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『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』感想

面白かった。

初見も想定しつつ90分に収めるため「練習での伏線と試合での回収」という、ハイキューの見所がだいぶ削られているようには思ったが、それとは別に本作ならではの演出が付加価値をつけていて「これもまた素晴らしい」という感想。
アニメシリーズを追いかけている人が、あまり時間を空けず連続して見ると想定すると、前者の見所さえも保持されているかもしれない。

しかし、影山が日向を見つめる「最強の味方・2」の描写がだいぶ短縮されていたのは正直残念だった。音駒戦で一番好きな部分なので、もっとわかりやすく、そしてあざとく描写してほしかった。ドンジャンプの演出ももっと、"良い意味で下品"な演出が盛り盛りの映像を期待していた。

一方で、第3セットからの盛り上がりは原作を大きく超えてきた。逆に盛り上げのために、第2セットまでを淡々と描写していたのかもと今になって思った。

ラストは、原作にもあった合宿での練習試合風景が重なる表現が唐突でなくて、自然に受け入れられる組み立てになっていたし、最後のポイントのラリー描写と相互に引き立て合うような演出で、極上の映像だった。

映画を観た後にあらためて原作と比べると、カットされているエピソードが非常に多いのに驚いた。それは活躍キャラを絞って初見の人にも話をわかりやすくしたり、そもそも90分に収めるためだったりするのだろうけど、そう考えると逆に、月島のエピソードがあれだけ時間をかけて丁寧に描写されたことの意味は大きいと思う。

もちろん、月島のエピソードは黒尾との関係性が主軸だからこそ、(例えば西谷の「必ず応える」に比べて)本作の中で重要度が高いことが理由としては大きいだろうけど、それ以上に「最近のバレーはどう」と問いかける黒尾に対して「ごくたまに面白いです」と答える月島は、ようやくこの映画の中でそれを感じる研磨と対比されているように思えた。(感じる面白さの内容はだいぶ違いそうだけど笑)

月島にせよ研磨にせよ、バレーをするにあたって黒尾の影響がめちゃくちゃ大きい。月島は卒業後も地元リーグに所属しているし、研磨は選手をこそ引退するものの、ニンジャ・ショーヨーというスターをスポンサードするに至った。いずれにせよバレーを盛り上げるのに一役買っている。

そう考えると黒尾の「ネットを下げる」活動は、選手時代からもう始まっていたのだな、と思う。

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