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文庫本頭陀袋

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2020年7月の記事一覧

装丁物語 和田誠 中公文庫



振り返ってみると、本については文字通りの「ジャケ買い」というのはほぼしたことがない。好きな著者の本の装丁が素敵だった、ということはあるし、本屋さんでパッと見て「あ、この本は面白そう」「気になる」と思うことも、よくある。
だが、全く見ず知らずの著者の本を、装丁だけで買った、という記憶はない。

和田誠『装丁物語』(中公文庫)を書店で手にとって、パラパラとページをめくっていると、見覚えのある書影が

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すき焼きを浅草で 平松洋子 画・下田昌克  文春文庫



ある一時期、平松洋子のエッセイを熱心に読んでいた。
いわば「趣味の自炊」にはまっていた頃、レシピ本を探していた本屋さんの料理書の棚で出会ったのが、平松洋子だった。

『忙しい日でもおなかは空く』、『世の中で一番おいしいのはつまみ食いである』『おいしい日常』『夜中にジャムを煮る』『おとなの味』『平松洋子の台所』『買い物71番勝負』『買えない味』『おんなのひとりごはん』『おもたせ暦』など。結構読ん

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「文庫本を狙え!」星取表〜『文庫本宝船』以後の



『文庫本宝船』を読み終えたのが4月30日。この後の分の「文庫本を狙え!」は、緊急事態宣言が解除されたら、図書館で「週刊文春」のバックナンバーに当たろう、と思った。

それまでに、せめて、お題本をチェックする方法はないだろうか?と考える。
週刊文春のWebサイトで目次だけでも読めるのでは? と見てみたが、目次にお題までは記載されていなかった。
次に、Dマガジンで「週刊文春」のバックナンバーを調べ

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上方落語ノート 第三集 桂米朝 岩波現代文庫



昨年、青蛙房から出ていた元本の第一集と第三集をゾッキで入手した。
例によって積ん読しているうちに、岩波現代文庫化が決定してしまった(汗)。
元本と比べてみたが、巻頭グラビアも、本文中の資料写真なども全て文庫版にも入っている。
文庫版にはカバーに米朝さんの写真が使われていて、解説(第三集は廓正子氏)がついている、というのが違いだ。とはいえ、文庫本好きなので、結局ダブりを承知で、全巻購入(第四集は

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あのころ、早稲田で 中野翠 文春文庫



仕事の師匠から、昭和史をテーマにした仕事をすることになって、打ち合わせをしていると、学生運動や安保闘争について、よく「そんなことも知らないのか?」と言われた。

私はちょっと特殊な単科大学で学生時代を送った。だからか、大学の教職員も含めた周囲に、学生運動や安保闘争に携わったことのある人(少なくとも、そう公言する人)はいなかった。

あさま山荘事件は、テレビ中継の映像を覚えている。叔父が警察官で

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