古事記百景 その八
神生み中ごろ
次生風神名志那都比古神。…此神名以音…
次生木神名久久能智神。…此神名以音…
次生山神名大山津見神。
次生野神名鹿屋野比売神。
亦名謂野椎神。…自志那都比古神至野椎并四神…
此大山津見神野椎神二神。
因山野持別而生神名天之狭土神。…訓土云豆知下效此…
次国之狭土神。
次天之狭霧神。
次国之狭霧神。
次天之闇戸神。
次国之闇戸神。
次大戸惑子神。…訓惑云麻刀比下效此…
次大戸惑女神。
(自天之狭土神至大戸惑女神并八神。)
伊邪那岐神と伊邪那美神の二柱の神が次にお生みになったのは風神の志那都比古神。
次は木神の久ゝ能智神。
次は山神の大山津見神。
次は野神の鹿屋野比売神。
またの名を野椎神。
ここに志那都比古神から野椎神までの四柱の神がお生まれになりました。
ここでお生まれになった大山津見神と野椎神の二柱の神も山野に関連する神をお生みになります。
最初は天之狭土神。
次に国之狭土神。
次に天之狭霧神。
次に国之狭霧神。
次に天之闇戸神。
次に国之闇戸神。
次に大戸或子神。
次に大戸或女神。
ここに天之狭土神から大戸或女神までの八柱の神がお生まれになりました。
※天之狭土神と国之狭土神は土の神と言われています。
※天之狭霧神と国之狭霧神は霧の神と言われています。
※天之闇戸神と国之闇戸神は渓谷の神と言われています。
※大戸或子神と大戸或女神は何の神なのか分かりません。
「毎度お馴染みの太安万侶です。今回の神生みも三分の二を過ぎたようです。いつものように那岐君と那美さんが来てくれました。さらにニューフェイスの大山津見君と野椎ちゃんの二神も参加してくれます。まずは那岐君から」
「前回の半分以下の数だったから今回も楽だったね。これくらいなら余裕だな」
「今までの苦労からすると、雲泥の差よね。ようやく落ち着いて来たって感じだわ」
「今回もニューフェイスは頑張ったのかな?」
「頑張ったし、数でも勝ってるけど、質がちょっとな」
「どういうこと?」
「親父とお袋が生んだ神はさ、数は半分だけど、それぞれに意思があるっていうか、目的があるっていうか、すぐに独り立ちできそうなんだよね」
「それに対してウチらが生んだのは、ニコイチって感じの子ばっかりで、目的や意思もはっきりしない子もいたりするじゃん。我が子ながら独り立ちできるのかって思っちゃってさ」
「それはシビアな意見だね。でも心配しなくていいと思うよ。神の世界では、ニコイチって意外に多いんだよ。男女のペアとか、天つ神と国つ神のペアとかね。君たちのご両親も男女のペアからのスタートだから、そんなに気にしなくていいと思うよ」
「安万侶、いいアドバイスだわ。ありがとね」
「そう言われりゃ俺たちもペアからのスタートだよな」
「野椎、親父とお袋がそうなら、心配しなくていいんだよ」
「そうだといいんだけどねえ」
「私も母だから、野椎の気持ちは分かるよ。いくつになっても、どんなになっても子は子だからね」
「そうなんすよ。ウチみたいのがこんな気持ちになるなんて、おい大山津見、親ってスゴイぞ」
「今回は速秋津日子君と速秋津比売ちゃんは結局参加しなかったの?」
「二柱の神とも体調不良だってさ。もう笑うしかないでしょ」
「その分ニューフェイスが頑張ってくれたんだからいいじゃない」
「でもよ、こいつらも次は休むって言ってんだよ」
「じゃあ、終盤はお馴染みの二神だけってことかな」
「私的には、手伝ってもらったから、ずいぶん楽させてもらったし、もうひと頑張りだなって思ってるんだ」
「那美ちゃんはファイターだよね」
「那岐はどうなの?」
「那美がやるなら、俺がいないとダメだろ」
「じゃあ、私も休むって言ったら?」
「他のヤツでも探すか」
「那岐、それ本気で言ってる?」
「冗談に決まってるだろ」
「ホントかなあ?」
「俺が惚れてるのは那美だけさ」
「若い子とかに目移りしないの?」
「中にはいい子もいるぜ。でもなあやっぱり那美なんだよ」
「よし、那岐、次行くよ」
「那美はホントに元気だよな。こっちが瘦せ細っちまいそうだぜ」
「バカ言ってないで、行くよ」
「じゃあな安万侶」
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