連作「岐路そして帰路」

世界中の明かりをつけてしまいそうで降車ボタンは誰かに譲る

真昼間は頼りなかった看板がしつこく土地を主張している

新作のフラペチーノを飲み干してそれでも寂しい夜をどうする

本当は帰路ではなくて往路だと気付いて更に泣きそうになる

どの角も曲がらず家に帰りたい干渉できず岐路そして帰路

この街のファミリーマートの店員も私を客として出迎える

故郷の言葉でナンパされたから少し話を聞いてしまった

今日に置き去りにされたい思い出し笑いで生きていけそうだから