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諦めずに続けてたら良いことがあった夜


昨夜は大興奮だった。拍手したり雄叫びをあげたり、泣いたり、忙しかった。


これまで私はnoteに300記事以上書いた。その中に1つだけ映画の記事がある。正確には記事は2つあるが、その2つは同じ映画に関しての記事だ。




ミッドナイトスワン。


草彅剛さん主演、哀しくて美しい物語。
そもそも私は、この映画のことを全く知らなかった。草彅くん主演の映画があること、諸事情でテレビの情報番組などで宣伝されていないこと、監督さん自らこの“何の後ろ盾も無い”映画を応援してほしいとSNSで呼びかけていること。私はそのことをある人のnoteで知った。


ご存知のように、SMAPが解散して以来、ジャニーズ事務所を退所した3人は表舞台から消えた。だけど、一方で彼らの才能を認め応援する人たちがいた。『ミッドナイトスワン』の内田英治監督もそんな一人だった。

絶対に『ミッドナイトスワン』をヒットさせたい。ヒットさせて草彅さんにまた一段高いところに行ってほしい。そのためにも宣伝が大事です!

監督の記者会見でのこの言葉に私は感激した。草彅さんのことが特別好きだったわけではない。ただ、需要や才能とは関係ない、右に倣えのテレビ業界にムカついたからだ。
映画公開までにまだ日にちがあったので、私は原作本を買って読んだ。素晴らしい物語だった。その前に何種類もの予告編が公開されており、中でも公開日の9月25日にちなんで“925秒”という長い予告編に釘付けだった。草彅くんの凪沙や、一果ちゃんや、キャストの顔を思い浮かべながら本を読んだ。映画を観に行く前に、こんなに予習をしたのは初めてだった。


そしていよいよ公開された映画は予想通り、いやそれ以上の素晴らしい映画だった。小説ではわからなかった音や、一果のバレエシーンの美しさ。草彅くんは凪沙そのものだった。すごい映画を観た。そう思った。noteに記事も書いた。noterさん以外の沢山の方からもスキをいただいた。キャイ〜ンの天野さんのTwitterの言葉は、そのまま私の気持ちにリンクした。

いい作品は、必ず表に出る。その時間に差異はあったとしても必ずだ。その根拠は、それを見た人の熱量である。ミッドナイトスワンを観賞した人達の文章を読めばそれが分かる。



そして昨夜、それが現実のものとなった。『ミッドナイトスワン』がついに表に出た。日本アカデミー賞の授賞式で、最優秀主演男優賞(草彅剛)と、最優秀作品賞を受賞したのだ。一果ちゃん役の服部樹咲ちゃんも新人賞を受賞した。最優秀主演男優賞で名前を呼ばれた草彅くんは、無の表情だった。まさか自分が、という、受賞スピーチでも本人が語ったようにまさに“頭が真っ白”そんな表情だった。開口一番「マジっすか」彼の心の声が漏れた。


諦めずに続けていたら良いことあるんだなぁ

目にいっぱいの涙をためて語った。テレビに出られなくても、彼は、彼らは自分たちの出来ることを全力でやってきた。身近な人たち、苦しい時にこそ寄り添ってくれた本当の理解者に支えられての何年か。草彅くんの頭の中にはそんな人たちの顔が思い浮かんでいたことだろう。良かった。ホントに良かった。私もこの映画と一緒に駆けていた、そんな気持ちになったのは初めてだった。男優賞の発表の時も、作品賞の発表の時も、「どうかミッドナイトスワンが獲りますように」と手を合わせて祈った。名前が聞こえて「おーー」と叫び、泣いた。そんなことも初めてだった。


日本アカデミー賞、すごい。震災から10年の今年、あの日の福島を題材にした映画がいくつもノミネートされていたにも関わらず、ミッドナイトスワンに作品賞を授けた。ジェンダーを題材にした映画なんて五万とあって既視感しかないという批判もあったし、皆が言うほどどこが良いのか分からないと言ってた人もいた。


でも、どうだ。番組の終わりに、コメンテーターの坂上忍さんがこう言った。「草彅くんは、もしかすると主演男優賞よりも作品賞の方が嬉しいんじゃないか」私もそう思った。『ミッドナイトスワン』が認められてこそ、草彅剛の復活なのだ。草彅剛は、昨夜まさに、一段高いところに行った。


おめでとう。嬉しいです。



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