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もう若くないと思ってる女性たちへの賛歌

先週から始まった、大人の土ドラ『その女、ジルバ』。簡単なあらすじと予告編を見て、興味をそそられた。原作は手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞したコミック。

主人公・新(あらた)の40歳の誕生日の朝から物語が始まる。何も良い事がない、お金もない、楽しみもない、40歳という、今の時代なら世間的に見ればまだまだこれからという時だが、新には自分磨きも、夢も、恋愛も、遠い過去だ。このまま一人淋しく人生が終わってしまうんじゃないか、そんなことまで考えてしまう。そんな彼女が、ひょんなことから熟女BARで働くことになる。『ホステス募集 40歳以上』40歳の誕生日の日に出会った張り紙。

何かしないと。今ここで新しい何かしないと、私は私の人生を嫌いになっちゃう

よしっ、と気合いを入れてBARの扉を開いた。

先輩ホステスの熟女たち、そしてそこにやって来るお客さんたちがとにかく前向きで温かい。40歳の新は、外では「おばさん」呼ばわりされているが、このお店では一番若い。熟女たちからは「お肌ツルツル」「髪の毛ふさふさ」「シラウオのような手」などと羨ましがられ、お客さんたちからは「お嬢ちゃん」「キャピキャピ娘」「ちょっとピチピチしすぎだよね」とまで言われ、もちろんからかわれているのだとわかる、分かっちゃいるが、つい顔がほころんでしまう。ものすごく、分かる。“若い”、“可愛い”は私にとっても最も言われたいワードだから。熟女好きのお客さんから「早く立派な熟女になってくださいね」って言われたり、「ピチピチしてる場合じゃないよ」って言われたり。セリフが楽しすぎる。

幸せすぎて怖くて。外じゃお金払ってもこんなこと言ってもらえませんから

だよね。(ホストクラブならお金払ったら言ってもらえるかもだけど。)物語は、熟女BARで働き成長し、生きる喜びを見つけていく新の姿を描いていくのだろう。
先輩ホステスさんたちのセリフもいちいち楽しくて、もう若くない私たち世代の心に響く。

女は常に意表を突くものよ
女なんて化けてなんぼ
早くから女捨てちゃダメでしょ。捨てていいのは“操”と“過去”だけよ

お店の営業が終わり、片付けをしていた時、先輩ホステスらがその日が新の誕生日だと気づき、お祝いに「ハッピーバースデー」を皆で歌ってくれる。歌を聞きながら号泣する新、そのシーンを見ながら私ももらい泣きしてしまった。誰からも祝ってもらえなかった40歳の誕生日、多分39歳の誕生日も、その前からずっと。数時間前までは、誕生日に誰かからおめでとうと言われるなんて、この先そんな日がくるなんて思ってもいなかったはずだ。

朝起きたら、もう40になっちゃってて、もう何もかもうまくいかなくて。私の人生もうこれでおしまいかなって。でも、こんな素敵な誕生日、生まれて…生まれて初めてで…

「このままだと私は私の人生を嫌いになっちゃう」と言っていた新だったが、どうやら嫌いにならずにすみそうだ。そして私もこのドラマを見ながら、人生まだまだこれからだって、諦めるなって、背中を押されてみようと思う。

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