いのちの授業

子どもたちの自殺が増えている。

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2009/04/13/1259190_4.pdf

文科省によれば、年間300〜400人の小中高生が自殺をしていて、少子化になった今もその人数が変わらないので、自殺率は増え続けているそうだ。

加えて、自殺の低年齢化も起こっていて、小学生の自殺も増えている。

大学生もいれると年間900人弱に一気に増える。

そして20〜39の働き盛り世代の死因1位は、病気でも交通事故でもなく自殺。

自殺率は世界でもロシアに次ぐ2位。

どんなに生きづらいんだ日本は。苦笑
こんなに安心安全で豊かな国のはずなのに。

私のいる地域でも、子供が自殺したことをきっかけに、保護者発信で「何か子どもたちのために大人が出来ることを探したい」と、行政を巻き込んで出来たのが「いのちのプロジェクト」。

大人と子供で、いのちについて考える授業をやったり、大人から子供へのメッセージを集めて教室に掲示したり、色んな取組をされている(ことを、最近始めて知った)。

そのいのちのプロジェクトを立ち上げたメンバーが、いま市のPTA協議会(通称「市P」)のメンバーでもあり、その「市P」と「いのちのプロジェクト」と「市の教育委員会」が共同主催で、今回「いのちについて考える授業」を保護者や教師、その他、地域の大人向けに実施した。

講師は、「赤鼻のセンセイ」でドラマ化もされ、NHKプロフェッショナルにも出演、小学校教諭を長年された後、院内学級という病気で入院している子供向けに授業をされている副島先生だ。

院内学級は、(子供によるし、中には長期入院の子もいるが)平均1週間程度しか子どもたちは来ない。

その短い期間で、そして(治る病気ならいいけど)治らないかもしれない病気と日々戦っている子どもたちに、勉強以前に生き続けることが出来るか、の不安と戦っている子どもたちに、何を伝え、どうやって生きる希望をもってもらおうか、ととても悩まれ、そして覚悟を決められ、いま(伝説の)院内学級講師として、日々奮闘されている方だ。

日々子供たちと真剣に向き合っているから、副島先生の言葉は、とても力強く、そして温かい。

彼が話しだした途端、一気に会場の空気感が変わるのが分かる。

時に面白おかしく、時に真剣に、メリハリをつけて、彼が院内学級を通じて学んだこと、子どもたちに関わる大人たち(保護者、教師、地域)の責任、出来ること、やってはいけないこと等、経験やエピソードを交えて、わかりやすく語って下さった。

印象的だったのは、子供は
・何かが出来るようになること(=doing)による自尊心が高いまたは低い
・(何かが出来なくても)自分は愛されているし、ここにいていいんだ(=being)、という自尊心が高いまたは低い
という2軸で分けたときに。

①前者が高くて、後者も高い子
→めちゃ元気。少々のことではへこたれない。安心。
②前者が高くて、後者が低い子
→いい子、頑張る子が多い。でもいつも出来なきゃいけないと思ってるので、不安感がある。出来ることしかやらない傾向も出てくる。失敗がイヤ。
③前者が低いが、後者が高い子
→のび太君タイプ。のんびり屋。マイペース。でも大丈夫。
④前者も後者も低い子
孤独。自尊心、自己肯定感が低い。

心配なのは②と④の子。
④はわかりやすいけど。
②は結構気づきにくいかも。

でもいるよね。
「いい学校入っていい会社入れば幸せ」で育てられてきた私や同じ世代の子たちなんて、まさにそうかも。(もちろん、そこから抜け出して、自分の人生を生きている人は沢山いると思うけど)

で、子どものうちに、何かが出来る出来ないに関わらず、その子が愛されているし、そこにいていいんだよ、という自尊心をどう育てるかがとても大事、というお話をされていた。

