。

来たばかりの方のデザインを、次のあなたのデザインの肥やしにしちゃおーぜ!そのためには「私のデザインが通らない、来たばかりの方の案が通る」を、
・私のデザインが通らないのはきっとここが理由だろう、だけどここは前よりよく出来るようになったと思おう
・来たばかりの方の案が通るのはここが理由だろう、ここの表現や解釈は私にないものだから出来るようになりたい、盗みたいな
・来たばかりの方の案のデザインのこの発想は私にはなかったなあ、どんな着想からこうデザインしようと思ったのか今度聞いてみよう
・来たばかりの方の案のこの部分は、私だったらこうするなあ、なぜならhogeだから…
って変換するときっとうずうずしてくるんじゃないかなあと思います(願望)。

くやしい、あるいはせつない…という気持ちの先で、デザインが通らなかった出来事から何を得て、次にどう活かすかをためていくのが一番重要だと思います(ためてくといつか爆発に使えるよ!)。さらには、その連続を通して、デザインの目を自分の中にひとつずつ増やしていくことが、未来のつよつよデザイナーへの道かなあと。

相談
この前目標設定をしたのですが、毎回考えることが億劫です。クリエイティブ職だと特に定量が難しいような気がします...

評価が期待と不安で一杯ってのはなんとなくわかりますが、なんで目標設定をするだけで(評価される前なのに)、億劫なんでしょうかねえ?本来ならば「hogeなデザイナーになりたい!」「hogeな経験を積みたい!」「hogeなスキルを身につけたい!」って楽しいはずなのにいいいいいいい…(当然実際には事業を主語にした目標設定にはなるが、事業目標の実現とデザインのスキルアップを紐付ければいいと思うので)
と考えるとなんとなくこれは、目標設定をふまえたマネジメントの評価やフィードバックが結局、億劫に感じさせているような気がしてきますね。

どんなことが繰り替えされると億劫になってくかなあと想像するに、
・目標設定と評価が連続でつながっているように感じられないフィードバック
・評価者と非評価者、お互いの期待値のすり合わせもなく、評価者の主観ばかり感じられるフィードバック
・定量、それも事業数字ばかりがフォーカスされて、定性評価がないがしろにされてるように感じるフィードバック
・あなた個人のキャリアが全く考慮されてないフィードバック
などなど。

ちなみに僕は、デザイン職の定量はできる部分も結構あるのではと思ってて(願望含む。できたら面白いとも思っている、できないと決めつけたくないのもある)、普段から数値化できる場所はないか?をよく考えています。なぜなら目標への進捗を追うのに数字はとても便利だから。実際今数値で追っているのはメンバーの事業別アサイン比率、マネージャー毎の評価比較、等級ボリュームの変動による組織成長、僕の一ヶ月の内容別時間配分などなど。例がマネジメントに偏ってるのであんまり参考にならないかもしれませんが、フォームがきれいなるほどヒットの確率はあがるよね?(多分)って感じです。

数値化の罠はたしかにあるし、こぼれ落ちてしまうものももちろんあると思いますが、あらゆるものが計測できる現代において、クリエイティブだけ測れませんって、もう20年以上言ってるのでいい加減前進させたい気持ちなんですよねえ。

相談
仕事が評価につながらない。その理由が説明されない。

評価のフィードバックは、マネージャーの最も重要な仕事のひとつなので、この相談通りであるならば、ぜひマネージャーに以下の質問をしてみてください。
・なぜ私の仕事は評価につながっていないのか?そしてどう改善すべきなのか?
・この評価になっているのはどのような考え方からなのか?
質問をしても応えてくれない、そもそも質問しずらいということであれば、デザイン本部や人事にぜひご相談ください。

ちなみに…基本的にマネージャーは、メンバーをより評価したいと思ってるはずですが、例えば以下は考えられますか?
・私が考える仕事と、マネージャーが考える仕事が実は異なっている
・私は評価されてないと感じているが、マネージャーは実は評価している
さらには、
・説明されない/説明に納得いかない(私視点)
・説明してるのに改善されない(マネージャ視点)
は正反対の事象だが私とマネージャーは同じ認識でしょうか?などなど。これらを整理し準備して、マネージャーと1on1をするといいかもしれませんね。繰り返しになりますがいつでもご相談ください。

相談
上司やあまり関わりがなかった大人の方と喋る時、どんな話から始めればいいですか?相手から話をたくさん聞き出す質問の仕方が分からず(聞いても話題が止まっちゃう)、なにかコツというか、横山さんなりの話の広げ方みたいなものがあればお聞きしたいです。

コミュ障の僕に聞くんですね笑。

その大人に興味がある前提で話します(興味ない人とは話さなくてもいいと思うので!)。興味があるからこそ、たくさん聞き出したいんだと思いますが、僕はたくさん話を聞きたいときほど、間口を広げるんではなく狭めた方がいいと思ってます。狭いところから深くえぐる!

