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【意志あるところに道はある】ケイイチ ちゃり旅20年の道のりVol.28 3つの0から始める挑戦⑤


600万円の資金集めに、ケイイチは少しどんよりしていた。

金額が途方もない。

手品で稼げる額じゃない。

支援を募っても、誰が支援してくれるのか。

どのくらいの額が集まるのか。

全くの未知数なのだ。

もちろん、1円も集まらない可能性だってある。


ケイイチは他のエベレスト登山を組織している会社にも話を聞きに行くことにした。

エベレスト登頂名簿というものがあってどこの会社に所属して登頂したのかがわかるようになっていた。

いくつかの会社に直接伺って料金を確認したら、1箇所250,00米ドル(日本円で270万円ぐらい)という会社があった。

最初に伺った600万円の会社は日本人向けだった。

保証がしっかりしているし、サービスも充実している。

270万円のところは、スタッフ全員がネパール人のようだ。

ネパール人が考えるサービスとクオリティという事になる。

それでも、資金繰りのことを考えたら、贅沢は言えなかった。


270万円。

いずれにしても大きな金額だ。

とにかくやれることは全部やろうと思い、新聞への掲載依頼、ホームページに宣伝、そして、日本にいる知り合いにメールをする覚悟を決めた。

本当は友人や知り合いに頼るのは嫌だったけど、やるしかない。

30人の候補リストを作り、10万円ずつの支援金をお願いするメール文章を作る。

送信ボタンを押すのに、とても勇気が必要だった。

遠く離れた場所から、お金の無心をする。

心苦しさしかなかった。

呼吸を整えて、一人一人に心を込めてメールを送る。

送った後にも、嫌な心苦しさが残った。

返信をくれたけど支援はできないという人には、謝罪のメールで返信した。

でも、返信をもらえないと、それもできなかった。

その数だけ、友達を失ったことになる。

この時の苦しい想いは、いまだにケイイチの中にある。

それでも、支援できる、という声も届いた。

ありがたい。

本当にありがたい。

何度も何度もしつこいぐらいにお礼を伝える。

半分ぐらい出せるという人や、50万ぐらい出すよという人もいて、目標の額を集めることができた。

最終的には、集まり過ぎたのでお断りをするぐらいにまでなった。

これで資金はまとまった。

ネパールに入国して3ヶ月になろうとしていた。

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滞在ビザの関係で一度ネパールを出なくてはならない。

戻ってこれるのは、2ヶ月後。

トレーニングもしたい。

ケイイチは、もう一度インドに入り、2ヶ月の間、インド北部を周って時間を稼ぎながら体力づくりをすることにした。


その間もずっと人力で移動することに拘った。

移動手段はもちろん自転車である。

滞在していたカトマンズを出てインドに入国し、ヒンドゥー教の聖地ベナレスに戻る。

アーグラーでタージマハールに寄って、ニューデリーに移動してインド門へ。

この間、たくさんの旅人にあって、一緒に自転車で走った。

それぞれの旅の話を聞いたり、エベレストの話をしたり、楽しい時間を共有できた。

中には2、3日しか持たない人もいたけど、それも良い経験になった。

再入国までの時間が無駄にならずに、良い感じでトレーニングもできた。


2005年1月4日、ネパールに再々入国。

いよいよ、エベレストへの挑戦が始まる。

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