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感動したもの。感想や書評みたいなもの。

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タイトルの通りです。何かに心が動いたときに、抑えきれなくなって書くもの。
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記事一覧

ラノベ作家を諦めて10年、ある小説を読んで思ったこと

Netflixで映像化もされたSF小説『三体』を読んだ。 ここ十年で読んだ小説の中でも、間違いなく最高の読書体験だった。 このNoteを有料にしているのは、自分の恥ずべき過去の吐露になると同時に、自分と同じ立場にあると思われる一定の人々にとっても流れ弾を当てる内容となるため。 では、以下から。 作家を諦めて正解だった。

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『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』感想

面白かった。 初見も想定しつつ90分に収めるため「練習での伏線と試合での回収」という、ハイキューの見所がだいぶ削られているようには思ったが、それとは別に本作ならではの演出が付加価値をつけていて「これもまた素晴らしい」という感想。 アニメシリーズを追いかけている人が、あまり時間を空けず連続して見ると想定すると、前者の見所さえも保持されているかもしれない。 しかし、影山が日向を見つめる「最強の味方・2」の描写がだいぶ短縮されていたのは正直残念だった。音駒戦で一番好きな部分なの

「ray」に初音ミクが起用された理由を、その歌詞の意味とミュージックビデオから考察する

まず、大前提となる、「ray」の歌詞の意味を読み解く初音ミクの起用について触れる前に、「ray」の歌詞でそもそも語られていくことを一つずつ解釈していきます。これは考察というよりも、単純に日本語を読み解いて、何が起こっているかを把握する段階です。 歌詞は適宜引用しますが、全文を見たい方はこちらなどでどうぞ。 ray = "光"は後ろから差している まず第一の重要ポイント。 「光」と聞くと、前から自分を照らしていたり、将来を明るく照らしていたりという情景を直感的に思い浮かべ

「ウマ娘」第5章「scenery」感想【サイレンススズカへの祝福】

※ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」のメインストーリー第5章「scenery」のネタバレを壮大に含んでいるので、ご注意ください。 まず、演出がいい1枚目、スズカがラストスパートに入るところの演出。 2枚目、言いしれない不安とともに走るレースシーンでの、他のウマ娘が見えない演出。 その他にも様々、素敵な演出がありました。個人的には第1話でスズカの登場シーンや勝利シーンでさりげなく流れているサイレンススズカのキャラクターソング「Silent Star」のオケバージョンがとっ

この感動的なクエストの存在を知ってなお、ブレスオブザワイルドを未プレイでいられるんか?

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を、なぜ僕らは神ゲーと認識してしまうのか、その仮説を思いついたため、考察記事にします。 また、ブレスオブザワイルドについて「神、神」と称える数多のレビューを見てきてなお、まだこのゲームをプレイしていないあなた! 僕からはこの記事の内容をお伝えすることで、あなたに改めてブレスオブザワイルドのプレイを説得します。(この記事で取り上げる内容、ネットであんまり話題にならない気がするので、知らない人もいそうだし) ノスタルジーさえ感じさせ

中1の時にたまたま理想的な射ができて 以来ずっと同じ動きをしてるだけ

弓の名手であるヒロインの言葉。「中る」は「あたる」と読む。 これ自体は、『かぐや様は告らせたい』のメインストーリーとは大きく係らない、「ヒロインの超越性」を示すためのセリフだけど、読んでいて「あ、そうだよな…」と思った。 もしかしたら、「成功体験」と近い言葉なのかもしれない。 言語化できない。だが反復可能であるとにかく数を射つ。 どれかが当たる。 当たった感覚を繰り返す。 僕はバスケットボールの経験があるのですが、最も基本といえるレイアップシュートは、身についた時、ま

「目標が遠いことは悪いことじゃない」【『僕だけがいない街』名言】

三部けいによるタイムループ系サスペンスの名作、『僕だけがいない街』から、主人公の親友の父親の名言。 あえて印象的な「目標が遠い事は悪い事じゃない」をタイトル&太字にしましたが、この一連の説教の中で刺さるのはむしろその前段階のところ。 この2つかなと思います。 「覚悟」を決めることには何の意味もない以前、下記のような記事を投稿しています。 ここでも、これをおなじような名言を紹介しています。 「覚悟」を決める 「決意を新たにする」 というのはどちらもそれだけでは無意味で

