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【読書感想文】Work Design

この本を手に取った理由

現在組織のダイバーシティ&インクルージョンを推進する仕事を行なっているため、より知識を増やしたいと思い読み始めた。
2018年に出版されたもので、引用されている論文などは少し昔のものではあるが、古さは全くなくとても勉強になる内容だった。また、ジェンダーや人種など様々な視点のダイバーシティが、様々な組織で応用されていることが書かれていたので、どの組織にも多様性が必要という根拠となる一冊だと思う。440ページととても読み応えがあるが、何度も読み返したいと思っている。

この本を読んで学んだこと

行動経済学を元に話が書かれているため、個人的に好きな本の部類だった。人間は行動を少しデザインするだけで大きな変化が現れることがあるというが、組織内を変革するためにも同じことが言えると感じた。

1番印象に残っている例は、「連邦改正教育法第9編」制定によって起きた大きな変化の例だ。この法律は、アメリカの歴史でも有数の画期的な法律の一つと言われており、女性がスポーツに参加する道を開いたと言われている。この法律が成立する前は、アメリカでスポーツを行っている女子生徒は30万人に満たなかったが、現在では300万人を超すようだ。

法律の影響は、制定されてから数年経ってから明らかになったと言われている。ここから、人の変化は長期的に起こることが分かる。また、政府がルールを一つ決めるだけで、女子がスポーツをやりやすくなるだけでなく、社会全体の取り巻く考え方まで変えてしまうというのが興味深かった。この法律を通そうとした政治家たちは、法律の影響を理解していたことから、ロビー活動を積極的に行わなかったという。
社会に大きく影響を与えるだろう判断は、人に知られないで密かに作られるというのも、とてもよく人間の心理を表しているなと感じた。

読んだ感想

人間の心理や行動、意識を変えるには大きな時間が必要なんだと改めて感じた。著者がハーバード大学にいるため、アメリカでの例が中心であったが一つも日本の組織や研究が取り扱われていなくて残念に感じた。ジェンダーギャップが116/146位であるので仕方ないと思うが、このような国際的に研究されてる分野でかなり遅れを取っているのはとても悲しい。
日本は移民も少なく、多様性というとジェンダーが1番に上がるが、それぞれが持つ個性を活かせるような社会になるといいなと願う。
この本を元に次どんなアクションが取れるか考えたい。

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