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長編小説『青の緞帳が下りるまで』  #00

過去の作品をこちらに置かせていただきます。

『青の緞帳が下りるまで』は、一原みうとして小説家デビューする前、2013年小説すばる新人賞の最終候補に残った作品です。
2021年に少女小説向けに改稿しました。

興亡史が好きで、歴史に纏わるミステリが好きで、クラシック音楽が好きで、天才音楽家が好きで、劇場が好きで……奇人変人が好きで……とにかく自分の好きなものを詰め込んだら、こうなりました、という作品です。
私が旧社会主義国の音楽院でレッスンを受けた経験も反映されています。
舞台は1954年で、発見された

私が生まれてはじめて書いた長編小説であり、思い入れの強い作品なのですが、諸事情から商業誌での出版はかなわず、封印していました。

手をくわえたことで当時より読みやすくはなっていますが、手をくわえすぎると当時の「熱」が消えてしまう気がしたので、文体はあえて修正していません。粗もそのまま残しています。

週に2回のペースで更新予定です。
連載終了まで無料公開の予定ですので、よろしかったら世界観をお楽しみください。一人でも多くの方に読んでいただけますと幸いです☺

(誤字・脱字などを発見されましたら、コメントでお知らせいただけますと嬉しいです。ありがとうございます)

※本作は小説投稿サイト「カクヨム」に別名義で(実験的に半年間のみ)公開していましたが、現在は非公開にしています。
※本作は架空の国を舞台にしたフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません

全41話 約18万字(文庫本2冊)

目次

  1. あらすじ

  2. 登場人物

  3. 目次

あらすじ

 1954年、隣国リトヴィスの圧政から独立を果たし、平和を手にしたアルトランディア共和国はお祝いで湧いていた。独立の機運を高めたのは、かつてアルトランディアが王政だった時代の、最後のアルトランディア王女、A王女に対する反発だった。
 リトヴィス人の王妃の間に生まれ、半分リトヴィス人であるA王女はアルトランディアを嫌い、音楽教師であったヤローキンを含むアルトランディア人を罷免し、まわりをリトヴィス人で囲った。父国王がクーデターで倒れたときは、娘であるA王女がリトヴィスと手を組んで計画していたことも噂された。
 A王女は長年アルトランディア人から憎まれていた。しかし彼女は本当に皆が思うような人物だったのだろうか。

 A王女の死から40年経ち、女性記者イーラは、亡き祖父が遺した資料をもとに、亡き祖母が語ったA王女の真実を出版することに。
 最後の国王暗殺クーデターが起きたとき、国境の街ユヴェリルブルグの劇場に疎開していた祖母は、A王女らしき人物と一緒に過ごしたという。
 イーラの本のタイトルは「A王女はアルトランディア人だった」というセンセーショナルなもの。だが待ちに待った本の出版は突然の差し止めをくらう。
 理由は、アルトランディアの独立を国外で支援した世界的音楽家マエストロが急遽凱旋帰国することになったため。マエストロは師であるヤローキンA王女に罷免されたことで、A王女に対して恨みを抱いているという。
 落ち込むイーラだが、そのマエストロはなんと、イーラの亡き祖父が「資料を渡してほしい」と遺言した相手、ヴォルホフという人物だった。

 マエストロの凱旋公演の記者会見に潜り込み、話を聞いたイーラはある違和感を抱く。マエストロが本当に亡き祖父のよく知るヴォルホフであるなら、彼の話には嘘がある。
 マエストロヤローキンの弟子だと自称しているが、ヴォルホフという人物はヤローキンの住む王都に行ったことはなく、ヤローキンと面識がないからだ。
 知恵を絞り、マエストロと直接の面会をとりつけたイーラは、マエストロから直接話を聞くことに成功する。
 アルトランデイアにおけるマエストロの凱旋公演の開催場所は、折しもイーラの祖母が疎開していた劇場。その場には当時、マエストロもいたという。
 劇場の展示品と共に、マエストロの口から明かされる真実。
 イーラの祖母が会ったA王女とは本物だったのか。
 そしてA王女とは何者だったのか。
 
 イーラの祖父が遺したアルトランディア王国の機密。
 マエストロヤローキンの関係の謎。
 そして話に大きく絡んでくる、ヤローキンの「国王賛歌」、ヤローキンの「国王賛歌」を歌う謎の歌姫。

