見出し画像

横断的エンジニアリング組織のマネジメントあれこれ

ヨシミツダです。
普段はスタートアップでHRBPしてます。

今日は横断的な組織マネジメントを考えているときに気がついたことについて紹介したいと思います。

きっかけはEMの仕事

こんなことを考えはじめたきっかけはEM(エンジニアリング マネージャー)の仕事です。

EMの仕事は、その範囲が広く人事・技術・プロジェクトマネジメント・組織開発(カルチャーコーディング)と多岐に渡ります。
メンバーは、EMと肩書きがつく人達に、これらの多様な職務を期待するものの、実際にはこれらの業務に関して、各EMは得意領域があるが全てはできないのではというのが、現実的な感想です。

技術的なことに関してはCTO、エンジニアの組織マネジメントに関してはVPoEが責任をとるという形で運営されている会社が多いと思いますが、自身の経験からも、このような役職の区分けだけでは不十分なのではないかと感じていました。

これらの課題に対してCTO室という機能を作り、直下に技術広報や、情報セキュリティ、QA、エンジニア組織マネジメントの機能を持たせたりする組織体制で対応している会社さんもありますが、CTOの負荷が高くなりすぎたり、人事領域などHR部門との連携に対しては不十分なケースもあるのではないかと思います。

Engineering office

このような課題に対して、最近注目されているのがEngineering officeというチームの形態ではないかと思います。

なんといってもメルカリさんの取り組みが先駆的だと思います。エンジニアリング組織の強化に主眼を置いて、「すべてのエンジニアに最高の従業員体験を提供する」ことをミッションに活動しているチームです。

すなわち、最高の従業員体験を提供することができれば、それはお客様に提供する価値にも繋がっていくという考えが根底にあります。Engineering Office => Environment => Engineers => Product => Customers

Engineer Journey Story for Engineersというジャーニーストーリーを作り、この中でどのような従業員体験(Employee Experience(EX))を提供したいのかということが示されており、各活動の指針になっています。

このようにメルカリさんのEngineering Officeチームは、エンジニアリング組織にいながらも、プロダクト開発を主たる目的として持たず、エンジニア組織の強化をひたすらに進めているチームです。

具体的には、下記の6つの領域に区切って活動しているそうです。

  • Developer PR

  • Hiring

  • On-boarding

  • Career Development

  • Calture and Engagement

  • Data & Mechanism

最後のData & Mechanismは評価制度や昇進フローの設計、Knowlege baseの構築などが含まれます。

Engineering officeについては、あまり文献もなく、組織ごとに課題や、役割も変わるので一意的な役割を定義することは難しいと思われます。
それでもEngineering officeって何なのかと疑問をもたれる方へ回答するために、Eo actuallyというドキュメントで言語化されています。(素晴らしい!)

まさに、このメルカリさんでの取り組みを参考にして、エンジニアリング組織の構成を変えている事例もお見かけします。

ちょっと記事は古いですが、アカツキさんではEMの役割をなくして、Engineering officeの機能を導入した事例なども紹介されてます。

この記事で紹介されているようにテックリードを分野ごとに置いて、評価や技術の方向性を権限委譲していくことには賛成です。

EMの方でも、テック領域で常に第一線で居続けられる方は本当に尊敬しますが、多様な問題に取り組むEMの方には自分の投下時間がテック能力の向上に十分に投下できないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。強い組織を作るためには、そういった点も考慮して、どんな役割を配置していくのかもポイントだと思ってます。

従来の横断的機能は、活動の頻度も高くなく情報交換的な要素が強い印象がありましたが、Engineering officeのような専門のチームを組織して、開発組織を強化する動きは今後さらに発展していきそうな気がしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?