突如現れた巨大な‥

私の夏休み、今年は9日間あった。夏休みを“とった”ではなく“あった”と表現したのは、職場自体がお休みになるので、否応なくという意味。

その、夏休み明けのことだ。

職場には車で通勤している。車を置く位置は明確には決められていないが、なんとなく暗黙の了解で、大体いつも同じような位置に同じような人が停めている。なので、たまに工事車両やイベントのために、いつも置いている場所に停められなかったりすると、ちょっと焦る。私が普段車を停めている場所から建物の入り口までは100歩くらいだろうか。それが遠いか近いかは分からないが、雨降りの時に傘無しで走ったら髪の毛がぐっしょり濡れちゃうくらいな距離感。

車を停めて建物の入り口まで歩く間に、植え込みの傍を通る。季節によって桜が咲いたり、紅葉したり、はたまたツツジがものすごい勢いで満開になったりして。中でも私のお気に入りはモクレンだ。白い木とピンクの木があって、どちらも可愛い。そう、私は結構、歩きながら季節の植物を楽しんでいるのだ。だから、何か変わったことがあれば気付くはず。

ここでやっとその、夏休み明けの日のこと。仕事を終えて、車までの道すがらふと、違和感を感じた。ん？なんかいつもと違う何かが目の端を掠めた。脳が直ぐに感知しないというか、あれ？今のは何だ？と、二度見した。するとそこには‥

デ、デカい。しめじかマッシュルームを大きくしたみたいな、丸くてどっしり肉厚なキノコが、たった1本だけ生えていた。一人で「え？マジ？」と思わず呟いた。そのまま通りすぎるにはあまりに美味しそう、いや一人で楽しむにはあまりに可愛いらしい光景だったので、写真を撮った。明日職場の皆に見せてあげようと思った。それにしても、夏休み前にはあんなキノコは生えていなかったはずだ。だとしたら、私が夏休み中の9日の間に生まれて、あそこまで大きく成長したってことだ。

なんということでしょう。

でも調べてみると、キノコの成長はめちゃくちゃ早いらしい。実は私がこのキノコを見つけた数日後に、サウさんことsoundsurferさんがやはりキノコを発見した記事を書かれていた。サウさんのキノコは、数時間で傘が開ききっていた。夏休み中は雨続きでジメジメしていたので、キノコの出現〜成長にもってこいだったのかも知れない。

次の日、職場で皆に写真を見せて、中にはわざわざ写真を撮りに行く人もいた。私が見つけたキノコ、結局種類もわからずじまいだったけど、見つけた2日後に雨が降ったら、カサもじくも真っ黒に変色してしまって、写真を撮るのも憚られるほどのちょっとおどろおどろしい、まるで岩みたいな、残念なビジュアルになってしまった。ちなみにこのキノコ、毒キノコかどうか、ご存知の方いらっしゃいますか？