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大解剖!三浦法律事務所STAFFの仕事AtoZ Vol.2:アドミニストレーション・グループの業務①「全体像を俯瞰する」

2019年1月に創業した三浦法律事務所(以下、M&P)は、今年新卒採用2年目を迎えます。

今年は「秘書」と「アドミニストレーション・グループ」の2つの職種に分けて募集を行います。「秘書」は他の法律事務所でも募集しているのでイメージしやすいかもしれませんが、「アドミニストレーション・グループ」の募集はかなり少なく、企業研究をしようにも情報が少ないと感じている方もいるのではないでしょうか。

イメージ先行で志望職種を狭めたり、「”アドミニストレーション・グループ”って、よく分からないから秘書を志望してみよう」と決めてしまうことは、ファーストキャリアの選択肢を狭めることにもなりかねず、非常にもったいないと感じます。また、われわれとしても、消去法で秘書を志望する学生よりも、きちんと比較検討したうえで「こういう理由から秘書になりたいんだ!」と明確な意思を持った方と一緒に働きたいですし、「選ぶ」という行動を学生がとれるように、法律事務所側(採用側)には必要な情報を提供する責務があると個人的には考えています。

このため、M&Pが開催するスタッフ向けのインターンシップ・プログラム2Daysでは、秘書とアドミニストレーション・グループ両方の業務について学べる内容にしました。たくさんの応募を頂きましたが、残念ながら全員を受け入れることができなかったため、この連載でもM&Pのアドミニストレーション・グループの業務についてご説明していきます。

【インターンシップの様子はこちらから】

1. アドミニストレーション・グループって?

法律事務所ごとに名称は異なり、「バックオフィス」や「管理部門」と総称されることもあります。また、前回の記事でもお伝えしたとおり、同じ名称が付いていても、法律事務所ごとに業務の守備範囲は異なりますので、これから説明するのは「M&Pのアドミニストレーション・グループ」の業務内容になります。

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M&Pのアドミニストレーション・グループ(以下、アドミGR)は、大きく「PR(広報)・マーケティング」「経理」「総務」「HR(人事・採用)」「IT」の5つの分野に分けられます。分野ごとに担当者を決めるのではなく、全員が少しずつ全分野に関わるというのが、アドミGRの業務分担を決めている筆者のこだわりポイントです(その理由は次の「2. 部署制をとらない理由」でご説明します)。

ちなみに、グループ全体として見たときに、各分野の業務比率は以下のようなイメージです。

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M&PはPR・マーケティングに力を入れているので、広報関連の業務は非常に多岐にわたります。経理・総務・HRは、PR・マーケに次ぐ主要業務となっています。それぞれの比重は時季やその年によって多少変動してきますが、おおよそ同じくらいです。最後にITは、現時点では弁護士や秘書と分担して対応に当たっていますが、将来的にはアドミGRで一貫して対応し、システムやアプリケーションの開発なども行っていきたいと考えています。

2. 部署制をとらない理由

部署制の方が特定の業務だけに集中して取り組むことができて、効率よく仕事を回すことができるという点がメリットです。また、集中的に担当することでスペシャリストを育成しやすくなるという見方もできます。

それではなぜM&PのアドミGRは分野ごとに担当者を決めるのではなく、全員が少しずつ全分野に関わることを基本方針としているのかーーそれは視野を広くもって仕事をしてほしいという思いと、異なる部門の業務同士が自然と連携することで相乗効果が生まれると考えているからです。

部署ごとに動く組織の場合、他部署がどんなことをしているのかが見えにくくなります。たとえば自分が広報担当とした場合、他部署の動きを把握できないと、せっかくのPRチャンスを逃してしまう可能性もあるわけです。

M&PではアドミGRのメンバーが連携して業務に当たるため、たとえばインターンシップ開催(担当:HR)の情報はアドミGR全員が当然認識していますし、オフィス移転プロジェクト(担当:総務)で面白そうなミーティングが行われれば、広報担当は容易にその様子をキャッチして発信することができます。

このように、自分の担当業務を起点に考えたときに、他のどの業務と融合させれば相乗効果が生まれて自分の担当業務のアウトプットがより良いものになるかを考えるのも、チャレンジングではありますが、M&PアドミGRで働くことのおもしろさだと思っています。

1つの部署だけで完結する仕事はほぼない

組織で働くにあたって、1つの部署だけで完結する仕事はほぼありません。必ず他部署との調整や協力が必要になります。同じ部署内で常日頃から一緒に働いている仲間であれば、相手の事情を考慮した動きをとりやすいですが、分業化が進んだ組織であればあるほど、また規模がおおきくなればなるほど部門間の温度差・感覚の共有や調整作業に時間がかかります。

その点、M&PのアドミGRは全員が少しずつ各分野の仕事を受け持つことで複数分野の事情を把握・理解し、スムーズな協力体制を構築しやすい環境となっていますし、今からこの体制を構築しておくことで、組織の規模が大きくなっても現在の環境を継続していきやすいのではないかと考えています。

また、先に述べたとおり、1つの部署だけで完結する仕事はほぼないので他分野の業務が進むことで自分の担当業務に影響する点をいち早く把握しやすい体制になっています。

アドミGRのメンバーは、筆者を含めて4名、4月からは新卒が加わって5名体制となります。全員が均等に全分野の業務を受け持つのではなく、その人の適性や希望に応じて濃淡をつけて割り振っています。

【実際に働くスタッフの担当業務の割合】

図-復元

3. 現状はあくまで「現在地」

「アドミGRの守備範囲」「全員が少しずつ全分野に関わる」方針など、これまでにお伝えしてきたことは、あくまで”現在地”にすぎません。M&Pが同規模の他の法律事務所と異なるのは、成長真っ只中にある事務所であるという点です。

組織が30人のとき、50人のとき、100人のとき、200人のときーーそれぞれのフェーズで必要な機能は異なりますし、最適な運営方法も違って当然です。この2年で弁護士の人数は20人以上増えました。今後もこの傾向は続くことが予想されるため、組織としてまだまだ大きくなっていきます。

これに比例してスタッフの人数も増やしていく必要があります。スタッフの人数が増えれば、今以上にたくさんの業務に対応していくことが可能になるため、組織を作っていく過程で現状の方針が最適解でなくなる日が来るかもしれません。

「どうしたいか・どうすべきか」が問われる職場

M&Pは「どうしたいか・どうすべきか」を問う職場です。完成した組織であれば、すでに決められたルールの中で効率よく動けばよいかもしれませんが、M&Pはまだ発展途上。だからこそ、「どうすれば問題・目標が解決・達成できるか」を考えながら主体的に組織作りに携わることができます。弁護士・スタッフ双方の協力なくして組織作りはできないため、スタッフにも能動的に考え、提案する姿勢を求めています。

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次回予告:アドミニストレーション・グループの業務②:各分野を深堀りする

次回からはアドミニストレーション・グループの5つの分野「PR(広報)・マーケティング」「経理」「総務」「HR(人事・採用)」「IT」を詳細に解説します。

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Author

平川 裕(三浦法律事務所 PRマネージャー兼アドミニストレーション・グループ マネージャー)
PROFILE:大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年からファッション業界紙「WWDジャパン」の編集記者として、同紙におけるファッションロー分野を開拓する。同時にバッグ&シューズ担当としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材も行う。19年6月から三浦法律事務所のPRマネージャーを務める傍ら、フリーランスのファッションジャーナリストとしても活動する

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