作業を通して学んでほしいこと
特別支援教室では、1年間通して作業学習に取り組みますが
「作業学習3分野」
を特に意識しています。
3分野とは『農業・木工・裁縫』です。
この作業学習を経験しておくと高校進学後、必ず役に立ちます。
ただし
「農家になってほしい」
「木工職人・裁縫職人になってほしい」
から、その技術を学んでいるわけではありません。
作業学習は、あくまで学ぶための『教材』です。
その教材を通して、子どもたちに身に付けてほしいのは『働く力』です。
例えば
「畑作業を通して、働く体力を付けてほしい」とか
「木工作業を通して、工具を安全に使えるようになってほしい」とか
「裁縫作業を通して、手先を器用に使えるようになってほしい」とか。
この考え方は、高校進学後も同じです。
卒業生が進学した特別支援学校には『フードコース』というパンやクッキーを作って販売する作業班があります。
受験生の中には、面接で
「私は将来パン屋さんになりたいのでフードコースに入りたい」
という子がいます。
この返答は、学校側からすると△です。
模範解答は
「私は人と話すのが苦手なので、フードコースの販売活動でコミュニケーション能力を伸ばしたい」
です。
※すごく難しい話になりますが、受験生の中には言える子もいます。
「製品」と「作品」の違いは?
作業学習も考え方は一緒です。
『農業・木工・裁縫』はあくまで子どもたちが学ぶための『教材』です。
できた製品も『作品』ではありません。
製品→(決まったサイズ・デザインがあって、その通りに作る物。同じ物が何個もできる。)
作品→(作った子の個性が出てOK。1つ1つがオリジナル。)
「コースター」は、1つ1つオリジナルなので『作品』ですね。
以前の教え子で、スーパーの惣菜コーナーに就職した子がいました。
仕事は「たこ焼きのソース塗り」でした。
その子の好みは、ソースたっぷりだったので、売り物のたこ焼きにも、ソースをたっぷり塗ったそうです。
当然、上司からはソースの量について、指導が入ります。
その子は「ソースたっぷりの方がおいしい!」の一点張りで、結局同僚との関係も上手くいかず、職を離れることになりました。
そういった苦い経験もあるので、私自身クラスの子たちには、指示通り作る「製品」と自分の個性を発揮する「作品」の違いはしっかり教えていきたいなと思います。
特に「製品」は、できた物がその子たちの評価に直結します。
「特別支援教室の子たちはこんな物しか作れないのかぁ」
と思われないようにするのは担任の仕事です。
これからも製品作りについては、日々研究して新製品にもチャレンジしていきます。
特別支援教育の『作業学習』についての記事はこちら!
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