僕の場合は、僕がいま気になっていること、今後僕が気になりそうなことをまず考えます。これを僕目線と考えた時に、次はその大人目線を考えます。この大人はいまどこに立ってる?何を見てる?そこに立つにはどんな道を歩けば?そこに立つ難しさとは?とかとか。そうして僕と大人のかぶるところをみつけて、話をふってみるみたいなことをやっているような気がします。

話が面白いと面白くないの違いを考えると、話がユニークな経験にもとづいてるかどうかの違いじゃないかと思います。さらには経験による感情の揺れや気持ちの変化をキャッチできるともっと面白い(ここをえぐりたい!)。なので「なんでそれをやろうと思ったの?」「どんなことが難しかったの?」「やらなきゃわからなかったことって?」「その経験は今のhogeに結びついてるの?」とえぐります。

間口を狭めるって、等身大を見せるってことだから、一瞬怖いんですよね。自分のことは大きく見せたいし、できるように思われたいから。だけど僕がほんとを見せなければ相手も見せてくれないわけで、僕が話を聞きたいんだから僕から見せなきゃいけないよなあと思います。そこはちょっとの勇気。

相談
エンジニアです。デザイナーの方と話す時に気をつける点や、こう話してくれると助かる などあれば教えていただきたいです!!

デザインとよりコラボしようと思ってもらってありがとうございます。
ざっくりと、
・技術が先にありデザインを媒介に価値を浸透させるケース(Tech 1st, Design 2nd)
・デザインが実現したい世界観を実装し価値を普及させるケース(Design 1st, Dev 2nd)
があるように思います。

>Tech 1st, Design 2nd
デザイナーがエンジニアから聞きたいのは、その技術のユニークな点や、どんなアウトプットあるいはアウトプットによる効果を期待しているのか?さらには技術がもたらすインパクトややる意義などなど。これらを熱く語ってもらえると、デザイナーは作るものや作ったものの価値をどう伝えるか?のアイデアがどんどん湧き出てくると思います。

>Design 1st, Dev 2nd
(主観が多分に入ります笑)多くのデザイナーはおそらく段階的にデザインの解像度をあげていくと思います。たとえば
①ざっくりとした提供したい体験の世界感
②①を邪魔しない構造設計
③プロダクト全体の見栄えの世界観
などなど。エラーが起こりがちなのが、デザイナーは①の話をまずしたいのに、エンジニアがどう実装しようかとか、影響範囲どこまで考慮した方がいいか?みたいな③以降の話をいきなりすると
デザイナー 「ごめんなさい、そこまではまだ考えてません」
エンジニア 「なんじゃい、ちゃんと考えてるのかなあ?(心の声)」
が起こりがちです。
またデザイナーが③の段階まで来たと考えているときに「これ、そもそもさあ」とエンジニアが①の話をすると、デザイナーは①②と共有してきたのになんで③の段階で①の話するのよ、みたいなのはあるあるです笑。

これは結局、デザイナーの説明やファシリ力不足、あるいは関わるチーム全員のコミュ不足でもあると思いますが、回避策としてデザインの現在地を適宜確認するとエラーの確率は下げることができるかなと思います(問われなくても説明するのがベターではあります)。「このプロト(ラフ)の段階で確認しておきたいこと、あるいは心配してることはありますか?」とエンジニアから問いかけてもらえると、一気にドバッーと溢れてくるかもしれません笑(受け止めてくれてありがとう)。

良いものを作りたいにたどりつくまでの試行錯誤のプロセスが、エンジニアとデザインではお互い反対方向から詰めていく生き物かもしれないという包容力と、デザイナーをいい気分にさせておくとなぜかクオリティが高まるデザイナーの習性(少なくとも僕にはそれがある笑)をうまく利用してもらえるとありがたいです。スタートは一番遠くにいるんだけど、最終的には車の両輪になる。良いものには必ず良い技術と良いデザインがあると思うので、引き続きデザインをよろしくお願いします。
※デザイン代表みたく偉そうにいってしまった、すまんすまん。

相談
何もスキルがない状態で別の部署に飛び込むのは勇気が必要。そこで何も戦力になれない状態になるのが不安です。

新卒入社以来ひとつの部署で働いているとしたら、たしかにそう感じることはあるのかもしれないですね。そして即戦力になるべきだと考えてくれてるのは心強いなあとも思います。

その上で僕が思うに、ある特定分野のデザインが出来る能力が、全く他に活きないってことはおそらくないんじゃないかなあ?と思います。必ずそれぞれのバックグラウンドが役立つときがあるし、それ自体がやがてユニークなあなたの武器になっていくはずだし、それを確立していくことがキャリアを積んでいく、ロールになっていくということなのかなあと。なので全く戦力にならないことはないのでその心配はご無用です。

ただし、あなたの得意分野のデザインと、別部署のデザインの共通点や類似点、また異なる点をあなたなりに咀嚼しておく準備はもちろん必要でしょう。異動したい気持ちが強いのであれば、別部署で役立ちそうなデザインの勉強も既にしているのでしょうから、あとは飛び込むのが良いと思います。飛び込め!

