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Stay at Camp2

本日は2020年5月18日です。7年前の今頃僕たちは、C2で休養していました。すると、目の前にはヘリコプターがC3付近の登山者をレスキューしていました。この標高になると、あまりにも気圧が低くてローターを回してもほとんど浮力を得られません。2005年に世界記録、エベレストの山頂に降りた(ヘリコプター)と言われるエキュレイユも、ほとんどの窓やシートを外して山頂にたったと言われています。僕たちこれから山頂に向かおうと思う、その7年前、確実な1歩1歩が安全な登山に繋がるんだなと心新たにしていました。皆さんも1歩1歩を、これから山頂に向けて頑張ってみてください!

本日のMIURA流クライムビクス

※メイン運動は登山を想定して、ザックを背負って行なってみましょう!!

【準備体操】
  登山体操・・・リズムよく、楽しくトレーニングしましょう

【メイン運動①】 
  ①階段のぼり・・・20階分、もしくは踏み台昇降・・333回分   
 ※もしくは以下の②か③より選択してください
  ②スロージョギング・・・10分間(5分間×2セット) 
  ③ウォーキング・・・1.8km

【メイン運動②】 
  フロントランジ(歩幅2歩)・・・40回×3セット

【補助運動】
  かかとタッチ・・・15〜25回×2セット

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三浦豪太の遠征日記 −2013年5月18日−

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今日はC2滞在である。今回のアタックで唯一の滞在型休養だ。C2は別名アドバンスドベースキャンプといわれていて、日本語に訳すと前進基地だ。標高6400mにありながら、キッチンもダイニングテントもあり、高度順化が進めば十分とは言えないが休息することができる。通常であれば、ここからC3、C4、頂上と3日間で頂上アタックとなるが、僕達はC3に加えてC3'(ダッシュ)、C4,C5、頂上と、5日間も使って登るので、実質ここがベースキャンプといっても過言ではない。

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前回、父以外は高度順化をしているので特段疲れはしない。しかし、父にとってここは今回が初めての高度。そのため疲れが十分取れるか心配だったが、ふと、横をみるとぐーすかと寝ている。先日、僕がここに高度順化に来たときは夜もろくに寝られなかったのに、寝られることが強さの秘密なのか??

ここでは休息以外にもさらに上のキャンプへ行くための準備がある。ここまでは酸素も寒さもそれほど厳しくないが、ここからデスゾーンともいわれる別世界である。酸素は地上の三分の一、エベレスト山頂はマイナス30度の世界で常に秒速20メートル以上の風が吹いている。

装備も全く違うものになってくるため、これまでの装備とこれからの装備の仕分けをする必要がある。すぐにでも準備をしなくては、と思いつつも朝ごはんを食べすぎて、午前中は少し横になる。

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すると、アドベンチャーガイズの近藤さんが僕達のC2にやってきた。つい2~3日前ベースキャンプで会ったばかりなので、それほど懐かしくはないが、こんな高所でキャンプへ訪問してくれるとは感慨深い。来てくれたのは近藤さん1人である。彼はアタック装備を身に着けている。アドベンチャーガイズ隊は、1名を除いて昨日ベースキャンプを出発したという。C1をスキップしてそのままC2にきて、今日C3を目指すというかなりハードな行程だ。

彼らのうち何人かはエベレスト登頂後にローツェに登るという。タフな公募隊日程で先日、会った“なすびさん”や他のメンバーの体調が少し心配になる。彼らは疲れているがどうにか大丈夫だという。他のメンバーは先に登り始めたというので、それほど長居せず近藤さんもみんなを追っかけて行った。

山にはいろいろな登り方がある。僕達は僕達のペースでゆっくりと頂上に近づこう。近藤さんが行ってからしばらくするとヘリコプターの音が聞こえた。ヘリコプターはC2の発着所に降りてホイスト用のロープをひっかけて飛び立つ。するとみるみる高度を上げていく。

ヌプツェからローツェフェースに高度を上げていく。サーダーのペンバがヘリコプターの無線を傍受している。やり取りはヘリコプターとシモーネの間で行われている。どうやらローツェフェースのC4にて救助を求めている人がいて、シモーネがグランドスタッフとしてヘリコプターに指示を与えている。

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ローツェのC4といったら8000m近い。そんなところで救助が行われたなんて聞いたことがない。もし、成功すれば世界記録の一つになるだろうと思われる。無線を聞いていると、何度もヘリコプターが近づくが、要救助者を特定できないようだ。今日はサウスコルに行くのに快晴で絶交の移動日和だ。朝から長蛇の列がローツェフェースに連なっている。どうやら、これらの人々が救助の要請がないのにみんな手を振っているらしい。

シモーネも、救助に関係ない人が手を振っていることに無線で苛立ちを見せている。横にレスキューに詳しい大城先生が「日本でもこういったことがよくあるのよね」といった。日本ではこうした事態でも何度かチャンスがあるだろうが、気圧が低く継続飛行が限られている8000m近くでは救助者のアプローチも限られている、また天候も変わりやすい。二度三度近づき、やっと救助者が特定できたとわかった時には燃料切れでヘリコプターはC2のヘリパッドに再度着陸。ヘリコプターの誘導員とシモーネを乗せてウェスターンクーンを降りて行った。

最近のヘリコプターの性能には目を見張るものがある。以前だったらC2に来るだけでも驚いたが、今では当たり前になっている。今朝早くも、ダイニングテントでインド人がお茶を飲んでいた。話かけると彼は16日にローツェ登頂に成功したという。なんで、ここにいるかと聞いたら、迎えのヘリコプターを待っているというのだ。見たところ、何の問題もなく、健康なのだが、どうやら疲れたのでヘリコプターをチャーターしたという。そして、早朝ヘリコプターの爆音とともに、ヘリポートの方にかけていった。

健康的に何の問題のない人がこれまでならあり得ない高度まで、まるでタクシーを呼ぶようにヘリコプターを呼んだり、高所でのヘリコプターレスキューをあてにして突っ込んでしまう。こんな登山はこれからも増えていくのではないだろうか…これではいくらレスキュー技術が進んでも事故は増えるばかりに思える。

さて僕達の登山であるが、今日一日で休養を終え、明日C3に向かう。事故や無理がないように進めていきたい。


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