見出し画像

金農高校野球部・チーム変革の軌跡①

 8月5日(金)、金足農業高校野球部のOB会副会長の長谷川寿氏から電話がありました。長谷川さんは、元ホンダ野球部の監督でもあり、現在は管理職として、仕事をしています。彼は金足農業は母校になります。

 電話の内容は、「金足農業高校野球部で野球部員同士のいじめがあったこと、事実を重く受けとめて、高野連に報告。野球部の活動は謹慎中の状態・・・。チームの体質を変える必要があると思う。第三者の視点でチームを眺めて、体質改革のために協力してくれないか。」という内容でした。

 私は、過去に大学の体育会クラブで起こった、指導者のいきすぎた指導によるパワハラの状況を改善したり、高校野球部の不祥事の体質改革を行った実績がありました。長谷川さんの話から今回の不祥事を非常に重く受け止めている様子がやり取りの中で強く感じました。

 彼曰く、「企業の組織変革、企業変革、リーダーシップやマネジメントの指導、人材育成のコンサルティングを行っている手法を活用し、第三者の客観的な目線から観た中で、アドバイスがほしい。」ということでした。

私は、日常では、企業様の組織変革、リーダーシップの変革などをコンサルティングしています。企業活動の中においても不祥事が起こるケースがあります。多くの場合は、その会社の企業文化や組織風土の問題、リーダーシップの問題でもあります。企業での不祥事のケースと同じく、金足農業高校野球部の不祥事もガチの体質改革の取り組みが必要だという長谷川さんの強い危機感だと感じました。
企業の不祥事の場合は、企業文化や企業の体質、日常の言動や行動習慣から無意識にしてはいけないことを日常的に実行し、問題を起こしているケースがほとんどです。
また、同じような不祥事を起こす会社もあり、ガチの体質改革を行わないと同じことを繰り返すケースも散見されます。

一番大切なことは、「自分たちの当たり前を疑う」ということです。自分たちの当たり前に「問い」をたてる必要があるのです。

金足農業高校野球部の体質改革を実行する時、「組織開発」という理論や手法を活用していきます。「組織開発」とは、組織内に属する人たちの関係性を高め、組織パフォーマンスを最大限に発揮させること。 個人にフォーカスした人材開発とは異なり、組織内の信頼関係を強化することを目的としています。 (出所:日本の人事部https://jinjibu.jp/keyword/detl/1232/#)

いじめ、体罰などがなぜ、起こるのか・・・。人と人との関係性(監督と選手、コーチと選手、監督とコーチ、先輩部員と後輩部員など)を改善し、高めることが求められています。組織開発という手法の一番大切なことは、「対話」を繰り返すことです。それもガチの対話です。

まず、部長、監督、コーチ、トレーナー、OB会(保護者会)の皆さんとリモートを活用し、「対話」することから本プロジェクトは始まりました。誰が何をいうのかではなく、今、何を感じているのかが大切です。2時間ほどのガチ対話を行い、プロジェクト活動の骨子をまとめていきました。

プロジェクト名は、「未来創造プロジェクト」と名付け、8月27日(土)、野球部関係者を集めて、プロジェクトのキックオフミーティングを行うことを決めました。キックオフミーティングは下記のように実行しました。


<8月27日(土)10:30~12:00>
金足農業高校野球部・未来創造プロジェクト キックオフミーティング
*参加メンバーは、学校関係者、野球部関係者、OB会、父兄会の大人たち。
*内容:
    ◆10:30:石井OB会長よりプロジェクトキックオフ・開会宣言
      ・プロジェクトの主旨と目的の説明
         ・プロジェクトメンバーの紹介
              ◆10:50:教頭先生・挨拶
      ・金足農業高校が目指す、人材イメージ
    ◆11:05:リーダーシップが変われば、未来が変わる          
      ・高校野球のあたり前を疑う時期にきている
      ・少年野球も高校野球も大学野球も青少年の育成を掲げている
      ・チームの体質改革は、「当たり前」を疑うことから始まる
      ・持続的成長可能な金足農業高校野球部づくりに大切なこと

    ◆13:00:監督以下、プロジェクトメンバーで徹底的に「対話」

をなどを行い、プロジェクトとして何をするのか、プレーヤーズ・ファースト、部員を中心に据えた中で、大人たちが色々なことを話し合いました。

画像1

金農野球部で一番大切にしたいことは、「繋がり」ということでした。現状は、人と人との繋がりが薄くなり、先輩が後輩に物事を伝える時、言葉としての自己表現や日本語運用能力の問題から、わからなければ体罰的な自己表現で伝えようしているのではないか・・・など。今のチームの状態を質問を繰り返しながら、問題事象を炙り出していきました。対話の中で浮かび上がってきたことに「しきたり文化」が強いということがあげられました。

「しきたり文化」で部員が自分の意思で動くことが制限されている

「○○をしてはならない」というものが多いということです。そのしきたりが年代によって違ったり、変化していることもあり、野球以外の部活動では、「縛られたしきたり」の存在がチームメンバー間の人間関係の構築にマイナスな影響を与えている様子でした。

金足農業高校野球部は、監督さん以下、コーチングスタッフ(4名)も多く、チームスタッフの在り方を考えなおすこと、指導理念の一貫性、部の理念の共通認識、具体的な選手指導の方法(コーチングの欠如)など、チームスタッフにおける、修正すべき点や、マネジメントとしての問題事象も数多く浮かび上がってきました。

(次回に続く)


この記事が参加している募集

野球が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?