相談
新卒デザイナーにおすすめの本があったら教えてください
(お時間ありましたら文章の書き方が柔らかめ〜硬めなど難易度表記付きで数冊ほど教えてほしいです)

相談
新規事業経験が重要視される理由が微妙に腹落ちしないので詳しく説明頂きたいです

業界で重要視される理由は明快で、新規事業開発はやってみないとわからないことだらけだからかと思います。
現場の学習コストは小さいに越したことはないので、他社で新規事業経験をしている人の需要は常に高いですね(そして人類はおそらく新規事業開発をやめない)。

企業は新規事業開発に必要な(それもできれば最適)な、あらゆる事象への準備や対応(意思決定含む)をしたいと考えるし、その過程で起こる失敗をなるべく未然防止したいとも考えます。
さらに新規事業開発は、開発資金残高との戦いでもあるので、お金だけは確実に無慈悲に減っていく中、ステークホルダーが口を挟み始めるのを華麗にスルーしながら、メンタルをギリギリの所で保ちながら、ハードワークしてものづくりを粛々とリードする必要があり、そのような猛者は市場価値が高いのです笑。

一方、新卒採用で出会う学生が想像する新規事業は、実際はもうちょっとふんわりしてて(当たり前)、大きくは以下のパターンのどちらかの話を混ざりながら語ってると思います。
・新規事業開発のために作られたベンチャー等の新規事業
・複数事業を運営している企業の新規事業
ざっくりこの2つでもあらゆることが異なります。さらに後者は既に何かしらものづくりをしている企業なので、ものづくりの実績で人を集めるのに対し、前者はこれから作る企業なので、ものづくりをした先の未来を語り人を集めるケースが多いように思います(もちろん他社で経験した人でチームを作ったとしても、チームは組み合わせですからね)。どっちがどうの話ではなくて、特徴やフェーズの話。

僕が新卒採用面接でこれらの話をするときは、デザインに理解のあるプロダクトオーナーや起業家になっていきたければ前者をおすすめし、新規事業開発の現場で、デザインの技術や実績を手に入れたければ後者ではないかなあって話をします。
前者であれば最近注目のベンチャーやスタートアップの話、1人目のデザイナーのやりがいやむずかしさの話をして、後者であれば「それMIXIですやん」って話をします笑。

相談
すぐ感情的になってしまうのですが、落ち着く方法をおしえてください

「感情的になる」と「落ち着く方法」、二つはつながってるけど、それぞれ別々でとらえた方がいいのかもなあって経験が過去の僕にはあるので、参考になるのかわかりませんが僕の話をしますね。

僕が感情的だった頃何が一番嫌だったのかというと、心がくさくさして余裕のない心理状態になることで、自分の持っている能力すら出しきれない、100%の力でデザインできないってことが嫌でした。感情的になる=心の中が支配される、メモリをすごくくう。

さらには僕が感情的になる相手(僕を感情的にさせる相手)って、大体僕自身あまりリスペクトできないと感じる人なので、僕自身が認めてない人に、僕のパフォーマンスを左右されることのしょうもなさに気づいてから、感情的になるほどの価値がほんとにあるのか?と思えるようになり、少しずつ自然と感情的をコントロールできるようになっていきました。
これの先にはもちろん、感情的を排除したときの僕自身のデザインの実力が測られるってのが待っていますが、それはもうね、実力ないなら実力つければいいだけの話なんで笑。
いずれにせよ、実力を出し切ることを阻害する何かがあるならば、対処したり制御できるようになることも、デザイナーの環境構築のうちに入るだろうと考えるようにしました。

これはあくまで僕の場合ですが、あなたも感情的になることを本能で嫌だと感じる、なんらかの理由があるはずなので、それは何なのか?感情的になると何を失うのか?どんな影響がどの位の大きさで起こるのか?をざっくり測れるようになると、感情的の輪郭がつかめるようになるので、回避するアイデアが浮かびやすくなるかもしれませんね。

そしてもうひとつ、落ち着く方法ですが、それはもう感情的になるものから距離を置くのが一番なので逃げて!僕も今でも「感情的がやってくる」って兆候が見えた時点ですぐ逃げます。
だけど実はもう、あんまりそういうことがなくなっていってるんです。感情的を僕自身がコントロールできる、って思えるようになってからどんどん減ってる*。なので実は、落ち着く方法を身につけるよりも、感情的に向き合うことの方が近道なのかもしれませんね。良い方法をみつけたら教えて下さい。
*老いなのか、経験なのか、自信なのか、鈍感力なのか

相談
何度もデザインを共有してきたのに、「このタイミングでそのフィードバックですか?」がよくあります。こういうとき、どうしてますか?

