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見比べてみるのも一興


今期のドラマは、キャストやあらすじなど、ほとんど予習無しで見始めております。似たようなドラマが重なっちゃった時は、両方は見なくていいかとも思うけど、どっちも面白そうなら両方見たらいいんじゃない?いつものことながら、家で喋ってるていなので、俳優さんを呼び捨てにする場合があります。悪しからず。


●医療もの✖️ミステリー


院内警察」

思っていたよりも“ちょっとイイ話”な本作。病院内のトラブルを解決する部署、院内交番が舞台。桐谷健太のヤンチャぶりがやりすぎて無くて丁度良い塩梅。長濱ねるちゃんが新鮮だし、そのねるちゃんが上司の市村正親さんにキュンとなるのも可愛い。今期は医療もの(病院もの)ドラマが多く、このジャンルは人気があるだけにどうしても既視感があるし、重く暗くなりがち。その中にあって院内交番の多様な仕事内容と仕事ぶりはドラマの個性になる。病院ものらしく、毎回違う科の医師と患者が登場して患者さんだけでなく医師側の苦悩も解決されるちょっとイイ話。瀬戸康史さんがどこまで悪い人なのか、そこがドラマの肝。

グレイトギフト」

こちらは思っていたよりドロドロしている。エリートじゃない弱気な反町隆史はちょっと新鮮。
奇しくも、『院内警察』でも“ギフト”というワードが使われていた。最近では特殊な才能を持って生まれた人のことを“ギフテッド”と呼んだり、“ギフト”は良いイメージのワードだったが、ドイツ語でギフトは“毒”という意味になるそうで、良い意味と悪い意味の両方を掛けているのだろう。
それにしても、こんなウイルスが本当にあったら怖い。その存在を知った佐々木蔵之介さんも怖い。(とはいえ最近悪い人の役が多いので、出てきただけで「この人絶対良い人なんかじゃないはず」ってバレちゃってたけど。)初回からなかなかショッキングな展開が続く。人ってこんなに常に自分の利益ばっかり考えながら生きてるのかな?だとしたらやっぱり怖い。反町が蔵之介にどこまで抗えるのか、そして殺人ウイルスを作った犯人探しが肝。

●父親✖️娘


さよならマエストロ」

正直言いますと、情報が出て予告の段階ではあまり期待していなかった本作。でもやはり、西島秀俊さんの魅力なのか、音楽の魅力なのか、はたまた日曜9時の枠の力なのか。とにかく初回を観る前と観た後では期待値が一気に爆上がりしました。どうやら毎回違うクラシック曲がテーマで物語が展開していくもよう。あらためてクラシックの持つ魅力や力を感じます。『ウィリアムテル序曲』のような、この上なく元気で明るい曲を聴いて演奏している人たちの笑顔を見てるだけなのに泣けるなんて、自分でも驚きでした。西田敏行さんがお元気そうでホッとしたり(相変わらず歌がお上手です)、新木優子さん、當真あみちゃんの加入も自然だったし、チェロってセクシーだよなぁって。(知ってます?あのチェロの彼、浅野忠信さんとcharaさんの息子さんなんですってよ。)鍵盤ハーモニカとチェロ、トランペットとチェロ、掛け合いシーンがめちゃくちゃ素敵でした。それにしてもやっぱり西島さんですよ。楽しそうにタクトを振りながらあの笑顔を向けられたらそりゃ視聴者まで思わず笑顔になりますってば。そして美しく成長した芦田愛菜ちゃん。タルト・タタンのくだりや、「美味いんかいっ」は可愛かったけど、一体あの親娘の間には何があったのでしょう。でも、つ、ついにヴァイオリンを手にした‥早く愛菜ちゃんの満面の笑顔が見たいなぁ。


春になったら」

ホントはあんまり見たくなかったんです。だって絶対泣けるやつじゃないですか。3ヶ月後に死ぬ父と3ヶ月後に結婚する娘ーって。でも父親がノリさんだからかな、泣かせにきてない、すごく自然な感じがして、ドラマ自体に好感を持ちました。職業・実演販売ってのが、すごくノリさんらしくてちょっと笑っちゃったし。奈緒さんの相手が濱田岳で、しかも売れない芸人ってのも良いですよね。そりゃ安心して娘を任せられんわーって皆思ったはず。息子くん役は、『おとなりに銀河』のふみおくん。ちょっと大きくなったけど、相変わらず可愛い。「最後まで父親でいたい」というノリさんの願いを聞き入れ、“死ぬまでにやりたいこと”をこなしながら、結婚を認める感じでしょうか。ノリさんというキャスティングだからこそ出来る、明るくて前向きに“死”と向き合うドラマになりそう。