 イーラマエストロがたどり着いた、本当の真実とは――。

主な登場人物

1954年:現在

イーラ・アファナシエワ――戦争中の祖父の汚名を晴らそうと、アナスタシア王女の本の出版を画策するが、差し止めになる。

アンナ――音楽関係の記者。伯母が音楽院の声楽講師で、伝説の歌手タチアナ・Lに纏わる手記を残す。

ヴィクトリア・アファナシエワ――愛称ヴィーカ。イーラの祖母。故人。劇場の女優でアナスタシア王女を演じたことがあり、本人に会ったことがあるという。

ドミートリー・アファナシエフ――愛称ミーチャ。イーラの祖父。故人。王立軍勤務。非常時、王宮の宝石の疎開を担当。

ヴィターリー・ヴォルホフ(マエストロ)――愛称ヴィーチャ。音楽家として成功してからはマエストロ(巨匠)と呼ばれる。クーデターで亡命するが、アルトランディア独立を国外から援助した英雄。
アルトランディアの国王師範の作曲家ヤローキンの弟子であり、ヤローキンの曲を海外に紹介。

アナスタシア王女――アルトランディア王国最後の国王ニコライ十世の一人娘。敵国リトヴィス出身の王妃との間に生まれたため、アルトランディア王国内では嫌われる。「リトヴィス人の王妃も、王女も不要」は、その後アルトランディアがリトヴィスからの独立をめざす際のスローガンとなる。

ヤローキン――アルトランディア王国ニコライ九世、十世(最後の国王)に仕えた、国王師範の称号を持つ作曲家。謎が多く、正体不明。

タチアナ・L――ニコライ十世の即位記念式典で、難曲と言われるヤローキンの国王賛歌を歌った伝説の歌手。

1914年:過去

サーシャ――ユヴェリルブルグでヴィターリーが会った謎の少女。抜群の歌唱力でヤローキンの歌を歌う。「鏡の館」勤務でヤローキンとも面識があるという。

サルティコフ大公――先王ニコライ九世の弟で、最後の国王ニコライ十世の叔父。ユヴェリルブルグの領主。変わり者。演劇を好む。

ニコライ十世――アルトランディア王国最後の国王。敵国リトヴィスの王女を妃に迎える。アナスタシア王女の父。


全41話のリンク

※公開したエピソードから順番にリンクを追加していきます。

1.序章 A王女 1
2.序章 A王女 2
3.序章 A王女 3
4.   序章 A王女 4
5.   序章    A王女 5

6.  展示品一  アルトランディア王国の金貨
7.  第一章    ヴィーチャとAの出会い 1
8.  第一章 ヴィーチャとAの出会い 2
9.  第一章 ヴィーチャとAの出会い 3

10.  展示品二 オゼルキ村の写真
11.  第二章 大公とミーチャ 1
12.  第二章 大公とミーチャ 2

13.  展示品三 ヤローキンの手紙
14.  第三章 再会と潜伏生活 1
15.  第三章 再会と潜伏生活 2
16.  第三章 再会と潜伏生活 3

17.  展示品四 楽屋の壁の落書き
18.  第四章 偽アナスタシア王女   1
19.  第四章 偽アナスタシア王女   2

20.  展示品五 王女賛歌
21.  第五章 ヴィーカの記憶  1
22.  第五章 ヴィーカの記憶  2
23.  展示品六 「タチアナ・Lに関する覚書」

24.  第六章 「タチアナ・Lに関する覚書」 1
25.  第六章 「タチアナ・Lに関する覚書」 2

26.  第七章 キリル・シェレメーチェフの追想

27.  第八章 戯曲 コーリャと村娘の恋  1
28.  第八章 戯曲 コーリャと村娘の恋  2

29.  第九章 乾杯の歌

30.  展示品七 鏡の館
31.  第十章 サーシャの告白   1
32.  第十章    サーシャの告白   2
33.  第十章    サーシャの告白   3
34.  第十章    サーシャの告白   4
35.  第十章    サーシャの告白   5

36.  第十一章 最後の歌 1
37.  第十一章 最後の歌 2

38.  終章 1
39.  終章 2

40.  展示品八 王女の日記

41.  エピローグ

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