養老先生がどこかで言ってましたが、人の脳は見たいものしか見ないようにできてるそうです(解釈が違ったらごめんなさい笑)。
なので同じデザインを見ていても、気にしている箇所がみんなそれぞれ違う。例えば、デザイナーは比較的全体をある程度の解像度でとらえているが(そうじゃないと絵を起こせないから)、周りの職能の人は、同じデザインを見ながらも「あれも考慮しなきゃ、これも考慮しなきゃ」とそれぞれの専門領域の未来を見ていたりする。
それがいよいよリリースに近づくと、チームのフォーカスがあってきて、「このタイミングでそのフィードバックですか?」が生まれるのかなあと、過去の経験則から僕は想像してます。

じゃあどうしたらいいの?ですが、僕がいつもやってることは、このタイミングで何を見て欲しいのか、あるいはここでどんな意見が欲しいのか(どの方向性をつぶしておきたいのか)をデザインとともに伝えることを心がけています。
たとえば最初のラフであれば、「ここで見てほしいのはプロダクトが提供する世界観。こんなコミュニケーションがこんな機能で行われることでこんな体験を生んで増やしていきたい」みたいに伝え、プロダクトのコアの捉え方が現時点ずれてないか?を確認します(デザインの見栄えではなくてね。だけど実際は絵からたくさんの情報を無意識に取得しちゃうのはしょうがないとも思ってます。これは完全には排除できない)。
その上でおよそずれてなければ「次はキーとなる体験の画面デザイン案を何パターンか検討してくるので、イメージの方向性を固めていきましょう」みたいに伝えます。

まあこの進め方でも、「このタイミングでそのフィードバックですか?」はなくなりはしないんですけどね。だけどあなたも別に完全になくしたいわけではないんだろうと思います。より良くなるのであればもちろん応えたい、応えたいとは思いつつも…、なんだと思います。

最もつらいのは「デザインここちょっと…」ってチームメンバーが思っているのにその声をあげられないことじゃないかなあと考えると、いつもデザインのディスカッションしやすい空気を作っているあなたに感謝しつつ、全てに応えることはもちろん出来ないから、スケジュールやコストを踏まえて、応える/次のリリースで応える/応えないを判断してもらったら良いと思います。

…こういうとき、どうしてますか?じゃなくて、こういうときをなるべく減らそうとする話になってしまった笑。
追伸
これってたぶん逆も起こってますよね…。僕はPOや企画やエンジニアの相談に対して、今見て欲しいポイントちゃんとキャッチ出来ているんだろうか…

相談
マネジメント、どう勉強しましたか?

僕がマネジメントスタイルで一番影響を受けたのはHow Google Worksだと思います。ここで学んだことが基本的なスタンスになってると思います。
How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント
https://www.amazon.co.jp/dp/4532319552
Google・シュミット会長による働き方とマネジメントを示すスライドが公開中
https://gigazine.net/news/20141017-how-google-works/

その後さらに以下の本やドキュメントで考え方をアプデしていると思います。
NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く
https://www.amazon.co.jp/dp/4334962211/
【翻訳】「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されたNetflixのカルチャーガイド全文
https://tkybpp.hatenablog.com/entry/2018/05/16/073000
re:Work
https://rework.withgoogle.com/jp/subjects/managers/

弊社CTOに教えてもらったValveもすきです。
暇だったからValveの新入社員用マニュアルを20000字ぐらいで解説するよ
https://arcadia11.hatenablog.com/entry/2015/09/21/210000

相談
最近どんな本、読んでるんですか?