●タイムスリップ


不適切にもほどがある」

今期誰もが期待していた本作。クドカンは裏切りません。クドカンさんはTBSと相性が良いみたいで、過去作はどれも秀作。
『俺の家の話』とか『ごめんね青春』『うぬぼれ刑事』『マンハッタンラブストーリー』好きだったなぁ。名作、木更津やIWGPもTBS。
昭和のおっさんが令和にタイムスリップしてしまうお話。確かにコンプライアンスだのハラスメントだの、そんな言葉さえ知らなかった時代ですから。昭和のいろいろに懐かしさを感じつつ、あんなに過激な時代だったんだなぁと感じてしまうのは不思議な気持ち。“愛のムチ”にうなづく職員室、今だったら即教育委員会案件ですね。でも今の時代は逆にそういうのを気にしすぎで、その違和感を「おかしいだろう」と言うこと自体もダメな時代。令和って、ものすごく束縛されてんな、って視聴者に気付かせるドラマなのかな。まさかのミュージカル仕立て(しかもちょっと良い歌だった)には笑ってしまいましたが、予告見てたらそれ用のキャスティングぽかったので、毎週あの感じでくるんですね。磯村くんて歌える人だったんだーって。そこ?


めぐる未来」

これは偶然の産物、たまたま録画されてたのを見てみたら意外に面白かったのだ。こちらの主人公は、心拍数が上がると時間を遡ってしまう“病”らしい。そんな病気あるもんかっ、と言いたいがどうやら遺伝らしいし、そこ否定したらこのドラマは成立しない。結婚記念日に最愛の奥さんがビルから転落死、その悲しみがトリガーとなり時間が戻って奥さんを守ろうとするも、結局また同じ死に方をしてしまう。しかもそれが事故ではなく殺されたということがわかり、その犯人を見つけ奥さんを守るために再度タイムリープする、というお話。タイムリープする度に徐々に歪みが出て元とは違う流れになってしまうってんだから、もうどうしようもないよ。出てくる人たちがなんだか皆怪しくて、不穏な表情のショットが入る。もしかして奥さんは職場で嫌われてたんじゃないかと思わず思ってしまう。主人公の探偵ぶりが下手くそすぎて、「それ言っちゃダメ」「それやっちゃダメ」なことを次々やっちゃうのがちょっとストレスだけど、やっぱり犯人が気になって最後まで見ちゃいそう。こういう場合は一番怪しくない人が犯人てのが定説だけどね。

●NHK✖️宗教


昨年の秋に放送された宗教2世をテーマにしたドラマ『神の子はつぶやく』、田中麗奈さん演じる母親が新興宗教に傾倒しそれに巻き込まれた家族の物語でした。岸田奈美さんのエッセイのドラマで岸田さんの役を演じた河合優実さんが苦悩する2世役を好演されました。河合さんは今期、『不適切にも‥』で阿部さんの娘役、めちゃくちゃヤンキーが似合います。褒めてます。家族のためにと始めた信仰が家族を苦しめてしまうのはやり切れないですが、2世本人たちに選択の余地がないことが問題なんだろうな、と感じたわけです。
そしてまたも宗教関連のドラマ『仮想儀礼』。こちらはインチキ宗教のお話なんです。教団を立ち上げたのが、青柳翔さんと大東俊介さん。このキャスティング、めっちゃ良いんです。特に大東俊介さん、この人って、なんでこう、いつもいつも軽薄な役ばっかりなんでしょうか。ホントの彼もそういうやつなのかな、こいつほんと信用できないわ、って本気で思っちゃうくらいに、見るたびに今度は誰を苦しめるんかい?って思ってしまうほどにそういう役が似合うんです。でも最近気付きました。私、大東俊介のこと、ちょっと好きかもって。それぐらいに、彼はいつも役にハマるのです。ハマるからホンモノかニセモノかわからなくなってたんですね。
青木さんの教祖も、良いんです。ちょっとセクシーだし、言ってることは普通だけどその普通っぽさが逆に良いっていうか。教団がどんどん大きくなってちょっと勘違いしちゃったり、でも根がマジメだからこれで良いのか?と葛藤とかしちゃうんですね。でももう、やめたくてもやめられないんですよ。本気の信者さんたちもいますし、何より儲かってしまってるんで。ドラマは既に終盤ですが、どういう幕引きが待っているのか?見たいような見たくないような、そんなドラマです。原作は小説。音楽も、インチキくさい感じがして、とても良いです。オープニングの津田健次郎さんのナレーション、やっぱり良いお声です。合掌。

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