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山火事と動物たち(2)~ブラジル

森の動物は通常、火や熱から逃れる能力を持っています。鳥は飛び去り、哺乳類は走り、両生類や他の小さな生き物は地面に潜ったり、丸太や岩の下に隠れたりします。エルク(鹿の1種)のような大きな動物たちは、小川や湖に避難します。

それにもかかわらず、今年の山火事の激しさは、今まで火や熱に適応してきた種でさえ対処できないものです。

このような大規模火災はアメリカだけでなく、ブラジルのパンタナル湿原でも拡大しています。

パンタナルはアマゾン熱帯雨林の南端に位置し、ブラジルからパラグアイ、ボリビアにまたがり、生物多様性が高い湿原です。広さは14万~16万平方キロメートル。(東京から仙台間の距離を1辺とする四角形を頭に浮かべてみてネ)

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写真上のクロガミインコや大アリクイはパンタナルに棲息しているが、トップ・ヘッダー写真のジャガー&アナコンダ同様に、たいへんな危機に瀕しています。

パンタナル湿原ではこれまでに東京23区の約9倍(1万9千平方キロメートル)を焼き、ジャガー生息地の州立公園は 65% 焼失しました。

米北西部火災の多くは雷から発生し(なかには誕生予定の赤ちゃん性別発表パーティから燃え上ってしまったなんてのもあるが・・)+ 大気乾燥 + 異常高温(ロサンゼルスでは9月6日にセ氏 49.4 ° を記録)+ 強風というパターンだが、ブラジルの火災は、農地を再生するために人が火をつけ異常乾燥下で拡大したものではないだろうか。

気候変動を認めようとしない(どこかの大統領のような)ブラジルの ボルソナロ大統領は、先住民や動物の保護区での農業や資源採掘を促進してきた。そのため、環境問題専門家たちから重要な天然資源を破壊していると非難されています。

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写真上は、動物病院へ運ばれる前に応急手当を受けるジャガー。1メートルおきくらい、そこら中に落ちている蛇の死骸。 炭化したワニ。

「この火災で死者は出ていない。」と、同州の消防署長は言う。「犠牲者は野生動物だ。」と。

そして、そこに棲んでいた生物がどれくらい数多く死んだかは、誰にもわからない。

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写真上は現在も燃え続けるパンタナル湿原。

下2枚は昨年の8月末にウィル・グラント特派員が空から森林火災をレポートしたBBCの映像である。動画は約2分(英語)。

「これはひどい惨状だ、地球の危機だ!!」と怒り、嘆きながらの報道です。

たしかに、空から俯瞰すると、より壊滅的でなさけなく、なんということをしてしまったのだろう・・と絶句するしかない動画である。


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