これは…多分いわゆるデザイン本を想定してると思いますが、最近はもうほとんどデザイン本読まなくなっちゃったのであんまり参考にならないかも。

僕が最近面白かった本は
① Google流 ダイバーシティ&インクルージョン インクルーシブな製品開発のための方法と実践
https://www.amazon.co.jp/dp/4802512163/
インクルーシブ出来てないかもしれない、って視点を忘れないようにしなきゃと。
②妄想する頭 思考する手 想像を超えるアイデアのつくり方
https://www.amazon.co.jp/dp/4396617488/
デザインする(=考える)時に僕はいつも、まず手を動かしてみないと実態がよく見えてこないのですが肯定された感じが。
③オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る
https://www.amazon.co.jp/dp/B08MF877HP/
僕は彼女の思想や言葉やスタンスが好き。

ちなみに上記は一応自己啓発系のつもりですが、小説なら『三体』『ボートの三人男』『息吹』。漫画なら『ブルーピリオド』『チ。』

相談
マネージャーと話す機会があまりありません。自分から話しかけたいのですが忙しそうで躊躇してしまいます。

まずマネジメントの忙しさが溢れ出ちゃってるのはよくない状況ですね、ごめんなさい。僕もMTGで「忙しい所すみません…」って言われるたびに、だめだなあ、改善したいなあと思ってます。

その上でどんなことをマネージャーと話したいのかなを想像するに
・マネージャーと時にはコミュニケーションとりたい、雑談したい
・リーダーに相談しづらい、相談してもいまいち…なトピックがある
・マネージャーの責任範囲の課題について相談したい(グループ運営/グループ外との連携/評価等)
などなど他にもきっとあるんだろうと思います。
さらには、
・役割/役職上のマネージャーとしての考えを聞きたい
・(マネージャーをやってる)、デザイナー/クリエイター先輩としての考えを聞きたい
でも微妙にニュアンスが違うのかもなあとも思います。

マネジメントから声をかけれる状態が理想だと思うので、そこは申し訳ないなあと思いつつも、マネジメントの改善を待つ間、あなたが話せないのは良くないので、「ごめんなさい、あなたから連絡してもらえるとうれしいです」(で、ぜひ「もっと早く話したかったけど忙しそう…」とやんわり伝えてください。あなたの声がマネジメントの改善につながるかもしれません)。

MIXIの1on1文化って、役職の上下で業務や目標設定やキャリアの話しなさいではなく、必要だと思った時に誰とでも1on1して周りの人を巻き込みなさい、巻き込まれなさいを奨励しているってことだったと思います。「1on1したいのですが…」「1on1出来ませんか?」と相手に返事させるコミュニケーションではなく、「hogeについて相談したいので、月末に1on1セットしちゃった、てへ(忙しかったらリスケしてね)」位で丁度良いと思います。

相談
もう私の評価は諦めています。技術的な部分の評価は諦めています。

諦めないで〜、と詳細わかってないまま無責任には言えないですが…、
普通に考えると、技術的な評価を上司よりもあなた自身の方が出来る(と思っている)ケースは、割とデザイン職同士では珍しいケースかなあと思うので、上司が非デザイン職な前提で考えてみましたが、事業を率いる上司が、事業に必要な技術を全く理解していない、ということもまた珍しいケースかなあと思います。もうちょっと詳しく教えてくれると、何か応えられると思うので、時間あるときにこっそり教えてね。

以下は仮に…のコメントになっちゃいますが、
もしかしてこれは、あなたがアピールしたい技術と、上司が評価したい技術がずれているか、あなたの技術や専門性へのコメントがなく、事業数字だけのフィードバックが繰り返されているとか、その類のものって可能性はありそうですか?

もしその可能性があるのなら僕からのお願いは、今一度あなたの技術の価値が、事業にどう良いのか?をマネジメントに説明してもらえたらと思います。それはもうやってるよであれば、あなたの技術が事業成果や組織成果につながる部署がきっとあるはずなので、いつでも異動支援します、相談してくださいね。

相談
リーダーになりました。頑張りたいと思いますが、何からやっていくのがいいでしょうか?

おめでとうございます、よろしく頼みます!
リーダーに限りませんが、組織が役割を与える時、ほとんどのケースが、既に現場で役割に相当する何らかのリーダーシップを発揮していると思います。マネージャーはその働きをみて、あなたにさらなる期待をし任命していると思うので、まずはその強みをさらに伸ばしましょう。
そしてもうひとつ、あなたがメンバーだったときに、リーダーになんとなく期待していた仕事があるのではないでしょうか?それをひとつずつ実践してみることも重要ですね。

目標設定もこれまでとは少し変わるかもしれません。これまではあなた自身のパフォーマンスを最大化し事業や組織にコミットすることを期待されていたと思いますが、ここからはあなた自身のパフォ最大化と同時に、チームのパフォ最大化も期待されます。
プレイングとマネジメントの入り口に立ったことを楽しみながら、たくさんトライしてたくさん失敗して、その中からやり方を身につけて行ってください。

最後に新しいポジションについたあるあるですが、急にパフォーマンスが落ちちゃうパターンは、何でも自分で決めなきゃ/やらなきゃ、と思って抱え込んじゃうパターンです。巻き込む力をつけてチーム力で進んでいきましょう。

