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一日遅れのひな祭り記事〜ひな祭りの日は長女の結婚記念日


2年前のひな祭りの日、長女夫婦は入籍した。その日はちょうど休日で、私はカメラマンとして同行した。何故カメラマンが必要なのかはよくわからなかったけど、言われるがまま市役所で待ち合わせ。


まずは、市役所の前で、はいポーズ。
休日は婚姻届も時間外受付で受け付けてくれる。その市役所の時間外受付は地下にあった。通常の入り口横のコンクリートの階段を下へ下へと下りて行く。本当にここで合ってるの?と言いたくなるような、そこは狭い通路の薄暗い場所だった。土日の時間外受付は込むと聞く。しかしラッキーなことに、その日は誰も待っていなかった。恐る恐る部屋に入ると、おじさんが一人ポツンと座っている。「今日はどのような?」と聞かれ「婚姻届を‥」と答えると、「さあどうぞどうぞ」と椅子をすすめられた。さすがに私の分の椅子はなかった。「お母さん、よかったらこちらへ」と言われたのは、おじさんが座っているカウンターのなかの椅子。いや、それはさすがにちょっと‥

「あ、大丈夫です。私はここに立ってますから」と、長女夫婦が座る後ろに立つ「今日は誰もいなくて良かったですねー普通3月3日は婚姻届を出す人が結構いらっしゃるんですよ」
「え、そうなんですね。おひな祭りの日は人気があるんですね。」

「そうですよ。おひな祭りとか子どもの日とか、あといい夫婦の日とか」「あぁ、11月22日ですか」「そうなんですよ。それが休日に重なると、ここ、休日は一人でやってるもんで、多い時は廊下にズラーっと並ばれて待つんですよ。だから今日はホントに良かったですねー」
そこからも、おじさんのネタというか、多分来る人来る人に向けて毎回喋っているであろうおじさんのトークが炸裂する。おじさんは私たちとお喋りしながらも婚姻届のチェックに余念がない。プロだ。プロの仕事ぶりだ。そうこうするうちに無事にチェック完了。「はい、ではこれで受理させていただきます。おめでとうございます。」

そして、「はい、では次は記念写真。お母さん、出番ですよ。さ、カメラマンさんはこちらへ」と、私は今度こそカウンターの中へ誘導される。「お二人は、婚姻届を持ってそこの壁を背にして立ってください。そう、その市役所のポスターの前ですよ。あぁ、もうちょっと真ん中を空けてポスターが見えるように立ちましょうか」

「はい、ではお母さんの方を向いて、はいチーズ。」

おじさん、慣れたもんである。もう、おじさんの独壇場だ。「はい、おめでとうございます。じゃ、今度はこっちで」とまた、別のアングルを指定される。おじさんの商売口調が可笑しくて、私も長女夫婦も自然と笑顔になる。


あれから早や2年。おじさん、今年のひな祭りの日も忙しかったのかなぁ?

実はひな祭りの日が入籍日ということを私はすっかり忘れていた。前日に長女が「明日はケーキ買ってきて」と旦那さんに頼んでいるのを見て、「なにごと?」と聞いてしまったもんで、「は?結婚記念日ですけど」と言われ、あ‥となる。
ひな祭りらしいご馳走なんて作れないから、我が家は結局鍋料理。そしてそのあと、長女の旦那さんが買ってきてくれたケーキを皆で食べた。ケーキは“結婚記念日仕様”ではなく“おひな祭り仕様”だったけど。



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