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島那三月
2018年5月27日 04:53
その日、わたしはいつもより早めに家を出た。 十一月下旬の朝六時、ブレザー越しでも伝わる寒さに身を縮こまらせながら歩く。青白い帯の掛かった空を見上げると、夜明けはまだ少し遠いのだと実感する。きちんとした朝を迎えないまま外を歩くのは初めてかもしれない。纏う空気がどこか違う。わたしは朝練習がある部活には所属していないから、こんな早い時間に家を出ることは本来ない。 つい気持ちが前を行く。 冷たい風