そのためにどうしたら良いか。
これは各家庭で、各学級で、各地域で大人たちが真剣に考えなければいけないテーマだが。

副島先生がおっしゃっていたのは。
・今を大切にし、どんな感情も大切にする
(怒っていいし、くやしくていいし、悲しくていい)
・心の声を聞き、一緒に言語化してあげる。
(子どもの表情や行動から感情を予測し、読み取り、その気持ちを言語化するのを手伝ってあげる)
・その感情を受け止めてあげ、その上でダメなことはダメという。
(殴りたいくらい悲しかったんだね。でもダメだよ人を殴っては。)

という子供の湧き出る感情への関わり方に加えて。

子供が自立していく過程で、保護者が関わり(や束縛や締付?)を少しずつ少なくしていき、子供が少しずつ自分で出来ることを増やしていくことが大切で。

で、その過程で沢山失敗するし、それでも立ち上がれるように、程よい距離感で大人が関わり続けること、見守り続けることが大切で。

そしてそこには、保護者だけでなく、地域の大人が関わってあげると良くて。何故なら思春期の子供は、親には頼りたくないし、弱みを見せたくないから。

だから、代わりに甘える先や頼れる先を沢山地域に作ってあげると。子供はその大人たちに見守られながら、自分の足で立ち上がっていくんだと。

そんなことをおっしゃっていた。

話は少し変わるが。
最近コーヒーにはまって、通っている近所のコーヒー専門店のマスターと話していて。

マスター「〇〇さんの息子さんが不登校になったときに、毎日うちに通ってたんですよ。ここで、トーストとコーヒー牛乳飲んで。そして色んなこと話して。で、たまに甘っちょろいこと言ってると怒って。

一応〇〇さんにも『うちの店に来てるよー』とは伝えてたんだけど。〇〇さんは『好きにいさせてやってください。お金はあとで全部払うので。ご迷惑おかけしますが。沢山話してあげてください。よろしくお願いします』と返ってきた」とおっしゃっていて。

学校が生きづらい場所になっていたら、学校なんていかなくても良い。でも、そのかわりに、そういう素敵な大人がいる、そして子どもたちが逃げられる場所があって、そこで社会で頑張ってる大人がどんな気持ちで子供時代を過ごし、どういう風に葛藤して、どうやって今の仕事につき、これからどう生きたいと思ってるのか。そんなことを学べるんだとしたら、下手したら学校よりも大切なことを学んでいるわけで。

そういうところでエネルギー補充して、そして「 自分はどう生きたいんだろう?何やりたいんだろう?」と考え、悩み、そして「やっぱり学校戻ろう」なのか「少し友達より早いけど、社会に出て働いてみよう」なのか、そういった選択を、初めの一歩を踏み出せるような、そんな場所が地域に沢山あったらいいなー。(不登校児が全員コーヒー屋に行ったら困るからね。笑)

副島先生の話は、そんな子どもと大人の関わり方を、考えさせてくれる、とてもとてもとても良い授業で。

子供に関わる全保護者に、全教員に、全地域の大人に見せたい内容だったなー。

(いま事務局の方がアーカイブ残そうと必死に対応してくださってるはずなので、URL出来たらコメントに残しますね)

ちなみにユーチューブで検索すると副島先生の対談が載っていたので、コチラもシェア。

この動画の中では、SAFETY(心理的安全性)、CHALLENGE(挑戦や失敗が出来ること)、HOPE(希望をもてること)の3つが大切ということを言っていて。

それもとても共感したなぁー。
(しかもその3文字がschoolの頭文字だとか、見つけて天才。笑)

これからPTA改革をするにあたって、本当に良いインプットをしてもらったので。5月総会に向けて準備頑張らねば。

地域のカッコいい大人と子供を繋ぐ場所作りたいし。保護者や先生が子どもたちへの関わり方を学ぶ場も作りたい。子どもたちが自分たちで自分たちの人生を切り開く、そんなマインドを持てるような授業や、今回のような「いのちについて考える授業」も企画したい。

でも一人では無理だから。
だから、市Pとも協力してやらねば。
(自分たちの子供だけでなく)地域の子どもたちへの愛をもった保護者も沢山巻き込みたい。

会社や社会で学んだ企画力、スケジュール力、巻き込み力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、全ての力をここで出す。

頑張る。

以上


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