1. 改正金商法の概要
2023年11月20日、第212回(臨時)国会において、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」(以下「本改正法」といいます。)が成立し、同年11月29日に公布されました。
本改正法による主な改正内容は以下のとおりです。詳細は「ポイント解説・金商法 #9」および「ポイント解説・金商法 #10」において解説をしておりますので、ご参照ください。
また、本改正法による主な改正内容の施行日は、以下のとおりです。
特に四半期報告書の廃止に関しては、例えば、3月決算の会社については2023年12月期(第3四半期)に係る四半期報告書(2024年2月14日まで)が最後に提出するものとなり、12月決算の会社については2024年3月期(第1四半期)に係る四半期報告書(2024年5月15日まで)が最後に提出するものとなり、早期に影響が生じますので、改正内容を急ぎ把握する必要があります。
2. 四半期開示の見直しに関する東京証券取引所の対応
本改正法の成立を受けて、東京証券取引所は、2023年11月22日に「四半期開示の見直しに関する実務の方針」(以下「本実務方針」といいます。)を公表しました。
上場企業の四半期開示の見直しに関しては、金商法上の四半期報告書の廃止に伴い、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化される方向性が示されていました。なお、当該方向性が示された金融審議会ディスクロージャー・ワーキング・グループによる報告内容の詳細に関しては、「ポイント解説・金商法 #6」をご参照ください。
本実務方針は、四半期決算短信への一本化による企業のコスト削減・開示の効率化を踏まえつつも、開示の後退を防ぐために四半期決算短信による開示をより充実させ、実効的にすることを目的として、今後の取引所規則の改正や四半期決算短信の作成要領の改訂の方針を示したものです。
本実務方針の主な内容は以下のとおりです。
Authors
弁護士 峯岸 健太郎(三浦法律事務所 パートナー)
PROFILE:2001年一橋大学法学部卒業、2002年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)、一種証券外務員資格。19年1月から現職。06年から07年にかけては金融庁総務企画局企業開示課(現 企画市場局企業開示課)に出向(専門官)し、金融商品取引法制の企画立案に従事。
『ポイント解説実務担当者のための金融商品取引法〔第2版〕』(商事法務、2022年〔共著〕)、『実務問答金商法』(商事法務、2022年〔共著〕)、『金融商品取引法コンメンタール1―定義・開示制度〔第2版〕』(商事法務、2018年〔共著〕)、『一問一答金融商品取引法〔改訂版〕』(商事法務、2008年〔共著〕)等、著書・論文多数。
弁護士 所 悠人(三浦法律事務所 アソシエイト)
PROFILE:2014年早稲田大学法学部卒業、2016年早稲田大学法科大学院修了、2017年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2021年8月から現職。さまざまなファイナンス案件、金融レギュレーション案件、不動産取引案件を軸としつつ、M&A・紛争を含む企業法務全般を広く取り扱う。
主要著書・論文は、『ポイント解説実務担当者のための金融商品取引法〔第2版〕』(商事法務、2022年〔共著〕)、『消費者取引とESG(第4回)「競争法規制とESG」』(NBL No.1223、2022年〔共著〕)等。