腐らずにいられる条件
死を迎えたその瞬間から、腐敗がはじまる。
何それ、当たり前じゃないの。そう思われただろうか。
しかし、考えてみれば不思議なものではないか。結局のところ、腐敗をもたらす要素はすでに常に私の内側に備わっているのだ。それにもかかわらず、私の身体は腐らない。
腐らないための条件、それは変化し続けているということだ。
身体を組成する細胞ひとつひとつは、分子レベルでの代謝により、数ヶ月も経てばすっかり入れ替わっている。一瞬たりとて、細胞は変化を止めることはない。その変化が止まるとき、それが生命活動の停止、すなわち死である。
感性の次元でも、同じことが言えるのではないか。栄養をたえず摂取し、変化し続けなければ、腐敗の進行を抑えることはできない。
その意味で、人間は、生きながらにして死ぬことさえあり得るのかもしれない。
(2018年1月3日 筆)
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