「いいね」がある日常
私はこだわりが強い人だ。特に持ち物に関してはイメージ通りの物が見つかるまでに時間がかかる。一度、お弁当を入れて行くバッグを探していた時、私があまりにも細かいところにこだわるのでちゃまからは、
「みとんが気にいるような物はこの世に存在しない」
とまで言われ、
「一生使うわけじゃないんだから、また買い替えればいいじゃないか」
と言われて、なるほどと思ったり。
●毎年この時期に探し始めるのが卓上カレンダー。これは、職場のデスク上に置くものだ。毎年「これ!」というものが見つかるまで結構探す。気に入るものが見つかったから、じゃあ来年もそのタイプで良いかーというとそうもいかなくて、何故かというと飽きるからだ。同じタイプ(同じキャラクターのものとか、同じデザイナーさんのものとか)は多少の変更があったとしても全体的な雰囲気は変わらない。それが気に入ったんじゃないの?と言われたらそれはそうなんだけど、人間、いくら気に入っていてもやっぱり飽きるから。で、また探すことになるのだ。
昨年は年末ギリギリになってもうとりあえず適当なところで手を打たなきゃと思ったタイミングで素敵なカレンダーに出会えた。“点と線模様製作所”という壁紙や布のデザインを手がけている会社が製作したカレンダーだ。これがまた私の好みにズバリで、毎月めくるのが楽しみだった。諦めなければ好みの物に出会える。でも、それを何処で買ったか忘れてしまった。ふと、もしかしてネットで買えるのか?と思い立ち探したらすぐに見つかった。同じタイプのものだけど、これは来年も使いたいと思えたので、ポチッとした。
届いた。
来年のやつも可愛かった。
満足した。
いいねー
●近所の商店街に、福祉施設の方たちが経営しているお店がある。そこに通っている方たちが交代でお店番をしているようだ。車で通ることが多くてなかなか寄る機会がなかった。寄れば何か買わずには帰れないだろう雰囲気があって、なんとなく敷居が高く感じていたのもあった。そんなある日、そのお店の近くの広場で子ども向けのイベントがあった。キッチンカーも来るみたいだ。長女一家(もちろんお孫ちゃん含む)やちゃまと散歩がてら歩いて行った。ダンボールで出来た迷路(子ども用)にお孫ちゃんが一人で入って、果たしてゴール出来るのか?と心配していたら、どんどん正しい経路を突き進んであっという間にゴール出来て驚いた。意外な才能がある。
帰り道、件のお店の前を通った。歩いて通りすぎながらお店の様子を伺った。“白バラアイスクリーム”の幟が立っている。白バラといえば、乳製品の会社のブランドで牛乳やヨーグルトが美味しい。せっかくなので買って帰ろうとお店に入ってみた。
「いらっしゃいませ!」
と大きな声で迎えられた。
「こんにちは」と応えてアイスクリームのケースに向かう。ソフトクリームタイプのものを3つ購入した。ちゃまと、私と、長女一家に一つ。長女一家は3人で一つで良いというので、そうなった。
アイスクリームを3つ持ってレジに行くと、すぐに
「ありがとうございます。540円です」
と言われた。あまりに計算が早くて驚いた。600円渡すと、それをレジに入れた人がすぐにおつりを出し、それを受け取った人が私に
「おつりです」と、渡してくれる。
得意なことを、得意な人がやる、分業制のようだ。感心していると、購入したアイスクリームを袋に入れて手渡してくれた。それを見て私は思わず
「わぁ、すごい!可愛い!」と感嘆した。
新聞紙で作った手提げ袋。その大きさといい、そのデザインといい、その持ち手の工夫された感じといい、全てにおいて感嘆に値するまさに、エコバッグだった。
すごく可愛いと思った。
感心した。
満足した。
いいねー
●『公民館祭』、公民館での学習成果を発表するイベントだ。絵画や書道、カラオケやダンス。公民館が主催する教室は幅広い。
その日は公民館の役員がおうどんを売る。私は今年、そのおうどんを売る部署の役員になっている。前日の準備から当日のうどんの提供、私が所属する部署の、一年で一番忙しいのがそのイベントだ。おうどんは地元のおうどん屋さんが作っている、いわば既製品。スーパーなどでも売っている。ひと玉80円くらいする、美味しいおうどんだ。そこにネギ、ワカメ、かまぼこ、天かすを入れて200円で売る。400食売る。
そしておつゆ。とにかくビックリするほど、出しにはこだわっている。毎年同じレシピで作っているらしい。いりこ、昆布、かつお節、全て使う。前日はいりこの頭と内臓をひたすら取った。10袋くらいあったと思う。
ネギを切る人はひたすらネギを切った。
かまぼこは、一枚を25枚に切り分けるという技が必要で、おうどん屋さんの奥さん(がたまたま役員だったので)に白羽の矢が立った。ひたすらかまぼこを切っていた。後から見せてもらったら、それはそれは上手に切ってあった。
当日は朝8時半に集合して、まずはおつゆを完成させた。いりこと昆布から出した一番だし、そのいりことかつお節でとった二番だしの2種類を同量入れ、お水とみりんと混合調味料(めんつゆみたいなやつ)を併せて火にかける。調理室がお出しの良い香りに包まれた。
当日の私の持ち場は、お持ち帰り用のセットを作りおきする係。やるべきことは、
・アルミカップに入れた薬味(ネギ、かまぼこ、ワカメ、天かす)をラップで包む
・冷ましたおつゆ玉杓子一杯をビニール袋に入れ口を結ぶ
・薬味、おうどん一玉、おつゆを丼のカップに入れる
・手提げ用のビニール袋に入れる
全部で100セット作った。作りおきが無くならないよう、でも作りすぎて余らないよう、様子を見ながらセットしていく。お持ち帰りはいっぺんに何個も買う人がいたりして、急に在庫が減ってドキドキしながら、それでも最後はたった1セット余ってそれは私が購入した。とても上手くいったと思う。
その、お持ち帰り用のビニール袋の、持ち手のところを先輩役員さんがクルクルと捻って出していた。
たったそれだけのことで、なんとなく“お持ち帰り”が立派な、ちゃんとした“お持ち帰り”に見える気がした。私も真似てみた。レジュメにわざわざ書くほどのことではないのだろうけど、良い事は受け継いでいきたいと思った。
「これだけのことで、なんか立派に見えるね」
と言うと、一緒に係をしていた人も
「ホントだね」
と言って、2人で持ち手をクルクルした。
丁寧な仕事ぶりに見えた。
勉強になった。
満足した。
いいねー