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パラサイト 感想

iPhoneのメモに書いた『パラサイト』の感想を今さらながら。ネタバレありありです。

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  先延ばし癖がすごくて、こないだ2回に分けてやっとみた(この2回の間に1ヶ月経過)。

①上と下
「上と下」の構図がとても印象的だった。一つ目は、ナムグン先生の屋敷を横から切り取って、2階に行く人と地下に行く人を対照的にしたようなシーン。二つ目は、大雨が降ったときの描写。裕福な家庭では、子どもが庭でテントに入ってキャンプを楽しんでいるのを夫婦が大きな窓から微笑ましく見ている。一方、貧しい家族では家が浸水して避難を強いられるという対比。土砂降りの中で雨が上から下へと流れていくのと一緒に、お金持ちの高台にある家から自分たちの半地下の家へ下っていくと、我が家が浸水してるという描写が良かった。あと、家の持ち主が帰ってきたらすぐテーブルとかベッドの下に隠れなきゃだめだったのも「上下」を連想させた。上下関係があるというよりは、自ら下に行っているような絶望感があった。「半地下」っていうのがまたいい。完全な地下ではないから陽の光も入ってくる。だからきっかけさえあれば上を目指せる可能性がある。上に住む人よりは下だが、さらに下に住んでいる人よりは上だっていう意識が芽生えそうで。

②におい
   大雨で住む場所がなくなってしまうように、彼らの地盤は緩い。基礎が、根本的なところが裕福な人とは違う。それを「におい」という生理的な言葉で言い表されたときの屈辱は簡単に殺意になる。染み付いて消えない、自覚することもできない、いくら金持ちに寄生しても拭いされない「貧しさのにおい」に、嫌味は一切含まれていないことも残酷だなあと思った。裕福な夫婦はそのにおいを嗅いだことがないから、それが貧しさ故のものであることに気づきすらしない。そう考えると、ギウ(息子)がギジョン(妹)を「まるで本当にこの家(パラサイトしてる家)に住んでるみたいだ」って言ったのは、ギジョンがお風呂に入っていたからなのかも?そのギジョンも、大雨の被害にあった自宅のトイレで汚水まみれになるんですけど。

  この映画の登場人物がどういう風にすれば良かったのかって聞かれたら、難しい。パク一家(裕福な家庭)の危機管理能力というか、警戒心が低すぎたのは豊かさゆえの安心感からなのかな。パク家のなかでもダソンがネイティブ・アメリカンにハマってて、それに父親と母親が快く付き合ってあげているところとか、配慮のなさに対する皮肉が描写されている感じがあったと思う。ここで、根っからの金持ちも金持ちでなりたくないものだと思ったとて、果たして貴賎の中庸とはどこにあるのだろうかと思い悩んでしまう、そんな映画でした。

  また思い出して加筆するかも。いいねチュセヨ

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