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おかず柄へのインサイト/その秘訣は「たった一人のために」

布・生地の通販サイトnunocotofabricさんより発売中のテキスタイル「うさぎりんご」。こちらのコンセプトは直球です。「シンプルで飽きのこない、お弁当のデザート・うさぎりんごのデザイン」

うさぎりんごmini(プレーン)

今回の私のテーマは、たった1人へ向けてデザインを制作すること。
なぜ1人だけに絞るのか?それはその方の気持ちを深く、的確に捉えることにより「顧客インサイト」が導き出されるためです。顧客インサイトについてはこちらの書籍から引用させていただきます。

ビジネスにおける顧客インサイトを定義するならば「まだ満たされていない、隠れた欲求」と表現することができます。

出典:細田高広「コンセプトの教科書」ダイヤモンド社,2023,105-106p

細田さんの執筆にある「隠れた欲求」。それはまだお客様ご自身も自覚していない本音や気持ち、潜在的な領域のことを指します。そこを解明するために、今回はnunocotoさんの生地を使った商品を販売されているハンドメイド作家さんに焦点を当て、その方の特性を徹底的に掘り下げてみたいと思います。

nunocotofabricの生地を使って製作されたアイテムが掲載されている「#nunocotoworks」。こちらから、ご自身の製作物への主義主張があり、且つその人となりが投稿から伺える方、私も親しみを持てる方、といった自分の個人的観点でMさんをピックアップさせていただきました。では、SNSを利用してMさんのパーソナリティを可能なかぎりリサーチしていきます。Mさんがフォローしているアカウントもチェックし、本好きのMさんが好きな作家の本も図書館で借りて読んでみました。

自作のペルソナ表(本やネットで調べた情報をもとに作成・現在も改善中)

では小さなお子様を育てながら活動されているMさんが次に使いたい生地はどんなデザインだろうか?そのイメージを絞り込むために、Mさんのハンドメイド商品とそのこだわりポイントを分析。そこから「お弁当のおかず柄」というカテゴリーが導き出されたました。なぜならMさんご自身が、来春入園入学予定のお子さんと親御さんのために、お弁当袋を制作されていたからです。

nunocotofabricさんでお取り扱いされている「お弁当のおかず柄」は現在11柄。たこさんウィンナー、ブロッコリー、トマトetc…既にMさんはそれらの柄を使って商品を販売されています。それなら、まだこちらにないモチーフを提供して、Mさんに使ってもらいたい。続いてお弁当のおかずリサーチに移りました。その過程で1冊の絵本に出会います。

絵本「おべんとう たべたいな」作・絵 坂本千明(岩崎書店)

丁寧に描かれたモチーフから目を離すのが惜しくなる1冊です。各々の素材がおべんとうを彩るおかずへと変化する過程も楽しい。お米と海苔からはおにぎりが、卵とフライパンから卵焼き、そして赤くてつやつやの林檎からは…おみみがピンとしたうさぎりんご!「そうか、うさぎりんごだ」と、すぐさまりんごを買いに行きました。Youtubeに倣って実際に耳がピンとする感じに切ってみたり、いろんな角度からスケッチしたり写真にとったりしながら自分の感覚に落とし込んでいきます。


うさぎりんご イラスト
観察をもとに3種類のうさぎりんごのイラストができました。


そして模様へと展開させます。


こちらはお弁当袋の制作に適した小柄です

こうして色違いとサイズ違いのうさぎりんごが8種類リリースされました。
背景色はりんごを使ったパッケージデザインを参照しています。

うさぎりんご(全8種)

今回のデザインは冒頭でお伝えしました「顧客インサイト」を意識して進めましたが、実際にペルソナであるMさんの心に届くかどうかは私にはコントロールできません。だからこそ、引き続きどんなデザインなら皆さんに喜んでもらえるのか、皆さんの気持ちと生活を明るく楽しく演出することに貢献できるかを1つ1つのデザイン制作を通して見出していきたいなと思います。

うさぎりんごはソーイングレシピでもご紹介いただきました。こちらも是非ご覧くださいね。最後までお読みいただきありがとうございました!

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