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「東日本大震災」貧乏役者時代に5,000円しかなかった全財産を寄付し、無一文になった話。

20代前半のころ、僕は目標としていた「大きな舞台に出る」という夢を達成しました。

約3か月間の舞台稽古を終え、アルバイト生活の日々に戻っていたころの話です。

1.これからどうするか

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今回の舞台で、演劇舞台に出演することは終わりにしました。

理由は、同じことを繰り返していても現実は変わらないと思ったからです。

何か変える必要があると思い、舞台ではなく映像作品への出演をメインで活動していこうと思いました。

そんなことを考えながら、いつも通りアルバイトで夜勤を終え帰宅し、就寝についていた時に、震災は起きました。

2.夢か現実か

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寝ているときに、急に大きな振動が起こり、目が覚めました。

ものすごい揺れを感じましたが、特に家の中に倒れそうなものも無く、眠気が凄かったので、僕はそのまま熟睡。

夕方頃に目が覚めると、家の中は本棚の本が倒れている程度で、特に異常はありませんでした。

それにしても大きな揺れだったと思い、テレビを付けてニュースを見ると、映し出されていたのは現実とは信じがたい津波の映像。

いったい何がどうなっているのか、理解するのに時間がかかりました。

3.事の重大さに気づく

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夜になり外に出て最寄り駅まで歩いていくと、電車が運休のため駅は閉まっていて真っ暗。

食料が買いだめされ、すっからかんになったスーパーやコンビニを見て、ようやく事の重大さに気づきました。

寝ている場合じゃなかった。

こういう時にこそ人の役に立ちたいと思っていたのに、自分の無力さや危機感の無さを痛感しました。

4.いま僕にできること

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それから数日間、アルバイトもお店が閉まって休みとなり、ひたすら家で考えていました。

俳優として僕に何ができるのか。

しかし、俳優仲間から舞台中止の連絡が次々のやってきました。

こういう時にこそ、演技で人を元気にしたいと思っていたのに。

演じる場所や機会が無ければ、舞台俳優という職業は無力であることに気づきました。

他にも被災地に援助に行くことも考えました。

でも当時の僕は、俳優業にお金を投資しまくっていたので、アルバイトを止めて自分一人が生きていくだけの、金銭的余裕がありませんでした。

5.寄付

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考えに考えた挙句、テレビで数百万円の寄付をする芸能人のニュースを見て、僕もお金を差し出すしかないと思いました。

しかし銀行に行くと、口座に入っていたのはたったの5,000円。

10日が給料日だったにも関わらず、僕はクレジットカードの返済に追われていて、給料のほとんどが自動的に引き落とされていました。

毎月同じ出来事を経験してわかっていたことでしたが、いざ必要な時に差し出せるお金がこれだけしかないことに愕然。

でも、凹んでいてもしかたない。

今ここで、これから1か月生きていくための全財産の5,000円を使っていいか、ATMの前で少し迷いました。

でも、ここで動かなければ僕は一生後悔すると思い、赤十字社の募金指定口座に5,000円を寄付することに。

すでにまともにご飯が食べれていない状況でしたが、振り込みが終わり、僕は一文無しとなりました。

まとめ

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当時は究極の選択でしたが、ピンチの時でも僕が大事にしたいことを大事にした、この選択をして今でも良かったと思います。

この出来事をきっかけに、本気で人生を考え始め、僕の人生は急展開することになりました。

続きはまた次回お話しします。

ここまで読んでいただき、ありがとうござました!

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