Seventeen's Summer 17歳の最終楽章Ⅱ 第11話
「僕も悪いから、ケンシを怒らないでください」
お母さんに頭下げた。
「あんたたちどこまで仲がいいのよ、じゃあお母さんも悪かったわ、これでいいねケンシ」
ケンシは雑誌に目を落としたまま何も答えなかった。
白い光が窓から店内に差し込んでいる。窓から見えるのは青い空だけだ。海はきっと快適だろう。
ケンシの周りだけが、暗く澱んで見えた。
ケンシのお母さんが熱海サンビーチまで送ってくれた。ユウキが助手席に、ケンシが後部座席に座った。助手席に座るのをケンシが嫌がったからだ。
「いい天気ねー、あんまりはしゃぎすぎてけがなんかしないでよ」
「はい、大丈夫ですよ、もう高校生なんだから」
「ああ、そうだったわね。もう高校2年か。あっという間に大人になるんだろうなあ」
ハンドルを握る姿が楽しそうだ。楽しく話す女性は素敵だ、とユウキは思っている。ずっと話を聞いていても飽きない。たのもしいし、悲しんでいる目を見ることもない。それが一番の救いだ。女性が悲しそうにしているのは耐えられない。力のある女性を見ていたいと思う。そのパワーが自分にも伝わってくる。会った瞬間からさっき起きたことなんかをずっと話されたら、うれしさで溶けそうになる。
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