妊娠から出産までのあれこれ(妊活編③)
不妊治療開始と同じタイミングで政権交代があった。
新しい首相の政策として不妊治療の保険適用化が挙げられており、早ければ2022年から法改正があると報道されていた。
(現在の法改正状況が不明で、あくまでも2020年当時の話です)
話は前後するが、1度目の人工受精を受けたわたしたち夫婦は、今後の妊活をどのように進めていくのか毎晩なにかしら話し合っていた。
あの時期、妊活以外の話をした記憶があまりなく、本当に妊活が夫婦時間の殆どを占めていた気がする。
ひと月ひと月が勝負の妊活において、2年後の法改正なんて待っていられないのが正直なところで、2年後の政策実施がその他の法改正に比べてどのようなスピード感なのかよく分からないけれども、それじゃ遅いんだよ、と【オレは今なんだよ!】と山王戦で叫んだ桜木花道ばりの気分で報道を見ていた。
子どもを持つ気が無いとはいえ、自分も含め妊活を取り巻く環境を考えたとき、あまりにも自己責任論が蔓延り、周りの理解の無さや偏見、こういったのが公的支援の少なさに繋がってる気がする。
晩婚化、初産年齢の高齢化、それに伴う不妊治療の増加を自己責任と言ってしまえばそれまでで、わたしも含めて晩婚、初産年齢の上昇は極めて真っ当な流れだと思う。それを自己責任と言われてしまばそれはそれまでだけれども、ちょっと暴力的過ぎないか?
皆、好きで晩婚なわけでは無いと思う。
老後までの安定した雇用、理解のある会社、サポートしてくれる家族、こういったものが全て揃って初めて20代で結婚、出産ができるのではないか。
でも全て揃えられるカップルなんてほんのひと握りだ。
20代のうちに勉強なり経験を積んで、なんとか社会でやっていける自信がついた頃には30代だ。
社会でやっていける自信がないうちは見切り発車で結婚なり子作りなどするのは怖くないか?
ちゃんとやっていける自信ができて初めて家庭を持とうとなるのでは無いだろうか。
色々な公的支援が少ない中で、やはり将来の自分たちの生活が不安定だと、結婚はしても子どもを持つことに二の足を踏むカップルも多いと思う。
みな適当に遊んで30代になってるわけではないのだ。まじめに考えて30代での子作りになるのだ。
だからもう少し、他者に優しい社会になってほしいと思う。
妊活を通して自己責任論の怖さをしみじみ感じた。
あと、おいおい書いてゆくが、わたしに子が出来なかった場合、夫は養子縁組も検討していたようで、その条件についても軽く夫婦で調べた。
年齢、所得制限等があるのは理解できるが、LGBTなどの同性カップルは法律上は養子縁組可とあっても、実際には支援団体から断られるケースも多いそう。
若い頃、友人のLGBTカップルに「あんたが妊娠したら子ども貰って育ててあげるから安心して!」と笑いながら何度か言われており、いま考えたら彼らは半分本気だったのだと思う。
こういったLGBTを取り巻く環境を知らなかったので、その当時は酒の席でのネタのように流していたけれども。
育てたいシングル・カップル、育てることが困難なシングル・カップルへの公的支援や、間口、理解をもっともっと広げて欲しい。
むかし、友人のフランス女子が、子どもは国の宝だから、フランスはシングルの親に対する支援が豊富だと言っていて、そのときは国の宝というのがイマイチ自分の中で消化できなかったのだけれども、一昨年、多子国家であるフィリピンを仕事で訪れた際、街中にあふれる若いエネルギーに圧倒されてしまい、フランス女子の言った、子どもは国の宝、という言葉が突如ストンと心に降りてきた。
国のために、の言葉になんだかアレルギーはあるし、実際国のために産むわけではないけれども、子どもあふれる社会っていいなぁ、と単純に思った。
この、いいなぁという感覚をもう少し、日本社会全体が持てて、他者への理解やら、優しさが増えれば、何だかもう少し色々良くなると思う。
それでは、また。
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