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好みなんて十人十色


以前職場にお年頃の女性が2人いた。
一人は30歳の独身。彼女はとにかく可愛い。顔も性格も可愛い。背は意外と高くて160㎝ちょっとあるけど実際より小さく見える。服装もどこかにちょっと女性らしさのある可愛い服をいつも着ている。職場の人は老若男女問わず皆、彼女が大好き。何故なら、彼女はとても聞き上手だからだ。ディズニーが大好きで、ミッキーやミニーをこよなく愛す。お弁当だって毎日自分で作っている。たまに得意のシフォンケーキを焼いてきてくれて、私たちはご相伴に預かる。どこをとっても“お嫁さんにしたいNo.1”。こう見えて実は職場での苦労は多く、ホントは疲れている。でもそれを隠していつもニコニコしてる。


もう一人は彼女よりも若い、23歳。その人は味も素っ気もない人だった。服装は年がら年中同じような白いシャツに黒いボトム(パンツ)、冬はその上にカーディガン。人の話は聞かないし、可愛い物には全く興味がない。愛想も愛嬌も無い。スタイルは良かったけど、髪型はマッシュルームカット。化粧っ気無し。履物を履いたまま、椅子の上に片足だけ上げてあぐらをかく格好でPCをいじる。私はその人がトイレでも履物を履きかえないことを知っていた。(私の職場のトイレは、履物を履きかえる系だ。)職場での苦労など多分無い。自分がやりたいようにやるだけで、上司から注意を受けようとも全く気にしない。我が道を行くだけ。


そんな2人がある日、忘年会のゲームで使う景品を一緒に買いに行く係になった。以下は、30歳の彼女から聞いた話。例えば、彼女がちょっと可愛い花柄のハンカチやポーチを選んでいると、その人は言う。「そんなの、喜ぶ人いるんですか?
自分じゃなかなか買えない、GODIVAのチョコレートを見ていると、「そんな高いの、わざわざ買う人いるんですね。食べたら終わりじゃないですか。」休憩した時に彼女がジャスミンティーを飲んでいると、その人は飲んだことがないというので一口あげたら、「うわ、なんかこれ家にあるわけの分からない液体みたいな味がする」その液体って何やねん?とツッコミたくなる。


で、その人が選んだ景品というのは、
・ピカチュウのお面
・お城のプラモデル
・足の形の氷ができる製氷器‥etc


私はどれも要らない。後日製氷器が当たった人とたまたま話した時、「今年の景品は今までで最低だった」と言っていた。足の形の氷をコップに入れる気にはなれない、と。


そんな2人が目の前にいたら、絶対彼女の方をお嫁さんにしたくなるんじゃないかと思うのだ。ところがだ。お嫁さんになったのは彼女ではなく、その人の方だった。職場で隣の席だった、背の高いイケメンと結婚した。そのお相手のことは、実は彼女も憎からず思っていた。仲が良かったし、それとなく気持ちも伝えていた。私はずっと、彼女とその男性がカップルになれば良いのになぁと、密かに応援していた。それなのに、だ。


男性の方も最初はその人のことをなんとも思ってなかったことを私は本人から聞いて知っている。私は2人と向かい合わせの席だったので、2人の様子をなんとなく見ていた。話は合うようだった。女性のほうは他のことや人には全く関心が無かったが、その男性にだけはいろいろ気遣いを見せていた。はっきり言って、その男性の方(横)しか見てなかった。


私だったら、自分にだけじゃなく周囲にも気を使える人が自分の相手なら誇らしい。でもその人は、その男性以外への気遣いなんてゼロだった。その人は転勤してのち、男性にアタックをかけた。男性は落ちた。何処が良かったのだろう。すごく失礼なことを言っているのは分かっているが言わずにはいられない。私はその男性との付き合いが長いので、わりとなんでも言える。結婚前に、その男性に私は冗談めかして、実は結構本気で言った。「引き返すなら今よ」すると彼は言った。「結婚に、一点の曇りも無い」


そっか、幸せなんだね。だったら良かった。私から見ると全然女らしさもなく愛想も愛嬌もないその人が、彼のことを悲しませていないのなら他人が口を出すことではない。自分のことだけを見ているその人に愛されて、彼は幸せだった。そういうもんなんだね。そりゃそうだね。もし10人の人間がいて、全員が1人のことを好きだったら困るもんね。はぁ‥言いたいことは山ほどあるけど、辞めとく。悪口にしかならないから。(散々書いたけど)



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