止まった世界のMIU Observation記録7

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4日目

前回の記録地点より6キロメートル東へ到達しました。

周囲にあった砂丘はどんどん減少し、

現在はほとんど平らな地面が広がっています。

今日は2つの発見がありました。

1つ目は地表に開いた幾つもの穴です。

3センチメートル程の丸い穴が等間隔に開いており、

そこからは僅かに空気の流れを感じることができます。

円周部分はゲル状の何かで固められており、

遥か奥深くまで続いているようです。

この地点に至るまではこのような現象は確認できていないため、

何らかの生物の仕業であることが予想されます。

やや安直ではありますが、その判断に至った理由は

もう1つの発見があったためです。

水たまりの中に生物の影を発見しました。

全長はおよそ3メートル、全身が楕円形で

前方に飛び出た2本の腕らしき突起と

後方に尾ひれのようなモノも確認できます。

身体の表面は滑らかで鱗がなく

顔と思われる位置には十数個の穴が開いていますが

目や鼻、口といった器官に見られる外見的特徴はありません。

最初に視認できた個体は1体だけでしたが

東へ進むにつれてその数は増え、

現地点からは数百の個体が折り重なって泳ぐ姿を確認できます。

このような特異な姿を持った大型生物が群れで泳ぐ姿は

壮大でありながらも禍々しく、

人によっては嫌悪感を抱くでしょう。

この光景が奥深くまで見えているにも関わらず

水面は驚くほどに静かです。

彼らがどのような生態系を紡いでいるのか気になりますが、

水中での活動には多くの危険が伴うため、

今は映像データを残すのみとします。

いずれにしろこれは歴史的な発見です。

もうしばらく東へ進み、この星のObservationを続けましょう。

バッテリー残量は87%です。


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