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Vol.11 「たったひとり、知識ゼロから始めたZOOM学会運営」その①立志編

ある日、一通のメールが届いた。

「学会をやりたいのだが、WEBで可能ですか?」

自分の職種は、臨床検査技師。

普段は検査関連会社に勤めてはいるが、地方学会の事務局長も片手間でやっている。局長なんてついているが、実質ひとりでやっているので、名ばかりな役職である。

学会事務局とは「何でも屋」。面倒くさい仕事を押し付けるには、実に都合がよい、厄介な役回りだ。

ちなみに、事務局長はたしか6年前か、半ば無理矢理に押し付けられたものである。日々、色んなメールが届きその都度業務を行うわけだが、年間で、何十時間と時間を浪費するものの、無報酬で仕事を行わなければならない、なかなかにブラックな役職である。

そんな相当に面倒くさい、かつ損な役周りではある事務局長だが、考えようによっては、実に面白い役職ではある。

今回のWEB学会の話もそうだ。

それは、日常業務の範疇では、決して広がらない、出来ないような体験や経験を得られるからである。

「体験」「経験」を重要視する自分にとって、事務局の業務は少々面倒でも都合がよいのだ。

事務局は、文書作成、議長としての総会議事進行などの学会運営を行うのだか、「読み書き、しゃべり」を駆使し実務を行うので、こうした能力向上のトレーニングにはもってこいです。

また、入退会といった会員管理も業務の一つであるため、県内の会員動向を掌握でき、人脈を容易に広げられるのも魅力な部分。

トップに会長がいるのだが、実質的には自分が手の平で転がしているようなものなのだ。

話を戻そう。

メールは、次回開催される学会責任者の先生からであった。

医療関係者はワクチン接種が進んでいるとはいえ、世の中は未だコロナ真っ只中。学会もオンライン開催という流れが、一般的になりつつあるので、当然こうした話はある程度予想しており驚きはしなかった。

メールしてきた先生は、国内でも有名で相当に目上の人。そんな人が、自分を頼って連絡をくれてきた事に対し、胸が震える。

「何とかしてあげたい」

以前、とある学会でZOOMを使用したWEB学会に参加した事があった。なので、当然自分だって出来るだろう!

ネットでリサーチを行い、大体の手順を把握し、「よし!いける」と確証した翌日、

「ZOOMを使ってWEB学会やります!」 こう返信した。

ミッションは、参加者100名規模、1時間の講演2題、各10分間の一般演題3題

ZOOMを使ったWEB開催で、所要時間は約4時間、本番は7月3日。

周りは全く頼りにならない人達だらけ。当日運営はある程度まかせるとしても、構築はたった1人で行わなければならない状況。

「WEB学会は初めてだから、多少の失敗は許してもらえるだろう!」なんて事は考えない。

完璧にやり切ってやります!

そんなこんなで、たったひとりのWEB学会構築がスタートした訳です。

次回につづく







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