見出し画像

コロナメモ

昨夜、39県で緊急事態宣言が解除され、山口県でも今日から新たな日常がスタートした。全然心は落ち着かないけども、底なしだと思っていた泥沼の底に足がつき、もう一度踏ん張ればこの泥沼から這い上がっていけそうな希望が見えてきた。

おそらく数十年に一度の危機(であろう)の最中に感じたことを忘れないようにメモしておこうと、一年ぶりにnoteを開いて書いてみた。

とりとめもない話です。

ショック時に毎回浮き彫りになる自分のビジネスモデル

今回のコロナショックにより自分の商売の仕組みの欠点が完全に浮き彫りとなった。正確にいうと分かってはいたんだけど現実を突きつけられたといったところ。

継業した20年近く前、光浦醸造では9割以上が飲食店や病院お弁当屋さんといった業務用取引で一般向けアイテムはほとんど持っていなかった。なんとなく危機感を持ってC向けアイテムを作り始めたころ、あのリーマンショックが起きた。
大口の業務用を数件失い、B2Bがメインではこういう時に厳しいという教訓を得て、この10年間、C向けアイテムを作り続けてきた。その結果、今は8割以上がC向けアイテムでの売り上げとなり、会社は一変した。

今回のコロナショックでまず取引が止まったのは飲食店関係。

リーマンショックの反省を踏まえて地元飲食店や仕出し屋さんへの依存率をぐっと下げていたので正直あまり影響はなく、B2BからB2Cに移行してきて良かったと思っていたが、それも束の間、緊急事態宣言とともに小売用商品の発注がピタッと止まったのだ。

スーパーやドラッグストア向けのアイテムだったら違っていたのかもしれないけど、メイン取引である都市圏の雑貨屋さんなどのお店が軒並み休業、休業、休業。。。母の日向けに全国のお取引さま店舗が企画してくれていた受注がこない。来るわけがない。
大量の在庫の山、休業してくれない賞味期限。やばい。

結局のところ、ダイレクトなB2CではなくB2B2Cであり、つまりはやっぱりB向けだったのだ。出口はCなのに取引先は相変わらずBだった。安定して大量に、かつブランド力も損なわずに販売してくれる優良な販売店の皆さんへの依存度が高く、実のところ「自力」はあまり付いていなかった。

強がりではなく、以前からそのリスクは頭では分かっていたし今後注力すべき部分だよねと社内でも話し合ってはいたんだけども、コロナショックにより完全に浮き彫りとなった。

直接のC向け販売といえば実店舗販売かイベント販売かECなんだけど、実店舗は田舎で平日しか開けてないし(現在閉店中・5/15時点)、イベントもしばらくは厳しい状況が続くだろうし、やっぱりECしかない。
今まで「売ること」にあまり注力はしていなかった自社オンラインショップを、本気で「売れるサイト」にしていかないといけなくなってしまった。
ECは今までもある程度はやってきてはいたので、これまでの経験によって得た「こうすればいいんじゃないの説」は数多く持ち合わせているつもりだし、自分でWEBサイトを作ったり運営する技術はあるんだから、スピード感を持ってどんどんPDCAを回してギアを上げていくしかない。早速、送料を安くしたり新しい企画を始めたりと、チャレンジを重ねているんだけど、「もっと早くやれば良かった。」というセリフが常に頭を駆け回る。

いつもいろんな人に「人と同じことしてちゃダメなんだ」と言っておきながら、今回のコロナショックで全員が気付き、全員が始めた「ECに力を入れる」ことを今更一生懸命やっているのが本当に情けなく、下唇に歯型が付きそうな毎日だ。

完全にレイトマジョリティーではあるけども、メーカーにおけるECや、飲食店におけるテイクアウトなど、今後数十年と普遍的な販売方法の一つになるのは間違いないようなことは、今笑われても何しても力をつけていくしかない。

次のショックで気がついたらもう終わりだ。


今はレバレッジが効いている時期

今みたいな時、目の前の嵐にひたすら抗いあらゆる手を尽くしてチャレンジしていく方法と、座して嵐が過ぎ去るのをじっと待つ方法の二つの選択肢があると思う。

飲食店においても、お客さんが来なくなって今まで一切やっていなかったテイクアウトを経験値ゼロ・資材ゼロから取り組んだ経営者もいれば、すぐに店舗を閉めてスタッフを完全休業させ、国の支援策を最大限に利用しようとする経営者もいる。

あれやこれやと色々と手を尽くして苦労した上にコストも重なった結果、何もせずにジッとして政策をフル活用した人が後でガハハと笑うことになるかもしれない。

とはいえ、その二つの選択肢のどちらも共通して消費するのは「時間」だ。

人生において誰もが平等に減っていくものが時間であって、その限られた時間の中において、何もしないよりは何かをしたほうが経験値という資産を築くことになるのは間違いない。ましてや今みたいな緊張感の中チャレンジすることによって得られる経験値は、ビフォーコロナの数倍のレバレッジが効いている(と思う)。

「今、成長しなくてもいいから危険は犯したくない」という選択肢でも一時的には勝てるかもしれない。
だけど、今必死にチャレンジしている人はきっと強くなるし、その人たちは今回大コケしても、このレバレッジを効かせた経験値を元にものすごいスピードで追いつき、追い越していくに違いない。
今何もチャレンジしないという選択肢は相対的に考えればリスクなのだ。

まだまだレバレッジタイムは続いている。チャレンジ一択。


田舎は常に自粛中なのかも

新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた2月頃、ぼくは大日本市やらroomsやらといった展示会や、新宿伊勢丹でのポップアップやらで東京にずっといた。
もちろんすでに警戒状態ではあったのだけども、まだまだ蜜だったし、新宿伊勢丹のスタッフの方の「こんなにお客様が少ないのは震災以来だ」っていう言葉があまりピンとこないほどローカル住まいのぼくにとっては人が多かったしお客様の購買意欲もすごかった。
また、テレビで見る緊急事態宣言中の東京の郊外の混雑振りは自粛とは程遠く、ぼくらからすると年に一度のお祭り状態。

一方で、山口に戻ってみると安定的に人がいない。人が歩いていない。密になっていない。それが自粛中だからなのか、いつも通りなのかは判断に悩む。

そんな自粛生活が数週間過ぎ、昨日、散歩しているときにふと思った。

もしかして田舎の人たちって、昔からずっと自粛してるんじゃないか?と。

それはコロナ自粛ではなくて、ただ恒久的に「これでいい」という精神で自粛している人たちの集まりなんじゃないのかということ。
「これがいい」欲が集まって出来上がったのが都会なのであって、「これでいい」という人たちが残っているのがローカルの構造なのだろう。

「これがいい」ではなく「これでいい」という無印良品の精神を、ローカルの人たちは基本的に持っているんだろうな。そう考えると、田舎はカッコイイ。

今回のコロナショックで都会に嫌気がさした人も多いと思うけれど、だからと言って実際に田舎に移住する人は少ないだろう。

「これでいい」(自粛)を実践するのは大変なのだから。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?