相談
属人化という言葉にモヤモヤします。

仕事上で単語として属人化が使われる時、どっちかというとネガティブに使われる印象ですが、僕は、属人化が問題というよりは、属人化の期間が長くなってもマネジメントが手を打たないことが、属人化問題の本質なのかなあと考えています。

デザイン職ひとりひとりとしては、専門性で私しか出来ない仕事があるってこと自体は、その方の価値であり差別化要因なので、属人化といわれる位とんがった専門性を持つことは、デザイン職としてある意味、目指すべき状態なように感じます。

一方で、その属人化した状態を長い間そのまま放置してしまうことは、1人に対し組織が重すぎる責任を押し付けることにもなるし、ゆくゆく事業運営上のリスクにもつながるのかなあと思います。

ちなみに僕はこれまで高い専門性を持った同僚とも仕事をしてきましたが、基本的に誰にもシェアする気がない、協調性がない同僚はひとりもいませんでした。高い専門性を持った人の大部分は、オープンなマインドでマネジメントと連携し、専門性を事業に結びつけたり、価値を証明する支援を受けたいと考えていました。マネジメントとのコミュニケーション能力があるからこそ、さらに周りから学び、周りを巻き込み、属人的と呼ばれる場所までたどり着いてるように見えました。

相談
定期的に本を読んでインプットしているが、しているつもりになってるだけじゃないか?と気になってます。

読書の罠ってありますよね、わかります。
あんまり最近やってませんが、若い頃は読んだ本について、本の骨子をペライチにまとめることまでが読書と決めて、随分長い間やってました(つまりアウトプットでおわる、しているつもりになってるだけが少し薄まる笑)。

本に書いてある印象的なフレーズを抽出したり、その箇所を読んで感じたことを書き出すんですが、続けていくとなんとなく、僕自身どういう言葉にドキッとするのかがだんだんわかるようになったり、読書中は気づかなかった書き出したもの同士の関係性に気づけたりして、二度おいしいのでおすすめです(書き出した紙をほぼ日手帳に貼っていくと1年間でやってる感すごいので三度おいしい)。

書くことで本の内容がより定着するのはもちろん、書き出す工程を通して情報を構造的に捉える力がつくと思うので、このあたりはデザインする前の情報整理にもつながる話かもしれませんね(と思いたいですね笑)。

余談
本には2000円の壁が一般的にあるって話をどこかで目にしたことがあります。例えばデザイン本も2000円までは躊躇なく変えるけど、2000円以上あるいは3000円以上だとビビって二の足を踏む。だけどそこが自己投資金額の壁になるなら、それ以上の情報をインプットして自分のものにしていくことは、他のデザイナーとの差別化要因にもなるよってことなのかなあと。

相談
MTGのファシリテーションってどんな準備していますか?

これは良い質問ですね(むずかしい質問ですね)。
参考になるかわかりませんが、僕は以下のようなことをぐるぐる考え、MTGの規模やメンツに応じてやりくりしているような気がします(初めて書き出しました笑)。

#準備
・MTGで当然に期待されるゴールは何か?あるいは10Xは何か?
・MTGの目的はディスカッションか、意思決定か、
・ゴールに向かう上の障害は何か?障害の認識は参加者全員同じか?同じでなければ同じにする用意
・ゴールまでの工程はシンプルか?シンプルなら参加者が準備なくMTGに参加してOKか?複雑ならどんな事前準備が必要か?
・事前課題は必要か?なんの情報?資料は?いつまで?
・事前課題は何分かかる?MTGで発表するのに何分かかる?
・MTG(あるいはMTGまでの)時間割を作成。発表とディスカッションの重み付けもする
・各自の意見が前の発言者に似ないような対策、発表順の工夫がないか?
・MTGで起こりうる最大の失敗って何?問題は回避すべき?それともその体験に価値がある?

#当日のファシリ
・事前準備を実行(ドリブルがゴールに向かってないときは適宜軌道修正)
・想定外の盛り上がりをある程度許容しつつ、場合により方向転換
・タイムキーパーとどこでファシリとして意見をのべるかさぐりさぐり
・MTG後のネクストアクションの方向性

こんなことをぐるぐる考えながらやってるように思います。
後はデザインがあることで議論が活性化したり、あるいは方向づけたり、時間短縮になったり、膠着状態を打開できるようなパターンを見越して、たたき台となる絵を作ることもあります。

最後にこれらの準備をまるっとやった後に、このMTGの背景をなるべく単純化(あるいは抽象化)して、MTGの冒頭に一行で話せる準備をしています。「今日はhogeな問題に関して、MTG後にここにいるメンバーがhogeと言えるような状態を目指してディスカッションしたいと思っています…」