「失敗は糧となるよう心掛けた」【『僕だけがいない街』名言】

三部けいによるループ系サスペンスの名作、『僕だけがいない街』より、犯人の名言。 ※犯人と書いたことがネタバレにはなっていないのでご安心を! 「正しい努力」が最近のブームらしいどんなことも試行回数を重ねていけば成長するし、失敗の数だけ何事も上手になっていくというのは間違ってはいないと思う。 一方で最近は、「頭を使わずにする努力は意味ない」みたいなこともよく聞くようになりました。 これらはまぁ正しいことだし、「頭を使う」というのは絶対に必要なことだと思います。 ただ、「

スラムダンクをスラムダンクたらしめているのは、安西先生にほかならない【『スラムダンク』感想】

第一印象:不良漫画20年前から履修漏れしていた「スラムダンク」を、先日ついに読了しました。 第一印象は「不良漫画」でした。まぁこれは仕方ない。 もちろん、読み勧めていくにつれて「めちゃくちゃ熱いスポーツマンガ」に変わっていったのだけれど、その中でキーパーソンになっているのは間違いなく安西先生だなと思いました。 安西先生が『スラムダンク』を「いい感じのスポーツマンガ」に留めなかった 名作決定の瞬間 まずは三井のセリフですよね。 ページを捲った瞬間に訪れる「バスケがした

「コンテンツ沼の深度」について、4分類してみた

コンテンツ沼に、どれだけ潜るかアニメ・ゲーム・漫画・映画・小説・音楽…などなどと、どんなコンテンツでも、「このコンテンツにはものすごくハマった!」だとか「このコンテンツはまぁまぁハマった」「これは教養程度」に潜っただけ、など、 何にどこまでハマったかは、人それぞれ色々と程度があると思うんです。 で、どこまで潜るかは、そのコンテンツにどれだけ夢中になったかと比例するわけですが、僕がこのサイトでよく取り上げる「考察」として、どんな深度を目指すかということを自分で理解してみよう

イメージするものは常に最強の自分だ

西脇だっとによるFate/stay nightのコミカライズ12巻から、アーチャーの言葉。 ここまでの長文引用は、特異です。 今回の名言紹介は、他のページのものとは別種のものであって、僕がこの言葉に感じた"圧"のようなものは、ここに引用した全文の積み重ねで構成されているように感じています。 力ある言葉の連鎖で生まれる「メッセージの"圧"」それは呪文世の名言と言われる言葉のおおよそは、その含蓄や洞察の深さ・巧みさによって「名言」と言われることが多く、一文を引用すれば「名言紹

自分で自分をメンテナンスできる人間しか、どのみち先へは進めなくなるんだよ

3月のライオンの名言は、時折Twitterで話題になりますね。僕は電子書籍で単行本を追いかけていますが、優しい言葉も力強い言葉もあり、エモーショナルな漫画が好きなひとにはしっとりとおすすめしたいコンテンツです。そんな3月のライオンからの引用は、これからもこのサイトで紹介することがあるのではないかと思います。 そんな、名言の宝庫である3月のライオンの中で、一番最初に取り上げたいと思った。それだけの、なんていうんだろう…心を動かす厳しい何かが、この言葉にはありませんか? とく

踏み出す一歩目は小さくていい

NHKの神アニメ『電脳コイル』は、オープニング、エンディングともに池田綾子が歌う神曲を採用しています。神本編を神OPと神EDで挟む神のサンドイッチ構成となっているわけです。OPの「プリズム」の神曲加減もさることながら、EDは「空の欠片」はひときわ群を抜いています。 冒頭に引用した歌詞は、「空の欠片」の1番サビ、2番サビのあと、大サビの前、いわゆるCメロという部分で流れる儚げなフレーズですが、この歌詞、とても素晴らしくないですか? いえ、もしかしたら僕はメロディありきで聞い

運命の相手に、するの

実は、これを見たとき、ちょうど自分に「結婚」という選択肢が現実に迫ってきていて、しかも、本当に結婚するかどうかに迷っていたため、グサグサきました。(しかも、実際に結婚はしなかったんですよね) 恋人のうちは楽しいことだらけでいい。でも、結婚になった途端に、相手とたくさんの困難を乗り越えなきゃいけないし、その過程で相手と自分の考えの違いが絶対に出てくる。 これまで一緒に過ごしてきたどんな親友よりも、近い距離で長い時間を過ごすことになる相手に対し、そんな不満を抱いたときに、結婚