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【映画】LAMBラム 3つの魅力"ネタバレなし"



本作の魅力を3つ挙げるとすれば

①つ目

美術館巡り的に観れる
アートとしての情報量の多さがあって
これはドライブマイカーを観た時も感じたんですけど、台詞も音もないシーンを
ジーっとただ観てても飽きない、
むしろ引き込まれるカットが
とても多くて、作品全体の印象としては
美術館内で絵画を1枚ずつ鑑賞しながら
時折、解釈・解説がさりげなく
絵の下に描いてあったりする楽しみ方が
出来たなって思いました。
本作を鑑賞してて
写真家の森山大道さんが撮った
キムタクの写真を思い出しました。
1枚の写真の中にある情報量の多さが
凄くて、どのドラマのキムタクよりも
"別の人間"になってるんです。
いわゆる『何をやってもキムタク』的じゃなくって他の人間になってて物語が
想像出来てしまう。
なんならこの写真から映画1本作れてしまうんじゃないかと思ってしまう
凝縮感なんですよね。
このLAMBラムでも
そんなカットがたくさんあって
ナレーションは無いし
台詞は少ないけど
物語がどんどん入ってきます。


②つ目は
ナレーションなし!台詞少なめ!の
素材の味を極限まで引き出す塩・コショウ的演出です。
1つ目でも触れたナレーション・台詞が少ないので、デトックスになると言いますか。テレビドラマ的ナレーションベースで物語を伝えるやり方って
やはり不自然に見えてしまう部分があるので、本来の映像表現はナレーション・台詞は少ないに越したことはないと言うのが
私の持論であります。
これは料理にもつながる考え方で
料理ビギナーってどうしても"調味料"で
味付けしようとするんですけど、
実は料理の味付けは"素材"でするんです。
例えばタマネギ一つとっても
炒め方が足りなければ
辛かったり、苦かったりします
逆に炒めすぎると臭くなります。
ちょうど良い炒め方、
そしてちょうど良い塩加減があるのです。
調味料は味付けするのではなく
"素材の味を引き出す"感覚なんです。
ここで言う調味料とは
ナレーションであり台詞
素材とは
キャストでありロケーションです。
本作は適切な塩加減で
調味料・スパイスをできる限り使わない
プロのコックが作った様な
作品だと思いました。



ラスト③つ目
犬・猫・羊の可愛いお芝居演出と不気味なストーリーコントラストです。

冒頭のシーンで羊小屋で羊たちが
"なにかわからない存在"に対して
怯えてるんです。
それはもちろんナレーション・台詞で
分かるのではなく
羊たちの行動や雰囲気・音などで
伝わるんですが
本作では動物(主に羊・犬・猫)が
効果的に"お芝居をしている様に見える"
のです。
もちろん犬・猫は芝居など出来ないので
猫がビビってるように見せたりとか
犬が呼んでる様に見せたりとか
撮る側の工夫の話です。
この可愛い動物を効果的にシーンに使うことで、本来不気味で怖いシーンに
可愛げがうまれます。
動物の使い方が上手いです。
例えば第1章では
主人公夫婦が産まれるはずがないある
存在をあっさり受け入れるんですが
そこに誰もつっこまないんです。
人間が2人しか出てないので、
当たり前ですが。
そこで動物たちが怯えたり、
『え?なにこいつ?』みたいに
見える表情をしたりするんですよね。
なので本作に出てくる動物は
演技に置いて結構重要であり
見所であります。





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