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[小説]陽光が月肌を撫でる。

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ショートショートショートです。 大学生のお話
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2021年3月の記事一覧

[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (3)

[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (3)

 会場前に着くと、そこにはたくさんの人がいた。こんなにたくさんの人がバレエに興味があるのかと思うと、僕は不思議に感じた。

 チケットであるスマートフォンに表示されたQRコードを係の人に提示して、入場した。パンフレットを2枚受け取り、差し入れを係の人に渡すため、また別の列に並んだ。たくさんの人が並んでいて、意外と時間がかかった。

 僕らの番になると、係の人は付箋を僕に渡してきて、渡したい人の名前

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[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (2)

[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (2)

 当日、LINEに「ちょっと早めについちゃったから、先にカフェ入ってます。気にせずゆっくりきてください」とメッセージが届いていた。

普通、男の方が早く着くべきなのでは?と感じずにはいられなかったが、もう10分前に着くことになる電車で体を揺られている。時すでに遅し。まさか、女の子が1時間も早くついてるなんて、いくら何でも早すぎないか⁉︎

「ごめん、もう少しかかります」と返信し、引き続き薄汚れたビ

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[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (1)

[小説] 陽光が月肌を撫でる。 (1)

  女の子にバレエを見に行こうと誘われた。僕はバレエになんか興味はなかったし、そもそも、芸術に関して興味があったわけでもなかった。

大方予想すると、僕はバレエを見ているうちに段々と眠くなって、気づいたらもう終わってるみたいなことになると思った。

僕は今までにコンサートみたいなものに、何回か行ったことがあったと思う。

  最初は、”しまじろう”のコンサート。ほとんど何も覚えていない。振り返るに

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