余談
15年くらい前にこの本を読みました。上に書いてることもきっとこの本の影響が大きいと思います(内容は覚えてない)。
https://www.amazon.co.jp/dp/4479791183/

相談
エンジニアと話すのがむずかしいです(ちょっとこわい)。

小規模で静的なApp/Webであれば、デザインだけでリリースすることは今でも出来なくはありませんが、事業開発の現場において、デザイナーとエンジニアの相互連携はなくてはならないものになっているので、ぜひとも克服しちゃいましょう。

基本的にデザイナーもエンジニアも良いものを作りたい気持ちは一緒です。だけど、双方の職能の思考法や設計順序やワークフローが若干異なること、さらにはデザイナーとエンジニアの組み合わせ毎に双方が担当する領域が行き来したり相互干渉があること、職能毎のコミュニケーション文化が若干異なることなどが、あなたの感情につながるのかなあ?と想像します。

大事なことは、お互いのデザイン言語/エンジニア言語を理解しあうことではないかなと思います。あなたがエンジニアを「論理的でむずかしいなあ、細かいなあ、こわいなあ」と思っている限り、その気持ちは相手に伝わってしまうものです。そしてそのときエンジニアもきっと「わたしの言い方が悪いのかなあ?どうしたらデザイナーに伝わりやすくなるんだろう?コミュニケーション取りづらいなあ」と頭を悩めているかもしれません。

事業開発の現場をデザインするのもデザイナーの役割だと思いましょう!デザイナーにとってエンジニアは、デザインの価値を拡張してくれる大切な仲間です。

相談
私は自分のスキルを伸ばしたいのに、後輩の育成をさせられています。

チームビルドに時間を使っていただきありがとうございます。
さて、これは多分、色んな観点がありそうに感じました。例えば…
・私の時間の多くが、後輩とのやりとりに費やされる
・後輩が受動的で、同じことを何度言っても成長を感じられない
・私は先輩に教えてもらったのではなく、自分で学んできた
・育成はもっと上の、シニアな人がやるべきだと「私」は思っている
・私がスケジュールをいくらたてても、割り込みで相談がやってくる
・「私」が納得いかないまま、あるいは「私」がやるべき理由をみつけられないまま、育成担当になっている
・マネージャーに相談しても、話は聞いてくれるけど改善に動いてくれない
・私が育成に取り組んでいることが、評価に反映されているとは思えない(当たり前にやるべきと思われている)
などなど。
この手のケースは、上記のいくつかが複合的にからまっている場合が多いと思いますが、きっと1日の時間の多くが、あなたがいう「育成」に当てられているのだろうと想像します。

もちろん言葉としては「させられている」という表現が使われていますが、チーム貢献をする必要が全くないとはさすがにあなたも思ってないでしょうから、それでも比重が大きいのだろうと想像します。そしておそらくあなた自身も、育成が全くあなたのためになっていない、とも考えていないと思います。

例えばデザインの方法論やツールの使い方を後輩に伝えるとき、あらためてあなた自身がやっていることをまとめたり、あるいは後輩に伝えたりする過程で「私はこう思っていたんだな」って体験あると思います。また後輩からの質問で新たに気付かされたり、あなた自身の強みを感じる場面もあるでしょう。いずれにしても今はきっと、バランスがうまくいってないのだろうと思います。

ストレスを感じさせてしまっているのは申し訳ないことなので、もしよければ、デザイン本部からマネージャーにヒアリングしますがどうでしょうか?マネージャーが事象を把握した上で行動しないのは、行動しないなりの理由がおそらくあるので確認しようと思います。少なくとも行動しない理由をあなたに共有出来ていないことは改善できそうです。

相談
チームに迷惑かからないように…の気持ちで働いています。

迷惑かからないように…なんてそもそもみずくさいし、絶対ムリなので気にすることはありません、たくさん迷惑かけましょう!
迷惑を補って余りあるからMIXIは新卒採用を続けているはずだし、MIXIにはフォローアップ出来る力量のある先輩がゴロゴロいるので安心して迷惑かけてください。

同様に、「社会に出た瞬間、私は即戦力になる!」という宣言はとてもありがたいですが、デザインはそんなに簡単にはいかない(と思う)ので、ひとつずつ丁寧にフルパワーでデザインをしてキャパを広げ、たくさん失敗しフィードバックを得ることで経験を積みましょう。失敗しないと学べないことがたくさんあります。

若いとき、特に最初の数年に必要な失敗をしないで、それっぽくやり過ごして時を過ごしてしまうと、中堅になって必ずしわ寄せがやってくると思います。30代でデザイナーの力量は一気に差が開くケースが多いように僕は思いますが、それは20代からの習慣による蓄積から来ているようにも思います。

相談
短期的に数字を追いかける施策が多いので、長期的なUX改善の施策も入れて欲しいです。

この手の議論は昔から繰り返されているのですが、
結論、短期施策に長期施策を分解してこっそり入れ込んでいく以外の方法を僕は知らないので、僕はそうやっちゃってきました(小声)。
このあたりはデザイナーやエンジニアの腕の見せ所だと思うので、僕はシニアデザイナーの面接でよく聞くポイントです。どのように同時に解決してきましたか?って。

業績改善や運用チケットばかり切られて一生懸命応えていても、半年後に「いつになったらUX改善行われるんですか?」ってあるあるるるるる。僕もこの手の経験を経て、冒頭のような考えにたどり着きました。それからふっきれたというか、同時に進める方法を常に考えるようになり実装してきました(余談ですがネット上のリファクタ系の話って大体実はどっちも達成している話が多い)。極論UX改善はゴリゴリデザイン主導でやっちゃおう!許可を求めるな、謝罪せよ。

相談
数字とかアナリティクスを見れるようになりたい。

インターネットが生まれて、ログが取得出来るようになって、デザインのアプローチががらりと変わりました。それまでデザインの巨匠や師匠が定義してきたデザインのセオリーやお作法が必ずしも万能ではない時代がやってきて、僕も含めて当時多くの若手デザイナーは活気づきましたが、それは同時にデザインが効果測定される時代の到来でもありました。

アナリティクスやカタリストでユーザーの行動や文脈を拾えるようになり、数字をもふまえてデザインを設計する能力が必須となり、それはインタラクションやUXに広がって行ったようにも思います。データを考慮したデザインのアプローチはまだ始まったばかりなので、ぜひ一緒に学んで行きましょう!

相談
プロダクト全体を完結して見れるようになりたいです。

良いですね、ぜひなってください!
僕はゆくゆくは、デザインや開発からプロダクトオーナーや事業部長がポンポン現れる状態を作りたいと思っています。そうなったときにほんとの両利きのプロダクト開発の現場が出来上がり、それは事業ポートフォリオの多様性にもきっとつながっていくと思っています。

今ではデザイナーを志す学生までもが「上流からものづくりに関わりたい」と言いますが、上流の終わりは開発現場に閉じるわけではないので、組織もそうだし、経営もそうだし、至る所でデザイナー出身の皆さんがリーダーシップを発揮して欲しいと思っています。

それにはデザイン言語だけではなく、ビジネスもマーケティングもテクノロジーも学ぶ必要があります。言語を学ぶだけでなくマーケターやエンジニアの特性を理解することも重要です。目の前の課題をひとつずつクリアし、ぜひ3年後5年後にプロダクト全体を牽引する存在になって欲しいと思います。期待しています。

相談
事業にコミットして、私自身を成長させたいと思っています。

相談というより宣言ですね笑、ありがとうございます。ぜひ事業成長と個人成長、どちらも手にして下さい。
個人的にお勧めしたいのが、事業成長とデザイナーの個人成長は、それぞれ別のメジャーで測ることですかね。その時気をつけたいのは「事業の成功を持って、私自身が成長したと評価する」、あるいは「事業の失敗を持って、私自身は成長してないと評価する」、これらはどちらも主語がでかいのかなあ思います。

半年に一度の評価で、あなた自身とマネージャーの計測を見比べましょう。特にあなたが見えてなかったマネージャーの計測結果は、あなたを成長させる種である場合が多いと思います。さらには、あなた自身が気づいていない、あなたの成長をマネージャーは教えてくれるかもしれません。

相談
コミュニケーションでなにか意識してることがあれば知りたいです

例えば…、あなたにAさんとのコミュニケーションを相談されたとして考えますね。
まず、①あなたは何を見てるんだろう?って考えを巡らせます。次に、あなたから聞くAさんではなく、②その場にいるAさんは普通だったら何を見ててどう思ってるんだろう?を巡らせます。その次に、③僕がその場にいたらどう思うかなあって考えます。そして①②③の三角形のちょうどいい場所みつかるといいなあ、みたいな感じで事象をとらえてます。

僕が言えることの中で最も無意味なのは「Aさんの考えのコピペ」をあなたに繰り返すことで、最もおしゃれなのは「Aさんの考えを僕が言い換えたらあなたにスッと入る」ことかなあとも思いますがそんなのは無理、笑。無理なんだけど、まあそんなことが出来たらすごいねって思いながら相談箱をやってます。


相談箱、だんだん相談が手強くなってる笑。今後ももし相談が続いてある程度の量になったら、またシェアします。